【Kamasi Washington : Explosion Of West Side Jazz: West Coast Get Down: New Star Is Born, I’ll Call Them “Hero Of New Jack Jazz”】
(昨日の続き。カマシ・ワシントン、パート2。カマシ・パパとのトーク)
(昨日のブログ)
カマシ・ワシントン・ライヴ(パート1)~広範なブラック・ミュージックの要素全部入れ~「俺のジャズ」全開
2015年11月01日(日)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-12090418968.html
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音楽共同体。
強烈だったカマシ・ワシントンのミニ「ウェスト・コースト・ゲット・ダウン」のライヴ。本編とアンコール含め約90分のライヴを終えて、カマシは上に上がり、サイン会に参加した。他のミュージシャンは思い思いの形で、客席にでてきた。
トニー・オースティン(ドラムス)によると、このメンバーたちはほぼみんな同郷でお互い10年以上知っていて、なかには2-3歳の頃から知っているメンバーもいるという。トニーは来日が初めてだそうだが、キーボードのブランドン・コールマンは10回以上来日しているという。その来日アーティストにはベイビーフェイスなどがいる。
彼らと話していて、カマシを中心にした「音楽共同体(音楽コミュニティー)」ができているような感じがした。それは彼らが3歳の頃からの友人同士で、もはや家族以上の兄弟のような関係性が、まずあり、そして、その上にたまたま音楽が乗っているという意味だ。
それが一つ間違えば、あの地域だったら、ドラッグ・ディーラーになっていたかもしれない。しかし、彼らには、幸いなことに「音楽」それも「ジャズ」があった。
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父親。
カマシの父、リッキー・ワシントンがでてきたので立ち話を始めた。彼も日本は初めて。そして、ずいぶんと日本のことが気に入っているようだった。
「カマシは何人兄弟なんですか?」と尋ねると、リッキーは堰を切ったように話し始めた。カマシ・パパの話に耳を傾けてみよう。
「カマシは5人兄弟の真ん中(3番目)だ。ほかの兄弟は、洋服のデザインをするクリエイター、絵を描く画家、アスリート、そして妹がもうひとり才能あふれるミュージシャンだ。私は38年、音楽を教え続けてきた。(学校で?) そうだ。音楽の教師だ。今も、みな近くに住んでいるよ。もちろん、子供の頃から彼らは音楽に接していたよ」
「今回の編成で強い印象を持ったのが、ダブル・ドラムスでした。あんな強烈な2人のドラムスを見たのは、ジェームス・ブラウンのバンド以来です」
「本当のことを知りたいか? (笑)(もちろん、教えてください) この編成は、元々ドラムス2人、ベース2人、キーボード2人が土台になっていた。アルバムのレコーディングもそういう編成で作っている。本来だったらそれを全部持ってきたかったんだが、さまざまな事情でそれができなかった。で、いろいろ試したんだ。ドラムス1人、ベース1人、キーボード1人とか、ドラムス1、ベース2、キーボード2とか、いろいろね。で、結局今回はドラムス2のキーボード1、ベース1で落ち着いた」
「だが、2人のドラムスはちょっと強すぎるかもしれない。まあ、2人のドラムスがいるといっても彼らは戦ってはいない。お互い違うタイプのドラマーだ。しかし、バンドでは私はベースが基準になるべきだと思っている。つまり、ベースがバンドを引っ張り、ドラムスはそれに沿って行くようにすべきだ。ベースは息をしているんだ。ブリージング~バッバッババ~~(とベースのフレーズを口でやる) そして、クリエイティヴに作っていくべきなんだ」
「このバンドの曲は、CDの演奏とまったく違うだろう。毎回、毎日、演奏は変わってくる。その日の気分で、ソロが長くなったり、かけあいが盛り上がったり。これまでにある曲を何度もやっていたとしても、決して同じパフォーマンスはないんだ。まさにミュージシャンは心で弾いているんだ。譜面がちがちで決まったことをプレイするのではなく、自由にプレイする。それが、ジャズをジャズたらしめているんだ。それがクリエイティヴというものだろう」
「そうそう、だから、セットリストはいつも(開演)5分前にできるのさ。(笑) そしてその中でも自由自在にプレイする。まれに、曲順を入れ替えるときもあるが、そのときはカマシがミュージシャンに指示をするんだ」
左から吉岡、ライアン・ポーター(トロンボーン)、リッキー・ワシントン(ソプラノ・サックス、カマシ・パパ)、右にちょっとだけブランドン・コールマン(キーボード)
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カマシという単語のルーツ。
「カマシという名前、単語の意味はアシャンテ族(Ashante)のトゥウーイ語(Twi)から取った。みんなと一緒にとか、トゥゲザネス(総合、統合)といった意味だ」
「なぜまたトゥウーイ語を?」
「我々アフリカン・アメリカンのルーツはアフリカにある。私は自分のルーツにものすごく興味があってね、1975年、ガーナに学校を建てに行ったんだ。そこでものすごく感銘を受けてね。ガーナのアシャンティ族や、その言葉を学んだんだ。我々は、あらゆるものをテイク(もらう)するのではなく、ギヴ(分け与える)しなければならない。今の時代というのは、みんなテイクテイクテイクだろう。それで、我々のルーツのアフリカに恩返しの意味も会って学校を建てたんだ。ギヴしたわけだ。実際、我々の先祖といっても、せいぜい(自分から)3世代くらいしかわからないだろう。うまくいって4―5世代か。ルーツは大事なんだよ」
そこで父リッキー・ワシントンの誕生日を聞いた。
1953年5月13日だった。5月13日といえば、スティーヴィー・ワンダーと一緒だ。「そうだ、スティーヴィーと同じだ。あと、もう一人ジャズのアーティストで同じ日がいたが、名前を忘れた」と父。
スティーヴィーは1950年生まれ。いま、リッキーは62歳で、第3子カマシは1981年2月生まれの34歳。父リッキーが28歳のときの子だ。
カマシが常にステージなどでアフリカの民族衣装のようなものを着ているのは、この父親の影響が大変強かったのだ。父リッキーと話をしていて、ものすごく納得した。
リッキーは、自身でも『You Finding You the Essential Bamboo Flute』というアルバムを出していると教えてくれた。
http://www.amazon.com/gp/product/B009K0GILG/ref=ox_sc_sfl_title_1?ie=UTF8&psc=1&smid=A39ZBH3YODSBQD
父親がジャズのミュージシャンであることは、カマシに大変大きな影響を与えているんだな、と話をしていて感じた。
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新世代。
父リッキーと別れ上に上がると、カマシのサイン会もほぼ終わろうとしていた。そこで、僕もCDにサインしてもらうために並んだ。すぐに順番はまわってきて、「去年、ハーヴィー・メイソンであなたを見ましたよ」というと、「君のこと覚えてるよ」との返事。これは嬉しい。ツイン・ドラムを見たのはジェームス・ブラウン以来だというと、「ジェームス・ブラウンのライヴは見たことないんだ。映像でしか見たことがない。君は東京で見たのか?」。「そうだ、彼が来日するたびに最低一回は見てきた」。「それはうらやましいな」。
ジェームス・ブラウンを見たことがない世代が、すでにこうして中堅として活躍を始めている。確実に時代は変わりつつある。
そして彼はジャケットにカタカナで「カマシ・ワシントン」と書いた。ブルーノートのビルボードには、「カマシは日本が大好きです」と手書きで書かれていた。
「To Yoshioka, カマシ・ワシントン」本人のサイン
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余韻。
ライヴが終わったあとも、いろいろな音源を聴きながら余韻に浸っている。この日のライヴ、間違いなく彼らは全身全霊全体力を使ってパフォーマンスを繰り広げていた。そこには、「リミットをかける」ようなことはなかった。メーターを全部振り切っていた。
しかし、よく考えてみると、彼らにとってはファーストとセカンドで、ひとつのショーだったかもしれない。あるいは、下手をすると、3日6ステージでワン・ショーだったのかもしれない。そうすると、我々はその6分の1しか見ていないことになる。連続テレビ・ドラマの一回分だけを見たということもしれない。
リリース・パーティーの4時間は別として、2時間半から3時間程度のワンショーを見て、やっと「全貌を見た」ことになるのかもしれない。
かつてジェームス・ブラウンがショーを終えた後、僕が「素晴らしかった」と言うと、「君はまだ僕がやれることの5%しか見てないよ」といって笑ったことを思い出した。ミュージシャンの可能性は、我々が想像する以上に無限なのだ。
今年見たライヴでディアンジェロとこのカマシのどちらがよかったかという質問は、ジャンルがちょっと違うということ、会場規模が違うこと、そして、カマシはまだ半分しか見られていないということで、保留にしておきたい。(笑)
次回ブルーノートでライヴがあるときは、ファーストとセカンド通しで見ようと思う。あるいは、来年、もし横浜ジャズ・フェスティヴァルのようなイヴェントがあるなら、ぜひ少し長めで椅子席でお願いしたい。(笑)
カマシたちは、ネルソン・ジョージやスコット・ギャロウェイらの音楽ジャーナリストとはもう面識があるのだろうか。彼らがどう見るか、どう書くかも興味深い。
カマシ・ワシントン、ウェスト・コースト・ゲット・ダウンは、間違いなく、新スター誕生だ。「ニュー・ジャック・ジャズ」の。
"With New Hero Of New Jack Jazz" Yoshioka & Kamasi Washington @ Bluenote Tokyo, October 30, 2015
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■ディアンジェロなどもインタヴューしているタヴィス・スマイリー・ショーに登場
Tavis Smiley interviews Kamasi Washington (9-14-2015)
https://www.youtube.com/watch?v=msj8-kKdDM4
■動画『エピック』リリース・コンサート
ブルーノートでのライヴの興奮が蘇ります。
Kamasi Washington's 'The Epic' in Concert (約2時間01分に編集)(コンサート自体は4時間を超えたようだ)
https://www.youtube.com/watch?v=0YbPSIXQ4q4
■オフィシャル・サイト
http://www.kamasiwashington.com/
■関連記事
時代的には彼らの仲間はみな、このあたりのラップ、ヒップホップを聴いていた。
映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』~アルバムから映画まで27年を経てのブラックムーヴィーのの金字塔~日本公開12月に決定
2015年09月27日(日)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-12077294077.html
■参考記事~カマシを理解するためにとてもいいインタヴュー記事2本
2015.7.12
ケンドリック・ラマーもFly-LoもSnoopも絶賛! カマシ・ワシントンと甦るウェストコーストの黒いジャズ (文・柳楽光隆)
http://wired.jp/2015/07/12/kamasi-washinton/
2015.08.10
Interview with Kamasi Washington
ロサンゼルスのジャズの遺産とヒップホップの現在までを繋げるサックス奏者
(取材・文:バルーチャ・ハシム、原雅明)
http://arban-mag.com/interview_detail/12
遂に来日! カマシ・ワシントン
2015-10-29 21:56:17 (沖野修也ブログ)
http://ameblo.jp/shuya-okino/entry-12089723927.html
■セットリスト カマシ・ワシントン
Kamasi Washington @ Bluenote Tokyo, October 30, 2015 (Second Set)
Show started 21:44
01. Askim
02. The Next Step
03. Abraham (Miles Mosley)
04. Re-Run
Enc. Malcom’s Theme
Show ended 23:13
同日ファースト・セット(ブルーノート・ウェッブサイトより)
http://www.bluenote.co.jp/jp/reports/2015/10/31/kamasi-washington.html
2015 10.30 FRI.
1st
1. CHANGE OF THE GUARD
2. ANAYA
3. HENRIETTA OUR HERO
4. FINAL THOUGHT
EC. THE RHYTHM CHANGES
■MEMBER
Kamasi Washington(sax) カマシ・ワシントン(サックス)
Patrice Quinn(vo) パトリス・クイン(ヴォーカル)
Ryan Porter(tb) ライアン・ポーター(トロンボーン)
Brandon Coleman(key) ブランドン・コールマン(キーボード)
Miles Mosley(b) マイルス・モズレー(ベース)
Tony Austin(ds) トニー・オースティン(ドラムス)
Ronald Bruner Jr.(ds) ロナルド・ブルーナーJr.(ドラムス)
Special Guest:
Rickey Washington
リッキー・ワシントン(ソプラノ・サックス、フルート)
(2015年10月30日金曜、ブルーノート東京、カマシ・ワシントン・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Washington, Kamasi
■ブルーノート・オフィシャル
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/kamasi-washington/
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