私は、19歳の時、「鰻屋」さんで働いておりました。
或る時、店長が
「ちょっと試しに作ってみたんだけど・・・」
と言ってきた。
胡麻豆腐だった。
しかも、私が胡麻豆腐を見るのは、これが初めてだった。
私は次の瞬間、
「これは黒蜜ときな粉をかけて食べた方がいいですよ!!」
と、思わず叫んだ。
店長は、笑っていた。
「バカな事言っているな」と思ったに違いない。
普通は、わさび醤油とか味噌ダレを付けるらしい。
・・・それから年月は過ぎ、1998年12月。
今まで世間に対して訴えたい事などが積もり積もっていて、
それを、一冊の個人誌に纏めることにした。
「特学いちねんせい」創刊号(1999年1月発行)である。
その中で、「黒蜜きな粉ごまどうふ」を紹介する事にした。
他にも、
「黒蜜きな粉豆腐」
「黒蜜きな粉コンニャク」
「コンニャク入り杏仁豆腐」
等の紹介を、同誌で行なった。
本当にイケる味なのかどうか自分で試したり、そうでなければ、上手く食べれるようにコツを考えたりした。
私は、黒蜜きな粉胡麻豆腐をやる上での、知っておかなければならない知識を自力で見出した。
それは、出汁(だし)の入っている胡麻豆腐に黒蜜をかけると凄く不味いという事である。
実際試してみる事をお薦めします。後悔します。
出汁の入っていない胡麻豆腐を選んでください。
味の差は、製造会社によってまちまちで、妙に脂っこいというか、しつこい感じの味のもあれば、結構サッパリした味のもある。
簡単に言えば、胡麻プリンといった所か。
それからまたまた年月は過ぎ、2004年。
私は「こたつ派2」展(ミヅマアートギャラリー)の最終日のクロージングイベントの時、思い切って黒蜜きな粉胡麻豆腐を皆に振舞ったのである。
近所のスーパーで胡麻豆腐を買っている時、「湯葉」も売っていたので、これも黒蜜をかけて食べると美味いかも知れないと思い、黒蜜きな粉湯葉も同時に振舞った。
評判が良かったのは嬉しかったのだが、残念なのは、「バラバラアートクラス」(美學校の会田誠の教え子)メンバー達が大半を食べてしまい、そのほかの人達に余り行き渡らなかった事である。
驚きなのは、同年、「一正」等の企業も、黒蜜をかけて食べる胡麻豆腐を売り出したという事を知った事だ。
恐らく、同年に売り出したばかりなのだろう(きちんと確認していないが・・・)。
上の画像は、個人誌「特学いちねんせい」創刊号(1999年1月発行)に掲載した黒蜜きな粉胡麻豆腐の写真。
(撮影・大塚聰・1998年12月)