犬の乳腺腫瘍 | 草村動物病院 「動物の診察室から」

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新潟市の草村動物病院のブログです。
高度獣医療のこと、日々の診療で思うこと、動物たちのことなど書いていきます。

 今日は、ヨークシャーテリアの乳腺腫瘍の手術がありました。

 11歳の「プアちゃん」、左右の乳腺の上から下まで、小さなしこりが乳腺にたくさんありました。

不妊手術は受けていなく、まだ卵巣があるのです。

 卵巣があって高齢になると、かなりの確率で乳腺にしこりができます。良性なこともあるのですが、半分は乳がんです。

 しかし、乳がんができてもしこりがそこだけでしたら命を奪うことはありません。乳がんが肺や脳神経に転移するとワンちゃんの命を奪うのです。

 乳腺腫瘍だけでなく、腫瘍の手術を行うときには、私の病院では必ず胸のCT検査を行い肺に転移がないことを確かめます。

 プアちゃんの場合には、幸いにも肺には転移がありませんでしたので、卵巣子宮を摘出し、右乳腺全部も摘出して無事手術は終わりました。








今日手術をした「プアちゃん」。1ヶ月後には反対側の乳腺も摘出する予定です。




 昨日は、他院様からの検査依頼でCT検査を行いました。その子は数年前から乳腺にしこりがあったのですが、最近になってどんどん大きくなってきました。

 主治医の先生はレントゲン検査で肺転移が疑われるためCT検査を依頼してきました。

 検査の結果は、やはりすでに肺には数個の転移があったのです。

 今から乳腺の摘出をしても、その子の寿命は変わりません。かわいそうですが手術の時期は過ぎてしまっていたのです。

 乳腺腫瘍の手術はとても多く、私の病院では週に1回は乳腺の摘出手術があります。ほとんどの子が不妊手術を受けていない子達です。

 3日前にも同じヨークシャーテリア、11歳の「鈴ちゃん」の左乳腺摘出手術がありました。

 リンちゃんも、不妊手術を打ていなかったのです。







手術後3日目のリンちゃん、大きな傷ですが痛みもなく順調です。リンちゃんも肺に転移はありませんでした。よかったですね!