◎TOKU & Zeebra ライヴ~ジャズとヒップホップがスパークする瞬間 | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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◎TOKU & Zeebra ライヴ~ジャズとヒップホップがスパークする瞬間

【TOKU & Zeebra Live: Where Jazz & Hip Hop Sparks】

点と線。

やっと見られた。前々からトクから絶対来てよ、と言われていたジブラとのコラボ・ライヴ。2013年4月3日(水)ブルーノート東京でライヴを見た。

ジャズ・トランペッター、フルーゲルホーン奏者、トク(TOKU)とヒップホップ、ラップのジブラ(Zeebra)のコラボレーション。見る側も一体何が起こるのか、予想できない。唯一の接点はそのルーツだ。ブラック・ミュージックの奥深いところで、両者はつながっている。お互い10年近く知り合いという二人が2012年12月横浜モーション・ブルーでやって好評だったものを大阪・名古屋とまわり東京で締めた。

フリースタイルのラップとつねにアドリブをこなすジャズ・ミュージシャンたち。確かにその相性はよさそうだ。冒頭から二人のほとんどフリースタイル。これは興奮する。歯切れのいいラップとときにアグレシヴなトクのトランペットが微妙にからみあうとき、ジャズとヒップホップの邂逅からまさにケミストリーが生まれる。これぞライヴ・ミュージックの醍醐味だ。

下記セットリスト06、ドラム・ビートのところ、DJとミュージシャンのバトルのところは、本当にスリリングな見所。本人たちも何がでてくるかわからない。その場でPCに入っている曲からドラムリフを出す。そして数小節やってそれと同じようにドラムの石若がなぞる。上手だ。ガチンコ勝負。

サンプリングについてジブラの説明がおもしろかった。「アンディ・ウォーホルというアーティストが、キャンベル・スープの缶を並べて自分の作品として発表する。キャンベル・スープの缶をデザインした人は別にいるけど、それをたくさん並べてひとつにしたのはアンディで、サンプリングとかはそういうこと」 うまい説明で納得した。

ドラマーのあと、トクもトランペットでハーブ・アルパートの「ライズ」をやったり、いろんな曲を再現。実にスリリングでおもしろかった。ここのコーナーは、毎回曲がちがうという。

トクのアドリブ力、ミュージシャンとしての他のアーティストとのコラボ力は、何十回と見ているトクズ・ラウンジなどで明らかだが、この日は一段階上のレヴェルでステージをこなしていたような気がする。それはこのブルーノート、しかも超満員という空間でヒップホップという異業種との格闘技だったから余計にアドレナリンが出ていたからかもしれない。

ジブラは前日4月2日が誕生日ということで、アンコールの頭でスタッフよりスペシャル・バースデイ・ケーキとバンドメンバーから「ハッピー・バースデイ」のサプライズ演奏。

このドラムリフ、さらにいくつかわからない曲名をライヴ後ジブラさん直々に教えてもらった。大感謝。

誕生日、マーヴィン・ゲイと同じですよね、とふると「そう、『ホワッツ・ゴーイング・オン』が出た年なんですよ」と誇らしげに語ってくれた。そうかあ、『ホワッツ・ゴーイング・オン』が出た年の、しかもマーヴィンの誕生日に生まれているというのは、何か持ってる。

ブルーズ、ジャズ、R&B、ソウル、ファンク、ヒップホップ…。ブラック・ミュージックには様々な色がある。さらに、ロック、フュージョン、ネオソウルと様々な音楽要素があちこちに点在している。そうした点と点がこの二人によってひとつの線になった夜だった。

ジャズからヒップホップへ、根元を同じくするその木になる実は豊潤で実においしい。

■ ウォーホルのものはキャンベル・スープの缶が無数に並んでいる。これは一個だけなのかな?



■ Zeebra公式ページ

http://www.zeebra.jp/

■ TOKU公式ページ

http://www.toku-jazz.com/

■ セットリスト
TOKU & Zeebra At Bluenote, Tokyo, April 3, 2013
(セットリストは、主な楽曲は同じですが、DJ部分、アドリブ部分は毎回ちがいます)

show started 21:49
01. Blues (Jam) – riff of Under The Cherry Moon – riff of Get On The Good Foot
02. Fly Me To The Moon (Frank Sinatra, etc)
03. Love Shines
04. Party Check Out – including a riff of Brazilian Rhyme
05. Escape
06. Zeebra DJ time: DJ Vs Musicians: A) DJ Zeebra's drum riff VS drummer : Impeach The President (Honey Drippers) – Synthetic Substitution (Melvin Bliss) – Sneakin’ In The Back (Tom Scott & L.A.Express) – Walk This Way (Aerosmith) – Big Beat (Billy Squier) – Funky Drummer (James Brown), B) DJ Zeebra's play riff VS musicians: Freddies Dead (Curtis Mayfield) – I Like It (DeBarge) – Rise (Herb Alpert) – Whatcha Gonna Do For Me (Chaka Khan) – Don’t Stop ‘Till You Get Enough (Michael Jackson) – Started From The Bottom (Drake) – Young Wild & Free (Snoop Dogg & Wiz Khalifa) –One Love (Bob Marley) - Make It Bur Dem (Damian Marley)
07. Do Bop Song (Miles Davis)
08. Original Rhyme Animal
09. Music Is The Key~未来への鍵 (Weldon Irvine – Bernard Wright)
Enc. Happy Birthday (To Zeebra)
Enc. Kiss Of Life (Sade)
Show ended 23:13

■ メンバー

TOKU(flh,vo) TOKU(フリューゲルホーン)
Zeebra(MC) Zeebra(MC)

Jun Miyakawa(p,key) 宮川純(ピアノ、キーボード)
Satoshi Yoshida(g) 吉田サトシ(ギター)
Satsuki Kusui(b) 楠井五月(ベース)
Shun Ishiwaka(ds) 石若 駿(ドラムス)

Very special thanks to Zeebra and TOKU for making this setlist.

(2013年4月3日水曜、ブルーノート東京、トク&ジブラ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>TOKU & Zeebra

■ (新曲)Music Is The Key / TOKU & Zeebra
(配信オンリー、2013年4月3日リリース)

https://itunes.apple.com/jp/album/music-is-key-wei-laiheno-jian/id623007583?i=623008102&ign-mpt=uo%3D2

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