+ シューカツ! 【石田衣良】
- いきなり脱線するが、自分が婚活で苦しんだ原因が少し分かった気がした。
そういえば私は新卒でド三流ブラック業界の技術職にコネ入社したから、シューカツを経験していないんだ。- 普通の人は、試験の点数(努力)だけではどうしようもなく、運や狡猾さやコネや好みさえ込みで人生を決められてしまうような理不尽な経験を、就職時にしてるんだな。
「シューカツ!」のタイトルの通り、大学生の就職活動を明るく前向きにキャッチーに扱ったサワヤカな青春小説だ。
優等生あり、ミスキャンバスの女子アナあり、脱落してニートになる者あり、凡人代表あり、各種の学生を取りそろえた男女7人の就活1年間。
希望就職先はテレビ局と大手出版社。大学は早稲田がモデル。基本、恵まれた子たちによる勝算たっぷりで夢一杯な戦だ。そしてNHKドラマのように本人のサワヤカな努力と周囲の愛情と神懸かり的な主人公補正によって大団円。
主人公の悩みや成長、就活の現状、何より石田衣良の思う所が綺麗に描かれていて、いつもながらに直球で頭の良い人だなぁと思う。
・・・・・・だけど自分がシューカツしてたら、腹が立って読めなかっただろうな(笑)なんてゆーか、悩みや、ぶち当たる壁でさえも明るくて清々しすぎて教訓的で。
シューカツをこれから体験する人、体験している人で、心穏やかにこの本を読める人は心が広く賢い人だと思う。
中学生時代にNHKドラマ中学生日記を普通に見れた人だろう。
だけどシューカツを体験していない人、シューカツを体験して随分経ってしまった人が読むのなら、やっぱりこういう教科書的な、綺麗事な小説が一番良い形なのだろうな・・・・・・・と思いながら読んでました。