そこは非常にいい感じのバーだった。
こじんまりした店内にはセンスのいいジャズが流れ、薄暗い照明、寡黙なマスター。
そして当時ちょっといい雰囲気だった男性Aさんと私。


まぁやっぱ大人っていうの?私もそういう一面もありきだからさ。
めちゃくちゃしおらしくカクテルとか飲んでたわけですわ。
絶対いつもより6割り増しでクネクネしてたね。間違いないわ。
だってAさんのことかなり狙ってたからね。照準セーットぉおおおお!!みたいな。
間違っても勇者ライディーンがどうとか、涼宮ハルヒがどうとか絶対口にしない。そこらへんの熱い討論持ちかけたりしない。


あくまでもエレガントにジューシーに。時にスパイシーに言葉少なに飲んでた。
あぁAさんのグラスを握る無骨な手。大きい手。

このくらい手も大きければ足のサイズ、足のサイズも大きいんでしょ?ねぇ?何センチなの?そこらへん緩急つけて教えてテルミー!
とか叫びだしそうな足のサイズフェチの私。そこをグッとこらえて燃え盛る激情toAさん。


ぜってーこの男落として足のサイズ測ってやる!なんてどう考えても変態の域を脱しない野望に地味に燃えてたら。


・・・ぐるる・・・・・


あれ?

ちょっと。

・・・・お腹の調子がおかしい・・・


お腹の急降下?ビオフェルミン止瀉薬も辞さない構えっていうか。
でもここで「隊長!そよ二等兵お腹の調子が悪いので黄金(ウ○コ)行って参りますです!」とかフランクに絶対言えない、まだまだサラダ記念日な間柄なんで。

割りと冷静に「お手洗い行ってきます」とだけAさんに告げて私は席を立った。


寡黙なマスターが「そちらです」と指したところは。
真後ろ。
私達が座る真後ろにトイレのドアはあった。
気づかなかった。
なんとなく嫌な予感。


でもドントウォーリー、蒼。僕らは朝をリレーするのだから(ネスカフェ)


ガチャ


トイレに入った私は、ドア一枚隔てた向こうを伺った。
相変わらず店内にはジャズが心地よく流れてた。
よし。

よーし!
ちょっとぐらい私の下腹部あたりから妙な異音が放たれてもジャズに紛れて聞こえないはず。
私はおパンツを勢い良く下ろした。



なんか
そんないきなり?


便座に座ったと同時に、感じる黄金(ウ○○)の気配。あーこりゃくるわー!kulu!
と思った刹那。
ドア向こう、店内のジャズが何の前ぶれもなく終わった。

曲間の静寂。


えー!!
マジでーーーー!!
おいおいジャズ奏者がんばれ!もっとがんばれよ!!



もう勢いづいていた私の黄金(ウ○○)は、夢へと続く穴(ア○ル)の最終コーナーを曲がりきっていた。


・・・・・・
ボン!!!


爆音。異音どころか爆音。ある意味空襲。

夢穴(ア○ル)ってばあまりの黄金のあまりの勢いにワーッて大声で叫びまくってた。
ドア向こう、店内の静寂に私の爆音が轟いた。


私、なんとかごまかすために人間ボイスパーカッションの練習してます的フリしようとした。

もしくはラッパーよろしく皿回してます的フリしようとした。


ガチャ


トイレのドアを開けると、顔面蒼白っぽいAさんとマスターがいた。
その後、Aさんと何の進展もなかったことは言うまでもない。


神は
神はいずこ!!


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