芋焼酎もいろいろ・20度・25度! ひぃーっ! | よし子ちゃんの 九州・福岡・鹿児島 + 北海道 レポート

芋焼酎もいろいろ・20度・25度! ひぃーっ!

ここ最近の焼酎ブームには本当に驚かされる。以前は、焼酎というと安酒のイメージが強かったし。でもって芋焼酎は麦焼酎などとは違い匂いを嫌う人も多く、九州外では見かけることも少なかった。「麦はいいけど、芋はん~~~~。」なんって声もよく聞いたもんです。

ところで、芋焼酎の多くは鹿児島県と南部の宮崎県で造くられているのだが、この芋焼酎にも大きくわけて2種類あるのを知っているだろうか。

実は、鹿児島では25度が好まれ、そして私の故郷宮崎では20度の焼酎が好まれているのです。 意外にも鹿児島人の中には20度の焼酎の存在を知らない人も多いのです。

霧島
黒霧島 20度 25度

鹿児島のヨットクラブの「のんかた」(飲み会)で、宮崎にも住んだ経験のある鹿児島出身の方に尋ねてみたことがある。 当然のことながら、その先輩は宮崎でも「のんかた」を経験されているから、20度の焼酎のことは知っていたのだが、ぴしゃりと一言「そら宮崎の人の方が酒飲みやからよ」だって。

霧島   霧島
黒霧島左:25度、右:20度

その方の説では、お湯や、水で割らず芋焼酎の味そのものを味わう為に度数は低めで販売しているのだそうだ。「宮崎の人はきのままで飲む人が多いからな~!」と言われてしまった。確かに、鹿児島では焼酎とお湯を5:5とか、もしくはそれ以上に薄めて飲んでいるようであるし、宮崎では7:3や8:2などで飲んでいる。その話を聞いて妙に納得したものである。

子どもの頃からこのことは知っていたのだが、改めてこの理由について調べてみることにしました。 そこで、酒造メーカーでも同じ銘柄を20度、25度と2種類出している、宮崎県都城市に本拠を置く、霧島酒造へ問い合わせてみた。

●霧島酒造からの返事 -------------------

20度焼酎が生まれたのは、昭和28年3月1日で、酒税法が全面的に改正となり、新しく20度以下の新税率が制定されてからです。これは、当時全国的に蔓延していた密造焼酎の撲滅対策として講じられたものです。

これ以前の酒税法では、焼酎乙類は、25度以下1石(一升瓶100本)につき1万2,700円の酒税で、これが最低の税率でした。改正された酒税法では、20度以下1石につき、9,100円という新しい税率が設けられました。

25度一升瓶の酒税が127円に対して、20度一升瓶は91円となり、税額の差は36円。この税差と製造原価の違いで、20度の末端価格(小売価格)は25度より40円安い価格となりました。当時の40円は大きかったと思います。

密造焼酎は、素人が作るわけですから、質も悪く、アルコール度数もせいぜい20度くらいだったそうで、特に密造焼酎が多かった宮崎県は、飛躍的に20度焼酎の消費が伸び、25度の焼酎の売上はわずかになって行き、今に至っているわけです。

――ということが、ことの理由なのだそうだ。

以前は、宮崎人は酒飲みだからっていうことに、妙に納得してしまっていたのだが、こういう密造焼酎と酒税法ということが大きく絡んで、20度文化の宮崎というものがあるのだということは見当もつかなかった。

さらに霧島酒造からかえってきた返事にはこう記されていた。
熊本の「白岳」、大分の「いいちこ」といった芋以外の焼酎でも20度は多く作られているらしく、霧島酒造が大分向けに出荷する芋焼酎のうち80%は20度なのだそうだ。

おおいた出身の友人に聞いてみると、「25度のロックはきついでいかんわ。 やっぱり20度がいいだがね」と返事がかえってきた。 たしかにいわれてみればその通り。

最近は芋焼酎の中には、手に入りにくくなった銘柄もたくさんあり、定価の10倍以上なんていう値段での取引も珍しくなくなってきている。そういった希少価値のある焼酎を飲むのも楽しいが、同じ銘柄で度数の違う焼酎を、いろんな割り方で飲み比べてみるっていうのも乙だと思う。

◆参考サイト◆
霧島酒造 「霧島」
高橋酒造 「白岳」
三和酒類 「いいちこ」