日弁連には国際人権問題委員会があります。弁護士は人権を守ることが使命です。でも,決してそれは日本の社会だけで人権が保障されれば足りることを意味しません。

 

 

 

「国際人権保障」や「国際人権条約」という概念が発達したのは,第二次世界大戦後であります。それは,第二次世界大戦中には,例えばナチス・ドイツのように,えてして国内法上適法な手続により制定された国内法に従って,ジェノサイドのような大規模な人権侵害が行われたからです。

 

 

 

でも,元々「人権」とは,人が人として生まれたことにより得る権利です。それは,国家により与えられるものでも,憲法により与えられるものでもありません。

 

 

 

とすると,そのような「国家そのものを規律する」ために生まれたはずの「人権」が,各国の国内法で侵害されてしまうことは背理なはずです。それはつまり,「人権」とは,「国会による多数決」でも制約をすることができないこと,多数決で決めることができないことが社会には存在していることを意味します。

 

 

 

そのような「人権」が世界中のどの国でも保障されるようにしたい,と願った人類は,第二次世界大戦後,その大戦の反省から,「国際人権保障」「国際人権条約」という概念を発達させたことになります。

 

 

 

日弁連の「国際人権問題委員会」は,そのような観点から,日弁連として世界中のいかなる国においても人権が保障されるための活動を,日々行っている委員会なのです。

 

 

 

私自身も委員会に所属させていただいているのですが,この度その日弁連国際人権問題委員会が行う「国際人権に関する研究会」で,報告をさせていただくことになりました。

 

 

 

日程は平成29年6月29日(木)午後4時から6時。東京の霞ヶ関にある日弁連会館の17階の部屋で開催されます。

 

 

 

テーマは,「事実としての条約」です。私が担当させていただいた女性の再婚禁止期間違憲訴訟において,どのように国際人権条約を主張の中で引用したのか(私は国際人権条約と条約機関の勧告意見を,「紙に書かれた活字である憲法に意味を与える立法事実である」という主張を行いました),それが最高裁判所大法廷が平成27年12月16日に出した違憲判決にどのように影響を与えたのか,という観点から,訴訟活動を振り返る予定です。そして,その手法が,他の人権訴訟でどのように応用ができるのか,というお話もさせていただく予定です。

 

 

 

残念ながら,当日参加していただける方は弁護士に限られているのですが,このブログでも私が報告させていただいた内容は,後日お話させていただく予定です。

 

 

 

これから人権訴訟や,国際人権条約を用いた訴訟を担当されるご予定の弁護士の方に何かお役に立てるなら,この上ない幸いだと思っています。良い報告ができるように,良い準備をしたいと思います。