☆アトピーのお子さまを持つお母さまの不安・焦り 脳内ではこんな変化が起きています
アレルギー疾患の罹患率が増え続けています。
いろんな理由が取り沙汰されていますが、日本に普通に住んでいる以上、全てを避けることは到底できませんから、そこは狙いません。
まつもとが仕事上、気になっているのは、「お子さまのアトピー」。
とくに、お子さまがアトピーを発症した、お母さまのお気持ち、です。
あっけらかんと、病院へ行ってもらったおくすりを、何の疑問も持たずに使い続ける方もいます。
一方、ネットでいろいろ調べて、調べれば調べるほど不安になり、いてもたってもいられなくなるお母さまも。
「いい」と言われることを次々に試すものの、短期的にすぐ変化が見られないと、不安のあまり落ち着いて取り組めず、疑心暗鬼に陥ってどれも止めてしまう。
お子さまも治らず痒いのでつらいし、何よりお母さまの不安と焦りは、ものすごいものがあります。
落ち着かなきゃ、とご自身で分かっていても、もう、いてもたってもいられないんですね。
あれもこれもやってみるけど、すぐに変化が出る訳でもなし、調べて飛びついたときには「これだ!」と思っていたハズなのに、結果が出るまで腰を据えて、待てない。
「まつもと漢方堂」へご相談に来られる親子さんでも、こうしたケースは一定割合で見られます。
よくなるのを待てず、疑心暗鬼にかられて、やめちゃうんですね。
実はこのとき、お母さまの頭の中では、「うつ」で見られるような思考パターンの変化が起きています。
(今日は西医の話で始めています)
「うつ」状態にいると、どうして将来に希望が持てないか=待てないか。
それは、こんな例で説明されています。
例:
おじさんがお小遣いをくれます。「どちらか好きな方を選びなさい」と、おじさんは笑って言いました。
あなたはどちらを選びますか?
A、今すぐ1000円もらう
B、1週間後に1100円もらう
あなただったら、AとB、どちらがいいですか?
シチュエーションによっても異なる、なんて言わないでくださいね、ただの思考実験ですから。
日本人は辛抱強いひとが多いので、Bを選びたくなるひとが多いかもしれません。
まつもとも、基本B、かな?
好みや判断なので、どちらがいいということは全くありません。
そのひとの「将来やってくる利益の大きさを、どれだけリアルに感じているか」が表れます。
脳内が「うつ」的になると、Aを選ぶ率が上がるという研究結果が出ています。
解説します。
1000円と1100円だと分かりにくいかもしれませんので、大人がイメージしやすいよう、ケタを上げてみましょう^^
10000円と11000円だったら、1週間で1000円の差ですよね。
1週間待つことで、もらえる金額が1000円増えるなら、どうですか?
「今すぐもらえる1万円札」と「1週間先にもらえる1万円札+千円札」と、どちらの価値を高く感じるか。
Bを選んだときの頭の中は……
「1週間先」って、何曜日? 今日は水曜日だから、土日にあれこれ買い物して、来週が始まって、大体こんな頃だな。週末、買い物に使うお金はとりあえず足りてるから、1週間、うん、待てる待てる。
「おじさん、1週間後にまた会いましょう♪」
大体こんな感じになっているでしょうか。
一方、Aを選んだときの頭の中は……
「1週間先」って、何曜日? えーっと、今日は何曜日だっけ? 水曜日? 来週の水曜日までには……、あ、ヤバイ、また土日来るじゃん。あれもこれも買わなきゃならないし、あそこにも行かなきゃいけない。
どうしていつもこんなに忙しいんだろう。どれもこれもお金かかるし。1週間先?そんな先のことなんて、今言われても分かんないよ!
「おじさん、先のことなんてどうでもいいから、今ちょうだい!」
こんな感じでしょうかね。
この違いは、どこから来ると思いますか?
そうです。
先ほどお話ししたように、「将来やってくる利益を、どれだけリアルに感じたか」による違いなんです。
待てるひとは、1週間後の利益をリアルに感じています。
今日の1万円と、来週の1万千円、来週の1割増しになっている1万千円の方が「得だ」とイメージしています。
待てないひとは、1週間後の利益をリアルに感じられません。
1週間先のことなんて、イメージ湧きませんし、大体これから先に「よいこと」が起こる気がしないんです。
だったら、多少目減りするのがわかっていても、今日の1万円でいいんです。
1週間なんて遠い先のために、今1万円を諦めるなんて「損」じゃないですか。
もともとの性格や好みもありますが、統計を取って見ると、「うつ」状態にあると判断されるひとで、Aを選ぶ率が高いそうです。
将来の利益を、高く見積もることができなくなっているようです。
だから、先のことに希望が持てないんですね。
研究にはもうひとつあって、「今日だったら1000円。1100円もらえるまで、どのくらいまでなら待てますか?」と質問をしたときの回答も集めたそうです。
やっぱりこちらでも、「うつ」のひとが回答した日にちの方が短くなっていました。
「うつ」のときは、脳内に、情報伝達物質が少なくなるか、情報伝達物質を感じにくくなるか、それともその両方かが起こっていると考えられています。
考えや判断が鈍くなってしまうのです。
とくに人間は「過去の記憶から、将来起こることを予測する」ということをします。
脳内の情報伝達の効果が弱くなると、将来を予測することが下手になるかもしれません。
先に起こることをリアルにイメージできなければ、待つ気になれないのも当然ですよね。
「待てない」という点で、アトピーのお子さんを持って右往左往してしまうお母さまの判断は、「うつ」のパターンととてもよく似ています。
中医学的には、判断は「心」のコントロール下に行うと考えます。
心が正常に働くためには、心の燃料である「血」や「陰」が充分に存在しなければなりません。
考えれば考えるほど、心は燃料をどんどん消費してしまうので、考えすぎると「血」や「陰」が減って来ます。
また、くよくよ考えているときは「脾」(=胃腸の消化吸収の働きを指す、と考えてください)の働きが低下します。
脾の働きが落ちると、「血」や「陰」を食べたものから補給するスピードが落ちます。
心では消費ペースがアップして、脾では補給スピードが落ちていたら……
はい、どんどん材料が足りなくなり、いずれ正常な判断力を失ってしまいます。
心の働きが異常になると、不安や不眠が出てきます。
これが、訳が分からなくなって「いてもたってもいられなくなる」仕組みです。
「うつ」も、心の働きの乱れが大きく関わっている病気のひとつです。
人間は哺乳類ですから。
子どもを持ったら、お母さんは頭の中のチャンネルが切り替わります。
こと子どもに関しては、過敏なほど注意深く、慎重になりますし、子どものためならかなりの苦労を苦労と思わず、乗り越えようとがんばります。
このくらい子育てモードを強い設定にしておかないと、人間なんて大人になるのに膨大な時間がかかる生きものを、育てきれませんものね。
だから、慎重になるのも当然だし、不安が強くなるのも当然。
ですが、「将来起こる利益を、不当に低く見積もる」までになったら、かえってお子さまの利益が損なわれるかもしれません。
じっくり取りかかってこそ結果が出る、「アトピー性皮膚炎の治療」なんて、その最たるもの!
脾=胃腸を丈夫にして、血や陰をタップリ補給して、心が正常に働けるようにして、前向きで明るい気持ちを維持しながら、子どもの成長を見守りましょう♪
お母さまの不安や焦りにも、漢方薬&養生はよく効きます。