私が担当させていただいている女性の再婚禁止期間違憲訴訟につき,11月4日に最高裁判所大法廷が開かれました。



最高裁判所大法廷では,15人の最高裁判所判事の前で,両当事者が実際に口頭で主張を行う「実質弁論」が行われました。



私が,上告人の訴訟代理人弁護士として行った弁論の内容は,最高裁判所大法廷に提出した「弁論要旨」としてまとめてあります。その「弁論要旨」を,作花法律事務所のHPのTOP頁の「女性の再婚禁止期間違憲訴訟について最高裁判所大法廷が開かれました」の欄に掲載しましたので,ご関心をお持ちの方は,ぜひご覧下さい。



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この民法733条1項の規定する「6カ月(180日)」の女性の再婚禁止期間については,民法722条2項の「女性が離婚から300日以内に生まれた子は前夫の子と推定する。女性が結婚から200日を経過した後に生まれた子はその婚姻の夫の子と推定する。」との規定との関係で,その憲法適合性が論じられてきました。



そして学説上は,民法722条2項により生まれる「100日間の父子関係の推定の重複」を避ける意味で,100日までの再婚禁止期間なら許されるけれども,100日を超える部分については,女性の婚姻の権利に対して過剰な制約を加えたものであり,憲法に違反する,という主張が有力です。



それに対して,私は最高裁判所大法廷における「実質弁論」において,「100日以内の再婚禁止期間も憲法に違反する」との主張を行いました。



それは,近時出された複数の最高裁判所の判例において,嫡出推定制度は「血のつながり」を守るための制度ではなく,「早期に父子関係を確定することで子の福祉を保護する目的の制度」であることが確認されていることを前提にした主張なのです。



この私の主張の立場によれば,民法733条の規定する女性の再婚禁止期間(6カ月)はその全てが憲法違反となり,同時に民法722条2項の規定も,「女性が離婚後すぐに再婚した後に生まれた子は,全てその再婚の夫の子と推定する」との変更が必要となることになります。



その立法は,実は1998年に再婚禁止期間を廃止したドイツで用いられている立法と類似したものです(ドイツでは「後婚の夫の子とする」とされています)。そして,ドイツは日本と同じく女性差別撤廃条約の締約国であり,その条約締約国の義務として,再婚禁止期間を廃止したのです。



「女性の再婚禁止期間は100日以内も含めて全て憲法に違反する」との主張は,とても新しいものだと思います。でも私としては,この問題について,あるべき社会の姿をふまえた意味を,憲法に与えようとして行った主張であります。



憲法そのものは紙に書かれた活字にすぎません。でも,その活字である憲法に,私なりの光を当て,私が感じた21世紀の正義と平等にふさわしい意味を与えようとしたのが,その主張である,ということになります。



上で御紹介しましたように,作花法律事務所のHPのTOPIC欄の「女性の再婚禁止期間違憲訴訟について最高裁判所大法廷が開かれました」の欄に「弁論要旨」を掲載していますので,ご関心をお持ちの方は,ぜひご覧ください。