中国では、石炭企業の資金調達に関係する信託商品でデフォルトの危機が伝えられています。
石炭価格の下落などによって中国の石炭企業は資金繰りが悪化しているようですが、どのような状況なのでしょうか。

中国石炭工業会によると、2013年には同国の石炭業界全体の利益が前年比38.8%減少したといいます。赤字の企業も少なくはなく、赤字企業の損失額は合わせて406億元に上ります。業界の赤字額は前年比81%増となっています。
収益の悪化で中小規模の企業は次々に倒産し、石炭鉱山の数は2005年当時から1.3万か所減って1.2万か所となったとされます。

中国の石炭業界は、2000年代に「黄金の10年」を経験しています。2000年から2009年までの同国の石炭需要は平均で年9%の成長を示し、石炭価格も基本的には上昇基調でした。中国の石炭価格は1994年に市場開放され、次第に国際価格に連動するようになっています。

CoalBalance

ところが、2010年代に入って石炭需要の伸びに陰りが生じます。
発電や製鉄といった主要な石炭消費業種で、2000年代には年率10~30%が普通だった月間生産量の伸びが2010年代に入って一桁台へと減速です。

CoalDemand

特に、2013年になって石炭生産の伸びは一段と緩やかになり、2014年の中国の石炭生産量は前年比2~3%の成長に留まると予想されています。

中国の需要減速によって石炭の国際相場、特にアジア市場に重点を置く豪州の石炭価格は軟化し、2011年初め以来下落傾向が続きます。これが中国国内の価格にも波及し、価格上昇時には石炭企業に追い風となった市場システムが今度は強力な逆風になっています。

CoalPrice

中国の鉱工業生産が二桁台の伸びとならなければ石炭需要のペースが回復することはなく、中国の需要が伸びなければ石炭価格も軟調が続くわけです。また、需要急増時の乱開発のツケによる生産コスト上昇や、大気汚染の深刻化による環境対策負担なども経営を圧迫します。中国の石炭企業には苦境が続くのでしょう。

デフォルトが発生した場合石炭企業の資金調達が一段と困難になり、供給に支障の生じる恐れもあります。
仮に中国の国内石炭生産量が数パーセント落ちたとして、需要家が不足分を海外から調達しようとすると輸入量倍増の規模になります。国際市場は大混乱ですね。

にほんブログ村 先物取引ブログへ