原発の運転再開に目処が立たないまま運転中の原子炉も次々と定期検査で休止し、火力発電の需要が高まっています。しかし、LNGの受入れ能力が限界に近づきつつあり、今後は石油火力発電量の増加が見込まれます。

九州電力の玄海原発4号機が定期検査のため今日運転を止め、これで国内54基の原子炉のうち稼働しているのは6基のみ、出力にして全体の11.5%となりました。

年が明けると更に定期検査による原発停止が続き、現在停止中の原発の再稼働が認められない限り、来年夏の電力需要期までには全原発が停止する見通しです。

今年3月の東日本大震災以降、原発停止による発電量の不足は火力発電によって賄われてきました。
電気事業連合会によると、今年1~11月の国内火力発電量は5,000億kWhで前年同期比15.9%増、原子力発電量は1,520億kWhで同40.6%減となっています。

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火力発電の主力燃料はLNGです。今年11月までの国内火力発電量5,000億kWhのうち、LNG火力が2,800億kWh、石炭火力が1,490億kWh、昼夜の需要調整に使われる石油火力は710億kWhと推定されます。

旺盛な電力向け需要を受けて、財務省によると2011年の日本のLNG輸入量は11月までの累計で7,136万トンで前年同期比12%増となっています。

とはいえ、LNG火力による発電量の上乗せも限界に近づきつつあります。
現在の日本の年間LNG受入れ能力は8,600万トン程度が限界ともいい、来年のLNG輸入量は今年の実績を5%前後上回るのが精一杯とも考えられます。
従って、これ以上の原発代替の電力供給は主として石油火力によって補われることになりそうです。

一方、原発全停止による電力供給力への不安は、一層の節電対策を必要としますね。
現在の国内の電力会社と卸電気業者などの総発電出力は2.3億kwで、原発を除くと1.8億kwです。
とはいえ、火力や水力などが常時100%の出力で稼働できるわけはなく、メンテナンスや思わぬ故障もありますから、85%くらいで利用できるとすると能力は1.54億kw程度となります。

今年夏の最大電力は1.58億kwでした。その頃は1,300万kwの原発出力が残っていたので余裕がありましたが、来年夏にも今年並みの最大電力需要があれば今度は400万kw程度の供給力不足になる可能性がありますね。
それを回避するために、前年比3~5%程度の節電が行われるものと思われます。

仮に前年比3%程度の節電が行われた場合、需要の低下に原発の停止分とLNG消費の増加分を差し引きして、火力発電用の石油消費量は今年に比べて日量38万バレル程度増加するものと思われます。

油を売る日々-Power111225

今年3月以降の発電向け石油需要の伸びは前年比69%増とはいえ、数量としては日量12万バレル増に留まっています。原発停止による石油需要の増加はこれからが本番ということでしょうね。

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