以前にも御紹介いたしましたが,今,さまざまな報道を通して話題になっていますのが,「ハフィントン・ポスト」というインターネット新聞です。



この「ハフィントン・ポスト」は,単なるニュースを配信するために設けられた「インターネット新聞」ではなく,さまざまなコラムニストが書く記事,さらには世界中のインターネット媒体から引用されるニュースを通じて,読者がコメントを交わしあい,インターネット上で新しい意見を生み出すための存在です。その意味でそれは,インターネット上の「パブリック・フォーラム」です。



「ハフィントン・ポスト」は,2005年にアメリカで設立されました。瞬く間に読者の支持を得た「ハフィントン・ポスト」は,その後イギリス,カナダ,フランス,イタリア,スペインなどで各国版が開始されました。そしていよいよ2013年5月には,日本版の「ハフィントン・ポスト」がスタートしているのです。



ハフィントン・ポスト



私が聴きました憲法の講義で「ビラ配布の規制と表現の自由」の問題が扱われた際,ご担当の先生が「僕が学生の頃はまさに政治的な意見を述べようと思ったら『ビラ配布』をするしかなかったのですが,今憲法を学ばれている皆さんは,インターネット,さらにはメール等により容易に自分の意思を表現し,容易に社会のコンセンサスを創造していくことができますね。」と言われていたことを覚えています。



さらに申すと,インターネットの登場により,その登場前には社会で意思統一を図るための「国家」という存在はちょうどよい大きさだったのに対し,その登場後は「国家」の大きさ,スケールが社会のニーズに合わなくなっているのではないか,との指摘もされています。



その論者のご指摘は,インターネット時代には,むしろEUのような超国家こそがちょうど良い大きさであり,そこからすると,EUのような超国家と,地方公共団体のような地域という2つの存在こそが,このインターネット時代には相応しいサイズなのだ,というものなのです。



そんな,社会を大きく変えようとしているインターネットと,さらに世界中の人々が意見を交わし新しい意見を創造するために設けられた「ハフィントン・ポスト」という存在。いずれも私達の社会を変えていく社会的因子であり,法に影響を与える社会的因子でもあります。



その「ハフィントン・ポスト」上で,この度,私がコメントを担当した「宇宙葬に法的な問題はないか」を取り上げてくださいました。とても光栄に感じています。



ハフィントン・ポスト/宇宙葬に法的な問題はないか



考えてみますと,宇宙における民間活動も,近時大きな発達を遂げ,「宇宙」という社会を大きく変えようとしていますね。その活動も,もちろん社会に影響を与える社会的因子であるとともに,法に影響を与える社会的因子であります。



私のコメントも,そのような宇宙における民間活動が法の解釈に与える影響という観点からまとめたものです。「ハフィントン・ポスト」は,そのような側面に注目してくださったのかもしれません。



考えてみますと,私のその拙いコメントそのものも,小さい存在ではあるものの,1つの社会的因子であります。そのコメントが「ハフィントン・ポスト」を通じて何か世界に影響を与えるとすれば,この上ない幸せだと思います。