◇ジェームス・ブラウン自伝映画『ゲット・オン・アップ』 | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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◇ジェームス・ブラウン自伝映画『ゲット・オン・アップ』

【James Brown Bio Picture “Get On Up”】

自伝。

「ゴッド・ファーザー・オブ・ソウル」「ソウル・ブラザー・ナンバー・ワン」「ミニスター・オブ・ニュー・ニュー・スーパーヘヴィー・ファンク」などのニックネームで知られるジェームス・ブラウンの自伝映画『ゲット・オン・アップ』。全米では2014年8月1日に公開されたが、これをいち早く8月3日厚木基地内の映画館で見てきた。簡単な感想をまだブログにアップしてなかったので、軽くご紹介。
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『ゲット・オン・アップ』は、プロデューサーの一人にミック・ジャガーも名前を連ね、総予算3000万ドル(1ドル100円として約30億円)で製作、現在までに31億円以上の興行成績を収めている。

ジェームス・ブラウンの幼少時の両親との様子、些細なことで刑務所に入り、そこで出会うボビー・バードとバンドを結成し、徐々に人気がでてきて、スターになっていく。その中で絆、裏切り、さまざまな紆余曲折が訪れる。

第一印象は、ジェームス・ブラウン役の主演チャドウィック・ボウズマンがミスター・ブラウンの動き、話し方を本当によく研究しているということ。ミスター・ブラウンのライヴは何度も見て、直接話をしたこともあるが、あのモゴモゴしたしゃべり方はそっくり。しゃべりから、歌に行く流れが実に自然で、ジェームス・ブラウンがしゃべって歌っているように思える。歌はミスター・ブラウンのものだが。ただ唯一本物と違うのは、チャドウィックが背が高いということ。

ストーリーには、さまざまなエピソードがうまくちりばめられており、自伝を読んだ方なら、ああ、ここはこういう感じか、とか、いろいろジェームス・ブラウンの歴史がフラッシュバックしてくる。それぞれのエピソードの映像は、「作り物」とわかっていても、「そうそう」という感じで頷いてしまう。自伝を読んでから見ると、一層楽しめるが、読んでいなくても、十分「ジェームス・ブラウン」という希代の人物のパーソナリティー、歴史を楽しめる。

ライヴ映像も、映画が進むに連れて、ライヴ会場に連れていかれるような錯覚に陥る。ジェームス・ブラウンがボウズマンのダンスを見たら、きっと「よくやった!」と褒めるのではないだろうか。あのスプリット(又割り)、足さばきは見事だ。映画『レイ』でのジェイミー・フォックスばりの熱演だ。『42』でのジャッキー・ロビンソン役につづいて、このジェームス・ブラウン役をこなしたチャドウィックは、一気にアカデミー候補になったと思う。取れなくとも、ノミネートはされていい。

幼少の頃の思い出、ボビー・バードとの刑務所での出会い、ライヴ・アット・ジ・アポロ・アルバムのレコーディング時のエピソード、メシオ・パーカーらミュージシャンが不満を言い、解雇し、「あのシンシナティーの若いやつを呼べ」(ブッツィーを呼べ)と言うあたり、子供の頃、ジェームスを置いて家を出て行ってしまった母との再会、1968年4月、キング牧師暗殺翌日のボストンでのライヴ、カーチェース・・・。(メシオ・パーカー役はクレイグ・ロビンソンという役者なのだが、彼の風貌が一見すると、フレッド・ウェスリーのように見えるのがおもしろい)

そして、大きなサイド・ストーリーとなっているのが、ミスター・ブラウンとボビー・バードの絆だ。ボビー・バードが言う「自分はメインを張る玉じゃない」というセリフが泣かせる。たくさんのヒットが歌われるが、途中から映画の最後を飾る曲は何かと必死に考えたが、これは意外だったが、なるほど、と思った。ブラウンがバードとヴィッキー・アンダーソンへ送るメッセージとなった。

もちろん、70年余の人生を2時間あまり(139分)にまとめると、語られないエピソード、歌われない曲も多数あるが、すべてを盛り込むことは無理。ジェームス・ブラウン・ファンはもちろんのこと、映画を見た後に、いろいろと語り合いたくなる映画であることは間違いない。

ボビー・バード役のネルソン・エリスがよかった。そして、ブラウンのマネージャー役のベン・バート(ダン・アイクロイド)、ブラウンの後見人のような存在となるアウント・ハニー(オクタヴィア・スペンサー)もいい味を出している。

なにより、あの破天荒な人生を生きてきたジェームス・ブラウンという抜群の個性を持った人間を描くだけで、そこには多くのドラマが生まれる。これほど映画にうってつけの素材はない。めちゃくちゃな性格で、自己主張が強く、自分本位で、好き勝手に生きてきた男。

はやく見た人とあーだ、こーだと話をしたい。個人的には、今、一番の押し映画だ。

日本公開は、2015年5月頃で検討中だそう。12月くらいまでには正式発表できそうとのこと。

日本公開決定の折には改めて、ご紹介する予定だ。

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MOVIE>Get On Up

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