■ 吉岡正晴のソウル音楽遍歴　（パート１）～ラジオ『パイレーツ・ロック』から

■ 吉岡正晴のソウル音楽遍歴　（パート１）～ラジオ『パイレーツ・ロック』から

【Radio Program “Pirates Rock”】

遍歴。

大阪のFM局FMココロで放送されているユニークな洋楽番組『パイレーツ・ロック』(毎週日曜日夜8時～10時、FMココロCOCOLO)に誘われていろいろお話してきた分が、2014年8月10日(日)夜放送されました。その内容を2日にわたってご紹介します。今日はそのパート1。

番組は2時間で、30分ずつざっくり4パートに分かれています。各自トーク・テーマは自由だが、その雛形みたいなものがあり、僕はそれに準じて話し、選曲もそれにそったものにしました。前回出演したのは、2013年2月。そのときは僕の音楽遍歴という題でお話ししました。今回は少しフォーカスを専門のソウル・ミュージックに絞り、いかにソウル・ミュージックばかりを聞き出すようになったかの話をしました。

かけた曲の完全セットリストと主なトーク・テーマについて、自分でメモしたものをご紹介します。

番組名；「パイレーツ・ロック」
2014年6月25日(水)収録分・選曲(吉岡正晴分)
放送2014年8月10日(日)午後8時～10時
大阪・FMココロCOCOLO

僕がいわゆるソウル・ミュージックに目覚めてから今日まで、特にぶれることもなく、ソウル・ミュージックが好きで、こんなことをやっているので、その僕のヴァージョンによる僕がどのようにソウル・ミュージックに目覚めたか、また、その接し方にもいくつかのターニング・ポイントがあったので、それを今回は順序だてて整理しつつ、歴史を振り返ってみようと思います。

パート１：　ソウル・ミュージックに目覚めて,
1972年5月の衝撃

1960年代後期からラジオの深夜放送やFENでアメリカのポップスをふんだんに聞くようになっていた僕は、当初はトップ40もの、いわゆるヒット曲を中心に聞いていました。ビルボードのトップ40のチャートをノートに書き写したりしていました。ところが、その中でも特に自分が好きな曲をマークしていくと、どうもブラック系の曲が好きなんだなということに気づき始めます。

1960年代後期、黒人大衆音楽は、リズム＆ブルーズ、略してR&Bと呼ばれていました。それが1970年代初期になると、ソウル・ミュージックと呼ばれるようになります。日本ではニュー・ソウル、ダニー・ハザウェイ、スティーヴィー、ビル・ウィザースなども台頭してきますが、当時はそうした流れを今のように俯瞰してみてはいませんでした。

ラジオを聴き、気に入ったレコードを買い、またレコードを聴きといったことを繰り返していました。ごく初期にソウルもののいわゆる7インチ（17センチ・シングル）ドーナツ盤で入手したうちの2枚がこれです。

タイロン・デイヴィスは、今でこそ、「シカゴ・ソウル」の傑作などと言えますが、当時はただ聞きやすいヒット曲として楽しんでいました。一方、ビル・ウィザースはブラックなのに、あまり黒くない音で、当時は異色だったのですが、なぜかこのメロディー、歌詞には魅かれました。

（曲のタイトル、アーティスト、ヒット時期、S=ソウルチャートでの最高位、P＝ポップチャートでの最高位、G=ゴールドディスク）

M01 Turn Back The Hands Of Time -Tyron Davis　(1970/3, S#1, P#3 Gold)
M02 Ain’t No Sunshine - Bill Withers
(1971/7, S#6, P#3, G)

1972年5月13日付け、ビルボード誌ポップチャートベスト10のうち上位8曲がソウル曲で締められました。僕はそれを「1972年5月の衝撃」と呼んでいます。アメリカの音楽業界でも、ソウル・ミュージックの流れが間違いなく来ていると評判でした。その8曲の中から4曲を。

M03 I Gotcha - Joe Tex　(1972/1, S#1, P2 G　1972/5/13=#2)
M04 Betcha By Golly Wow – Stylistics　(1972/3, S#2, P#3, G　1972/5/13=#6)

フィラデルフィア・サウンドの台頭、メンフィス・ソウル、クイーン・オブ・ソウルのヒットが続きます。ソウル・ミュージックの地域性の話など。

M05 Look What You Done For Me - Al Green (1972/4, S#2, P#4, G　#7)
M06 Day Dreamin - Aretha Franklin　(1972/3, S#1(2), P#5#8)　

パート２　ソウル一直線(1973-1978)

ソウル・ミュージックは、7インチ・シングル盤の世界。しかし、日本盤がなかなか出ない。輸入盤は高い。そこでアメリカ盤を自分で輸入するようになります。そんな中から思い出の曲を。

M07 If Loving You Is Wrong (I Don’t Wanna Be Right) - Luther Ingram　(1972/6, S#1(4), P#3 G)
M08 There’s No Me Without You –Manhattans　(1973/5, S#3, P#43)

1973年頃から桜井ユタカさんのファンジン『ソウル・オン』を手伝うことに。そこから初のライナーノーツ執筆へ。桜井さんの次に僕にチャンスを与えてくださったのは、当時のワーナー・パイオニアの折田さん、次が当時のビクター音産の横田さんです。オンエアでは名前はでませんでしたが、その後ビクターの本多さん、テイチク須賀さん、フォノグラム渡部さんらから次々と執筆依頼が来るようになりました。横田さん担当のフランスのアイスは、のちにラファイエット・アフロ・ロック・バンドと名乗り、それから20年後、ジェイZなどもサンプリングで使うようなアーティストになります。僕の生涯初ライナーは折田さんから依頼されたメジャー・ハリスの『マイ・ウェイ』（「ラヴ・ウォント・レット・ミー・ウェイト」収録）でした。1975年夏のことです。

M09 Love Won’t Let Me Wait - Major Harris (1975/3, S#1, P#5, G)
M10 Hi Fi Woman – Ice (1975/12)

ここでかけたアイスは僕が書いた2枚目のライナーですが、当時はまったく売れませんでした。ところがその後ジェイＺらがサンプリングするようになり、日の目を見るようになります。これには驚きました。

また、1970年代中期はモータウンがまだまだ勢いをもっていました。そんな中から2曲。

M11 I Want You - Marvin Gaye (1976/4, S#1, P#15)
M12 Easy – Commodores (1977/5, S#1, P#4)

2時間目は明日へ。

ENT>RADIO>Pirates Rock>8/10/2014