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○「誤差から生まれた大統領~トランプ」~全米総得票数はクリントンがトランプを上回る

 

【Born By “Margin Of Error” :  President Trump】

 

誤差。

 

2016年11月9日、実に僅差でトランプ大統領が誕生した。アメリカ人口約3億人の内、約1億3000万人が投票し、クリントン、トランプが各6000万票弱ずつを集めた。選挙人獲得ではトランプが引き離して、当選を決めた。

 

正確にはトランプ5969万8506票(獲得選挙人306)、クリントン5992万6386票(獲得選挙人232)で、クリントンの方がトータルで23万票多かった。全米の支持はクリントンだったが、選挙人システムのため、トランプが当選したが、全国民の多数決が反映しなかったことになる。つまり、2000年のブッシュ・ゴア対決と同じことが起こった。あのときも、得票数では上回っていたゴアが選挙人数で負けた。いわゆるねじれ現象だ。こうした事象は過去の大統領選の歴史で今回が5度目とのことだが、国民の声を正確に反映しない選挙人システムに対しアメリカでは問題提起されないのだろうか。

 

事前の各種の世論調査でもトランプ優位だったり、クリントン優位だったり、その差はほんの数パーセントで、どちらが勝ってもおかしくない状況だった。実際総数はクリントンだったわけで、トランプの勝利は、まさに「誤差内」のそれだ。いわばトランプは「誤差から生まれた」大統領といってもいい。

 

クリントン対トランプもシンプルな国民多数決ではクリントンが勝っていたわけで、トランプの勝利要素の分析など、極論すればただのシステムの問題だけとも言える。

 

そうしてトランプが勝ったとして、その勝ちの分析は、果たしてどういう意味を持つのか。トランプの支持の理由が10あれば、クリントン支持の理由も10あり、国民の意見は真っ二つに割れているわけだ。

 

ある結果が出た後はなんとでもいえる。それを結果論という。

 

それよりも、今回は、結局、候補者がどれだけ嫌われたかの不人気投票だったような気がしてならない。トランプ勝利が伝えられた時は、クリントンを嫌いな人が、トランプを嫌いな人より、ほんの少し多かった、と書いたが、実際はトランプを嫌いな人がクリントンを嫌いな人よりも多かったということになる。そういう意味で「全米不人気投票」でもあった。

 

どちらが当選してもおかしくないが、どちらも「勝者」ではなく、引き分けか、どちらも「敗者」なのかもしれない。まあ、そのあたりが後味の悪さだけが残る選挙だったとも言える。

 

ところで、終わってからは何でも書けるが、選挙前にトランプ勝利予測記事を書いている人は少ない。

 

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事前分析。

 

こんな記事が半年前に出ていた。

 

これは、選挙人システムをひじょうに明快に分析・予測している記事。

 

○数字で分かる!トランプの大統領選挙・勝利の方程式とは

渡瀬 裕哉2016年05月07日

http://agora-web.jp/archives/2019048.html

 

上記記事ではネヴァダ(選挙人6)、ニューメキシコ(選挙人5)をトランプが取った場合と仮定しているが、これはクリントンに行った。それでも、269は見込まれ、ミシガン(選挙人16)が加わり、270は楽に超えた。

 

やはり、「勝者総取り Winner Takes It All」のシステムをよく厳密に研究しないとわからない。

 

トランプが当選するだろうと予見していた方の記事。これはトランプに関しての空気感は実に的確。半年も前に出しているところがすごい。

 

○たぶん誕生するトランプ大統領が日本経済を危機に陥れる

鈴木貴博 [百年コンサルティング代表] 【第5回】 2016年3月11日

http://diamond.jp/articles/-/87742

 

○マイケル・ムーア 映画監督

ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう

投稿日: 2016年07月29日 16時36分 JST 更新: 2016年07月30日 21時09分 JST

http://www.huffingtonpost.jp/michael-moore/5-reasons-why-trump-will-win_b_11254142.html

 

ムーア監督も、空気感は実によくつかんでいる。

 

そして、こちらは、トランプが当選してからの分析。

 

○三浦瑠麗の山猫日記。

2016年11月9日付け

http://lullymiura.hatenadiary.jp/entry/2016/11/09/224156

 

クリントンがなっても嬉しくないが、トランプがなってももっと嬉しくないという点で、こんな絶望的な大統領選は史上初かもしれない。

 

僕は個人的には、クリントン支持でもないが、ドランプはもっと嫌だ、というあたり。バーニー・サンダースがよかったが、どうにもならない。(別に投票権はないのだがw)

 

アメリカ国民はギリギリでクリントンを支持したが、選挙システムによってトランプが大統領になった。もしバーニーが民主党候補だったら、絶対バーニーになっていただろう、あるいは、バーニーを副大統領候補にしていたら、クリントンの票がもう少し上積みされ、クリントンが勝ったのではないか、というのも結果論。隠れトランプ支持者が多かったというのもふたをあけてやっとわかったこと。

 

2000年、もしゴアが大統領になっていたら、911は起きなかったのではないかとも思えるが、これも結果論。

 

オバマが大統領になったときには、日本にいても興奮したものだが、いくら他国のこととはいえ、アメリカはこれからどうなっていくのだろう。この勝者総取りの選挙人システムは続くのだろうか。

 

Winner Takes All – Isley Brothers

 

https://www.youtube.com/watch?v=ZQXEdszKwb0

 

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Winner Take It All – Abba

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=iyIOl-s7JTU

 

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