今までの世界の動きを整理しました | ファイナンシャルプランナーのお役に立つブログ

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 ゴールデンウィークが始まりました。5月1日、2日を休めば9連休になります。円高ですから海外旅行には好条件ですね。ただ、家でゆっくりするというご家庭も多いようで、まだまだお金を使う環境にはなっていないのでしょうか。

 マーケットがお休みなので、相場ではなく、ここまでの世界の流れを整理してみましょう。
 
 今、日本の国会では消費増税でもめています。日本国民の中で、消費税率が引き上げられないと思っている人は誰もいないでしょう。財政再建という名のもとに、あるいは社会保障制度維持という大義名分で、増税やむなしという風潮は作られています。それを財務省主導という非難もあります。たしかに、大蔵大臣や財務大臣経験総理は、必ず消費税率引き上げを唱えます。菅前総理も、財務大臣になった途端に消費税の話を持ち出しましたね。

 今、世界の課題は財政再建に動いています。国債発行というのは借金を増やすことです。借金で国の運営が成り立つこと自体、本来はおかしいことです。それを当たり前のように行ってきたのは、財政出動、つまり公共事業を増やして雇用を守り、景気促進をするという手法が長年とられてきたからです。そろそろ、この借金体制を見直さない限り、通貨体制は安定しないということに気がついたのでしょう。それもこれも、サブプライムローンからなる証券化商品の膨張、リーマンショック後の金融不安、そしてヨーロッパのソブリン危機へとつながる一連の、管理通貨体制へのほころびが問題視されてきました。

 かつては、金(Gold)という実物の裏付けで、貨幣価値が維持されてきました。金本位制といわれるものです。これでは通貨発行量が限定されます。そこで、アメリカは、今の金の保有量とは関係なく通貨を発行できるようにしました。それだけアメリカ経済が疲弊していなのですね。金保有量に縛られないので、量的緩和ができるのです。今度は、その国の経済力が通貨への信用の裏付けとなります。

 当然、国の財政が問われます。財務が悪い会社の社債は誰も買いません。国が発行するから大丈夫という話でもなくなってきたのがヨーロッパのソブリン危機です。国の財務もチェックする必要があるのではとなってきました。それが、昨年来の世界のテーマとなった財政再建です。それゆえ、先進国で最も財政が悪い日本は、消費税率引き上げをいそいでいるのでしょう。

 ヨーロッパ問題が表面化するまでは、基軸通貨の見直しが世界のテーマになりかけていました。
 そもそも、世界経済を混乱に陥れたのは、サブプライムローンで造成された証券化商品を販売していたアメリカです。それを高格付けで信用させたアメリカの格付会社です。そしてリーマンブラザーズの破綻による金融不安です。ドルは大丈夫かという流れになり、基軸通貨見直しの議論が盛り上がっていたところに、ヨーロッパ問題です。ポストドルの地位を狙っていた最有力のユーロがめちゃめちゃになったのです。

 アメリカは基軸通貨の地位を保てましたね。リーマンショック以降、アメリカ国債は順調に買われています。おかしいでしょう。ヨーロッパよりもアメリカの方がましでしょうという論調です。
 中国を巻き込みました。中国にかなりのアメリカ国債を買ってもらいました。政治的駆け引きがあったのでしょう。今でもそうですが、当時は特に、中国元が安すぎることをアメリカは問題視していましたからね。中国は今、多くの金(Gold)を集めています。間違いなく、ポストドルとは言わないまでも、次の基軸通貨選定にエントリーできる地位を狙っているのでしょう。

 基軸通貨の見直しが今後議題となるかどうかはわかりませんが、財政再建がテーマになる状況は続くでしょう。日本への世界の目は、いっそう厳しくなると思われます。日本の政治のかじ取り次第では、格付会社による格下げをきっかけに、投機筋が日本国債先物を売ったり、CDS市場で仕掛けたりするのかもしれません。

 社会保障を盾に増税が論じられていますが、消費税率を10%にしたところで維持は厳しいと言われています。2012年は団塊の世代が65歳を迎える最初の年だそうです。基礎年金が支給されますね。医療制度もがけっぷちに立たされています。
 厚生年金と共済年金の一元化、ジェネリック薬品の普及、長期入院の抑制といろいろ手は売っていますが、増税しても社会保障は充実しない、増税しても現状維持か精一杯、いやむしろ後退を少し遅らせるだけという感じなのでしょう。制度自体の抜本的な見直しが必要です。でも、皆保険制度は絶対に維持してほしいです。難しい選択が迫られそうです。

 これが今までのざっとした流れです。そして今後は、世界に先駆けてアメリカが走って行きます。ヨーロッパを引き離すように独走態勢になるでしょう。年末には新興国が追い付いてくると思われます。量的緩和で市場に流れた資金は、リスク資産へと動きます。債券バブルからリスク資産へという流れです。中国の内需拡大で、資源の高騰が新興国の魅力を増します。いつもそうですが、量的緩和は新興国にインフレを送り込みます。日本はどうなるのでしょかね...