弁護士作花知志のブログ

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『オリエント急行殺人事件』は,あのアガサ・クリスティによる推理小説であり,彼女の代表作の1つです。

 

 

 

中東での勤務を終えた探偵ポアロは,イスタンブール発のオリエント急行に乗り,ヨーロッパへの帰途につきます。急行は満席で,さまざまな国の出身者の方が乗車していました。

 

 

 

そんな中,乗客の1人であるアメリカの富豪がポアロに話しかけてきたのです。富豪は脅迫状を受け取っており,身の危険を感じて,ポアロに助けを求めたのです。

 

 

 

急行列車は激しい雪の中で積雪による吹き溜まりによる立ち往生をしてしまいます。そして,その翌朝富豪の死体が彼の客室から発見されたのです。

 

 

 

富豪は,何等かの刃物により全身を12か所に渡ってメッタ刺しにされ,殺害されていました。そしてその犯行現場には,燃やされた手紙が残されており,そこには「小さいデイジー・アームストロングのことを忘れ」と書かれていたのです。

 

 

 

雪の中で立ち止まった急行列車の中で,ポアロは捜査を開始します。でも,乗客のアリバイは互いに補完され,完璧なものでした。誰も犯人ではないはずなのに,富豪は殺されたことになるのです。・・

 

 

 

この『オリエント急行殺人事件』は,旅情を誘う国際急行列車という舞台と,そこで発生した残酷な殺人事件とのコントラストにより,アガサ・クリスティの作品の中でも印象的なものとなっています。

 

 

 

実は,この『オリエント急行殺人事件』が,近時光文社の古典新訳文庫の1つとして新しい訳とともに再発売されたのです。書店で見かけて,とても懐かしく感じて手に取りました。

 

 

 

私が以前この作品を読んだ時は,まだ高校生だったのですが,その後法律を学び,法律家になった後に再読したところ,とても新鮮な発見をしたのです。

 

 

 

それは,作品で発生する殺人事件で,被害者に残された傷跡の「12」という数字に,ある意味が込められているということでした。「12」は,「陪審裁判」の陪審員の数なのです。

 

 

 

高校生の時に読んだ際は,そのミステリーの鮮やかさに心を奪われたことを覚えていますが,今回新しい訳で改めて拝読し,アガサ・クリスティが数字に,法律制度を通した隠れた意味を込めていたことに気付いたことになります。

 

 

 

「陪審裁判」に12人の陪審員が参加すること,「陪審裁判」は12人の陪審員の全員一致でなければ結論を出せないということは,社会で発生した事件について,12の異なる光が当てられ,その光が照らした事件に対する評価が1つにまとまることで,社会的評価が行われたことを意味しています。

 

 

 

『オリエント急行殺人事件』の被害者に残された12の傷跡は,社会の様々な思いが交錯するのが裁判であり,またそこに当てられる光が1つに集まることは,個々に違う存在である私たちが,それでも心の中に共通する「正義」を感じる感覚を持っていることを,改めて示しているように思います。

 

 

 

そして,ポアロがその完璧に見えたアリバイを解き,物語が終わったと思った瞬間には,実はこの作品は,私たちに「犯罪」とは何か,私たちはそれを犯した人を当然に非難できるのかという,人類が長年悩み続けた難問を問いかけているのだ,という作品のもう1つの側面が,浮かび上がって見えることと思います。

 

 

 

GWのお休みを取られている方も多いことと思います。ご関心をお持ちの方は,ぜひ新しい時代の新しい『オリエント急行殺人事件』をお読みいただき,イスタンブールからヨーロッパへの旅情と,完璧なたアリバイに立ち向かうポアロの勇敢な活躍を,ご覧いただきたいと思います。

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