平成30年5月10日に,第二次となる,民法上の夫婦別姓訴訟が提訴されました。私が担当させていただいている戸籍法上の夫婦別姓訴訟といわば車の両輪となる憲法裁判です。全国で複数の地裁に提訴がされて,憲法判断が下される予定です。訴状は,以下のHPでご覧いただけます。

 

 

 

第二次選択的夫婦別姓訴訟HP

 

 

 

実は,訴状を拝見していて驚いたことがあります。訴状53頁以下で、私が以前担当させていただいた女性の再婚禁止期間違憲訴訟の、平成27年(2015年)12月16日最高裁判所大法廷判決を引用していただいていることです。その大法廷判決を引用していただいた上で、民法上の夫婦別姓制度を国会が設けないことが憲法違反である,という新しい主張がされているのです。 

 

 

自分が以前に担当した訴訟とその最高裁判所大法廷判決が,この度提訴された第二次の民法上の夫婦別姓訴訟につながっていることが、人と人のつながりを感じるとともに、とても光栄に感じました。ありがとうございました。

 

 

 

ちなみに,第二次民法上の夫婦別姓訴訟の訴状を拝見して思うのは,この「夫婦別氏問題」は,やはり究極的には,憲法13条に規定された,憲法の最高理念とされている「個人の尊厳」に反している,ということです。

 

 

 

憲法は,個人を個人として尊重することを国家機関に義務付けています。それにも関わらず,婚姻に際して,一方が氏を変えて相手に合わせて,さらにはその氏が戸籍筆頭者としてフルネームを名乗っている家族単位の戸籍が作製されて,もう一方が下の名前だけその戸籍に記載される,という両側面において,個人を個人として尊重していない,個人個人を国が大切にしていない,個人と個人の集合体が「夫婦」であるはずなのに,「夫婦制度」が個人よりも優越しているようになっている,と人々が感じているのが,「夫婦別氏問題」なのではないか,と思いました。

 

 

 

韓国では,21世紀に,日本から輸入した戸籍の戸籍筆頭者制度が家制度を意味している,として憲法裁判所の違憲判決が出たのですが,それも同じような趣旨なのだと思います。家制度はまさに個人の尊厳に反する制度だからです。

 

 

 

私が担当させていただいている戸籍法上の夫婦別姓訴訟(東京地裁)では,戸籍法上の氏は,個人の尊厳の氏についての発現である,という主張をしています。5月10日に提訴された第二次の民法上の夫婦別姓についても,憲法の最高理念である「個人の尊厳」に,裁判所がどのような新しい意味を与えるのかを,注目して拝見したいと思っています。