先週の東京都知事選の結果や中部電力による浜岡原発再稼動に向けた審査の申請などを受けて、原発再稼動に関する議論が再燃しています。

折りしも冬場の電力需要期ということで、供給力不足に対する不安が原発の必要論を後押ししています。
特に昨年9月に全原発が停止し、今回初めて原発無しでの電力需要期を迎えた関西電力は、シーズン開始前に相当な危機感を持っていました。

ただ、今のところ寒波にも関わらず、関電の供給力予備率が安定水準とされる8%を割ったのは1回だけです。
東京電力はこの冬に予備率8%を4回下回っていますが、両社とも今のところ5%を切ってはいません。
予備率3%を割ると停電の危険性が高まるということですが、何とか凌いでいるようですね。

Supply

というのも、日本の電力需要が節電や産業・社会構造の変化を受けて減少傾向だからと言えるでしょう。
国内の電力需要は、下の図に見るように震災以降基本的に前年比マイナスが常態となっています。
そして、この傾向は変わらないと考えられます。

Change

一方、原発再稼動を訴える人々は老朽火力発電所の酷使について言及します。
国内電量会社の火力発電設備稼働率は下の図の通りです。
震災前は概ね40%台でしたが、現在は60%を挟んで高い時には70%に達しています。

Utilization

稼働率60%は一般的に言って低いような気もしますが、火力発電は昼夜の電力需要のギャップを埋めるために需要の高い時だけ稼働率を上げるという使われ方をしていたため、元来24時間フル稼働するような整備体制は採られていません。

また、電力10社の火力発電設備のうち出力ベースで半分程度は運転開始から30年以上を経過しており、2割程度は40年以上と耐用年数を超えているものと考えられます。

こう考えると、ガス・タービンなど新鋭の火力発電設備への更新を急ぐか原発を再稼動しない限り、早晩電力供給危機が起こる可能性は無視できなくなると思われます。

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