●セシル・ウォーマック、南アフリカで65歳で死去 | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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● セシル・ウォーマック、南アフリカで65歳で死去

【Cecil Womack Dies At 65】

訃報。

夫婦デュオ「ウォーマック・ウォーマック」のセシル・ウォーマックが2013年1月25日金曜、南アフリカで心臓発作のため死去した。65歳。訃報は「ソウル・ソース」誌が2月1日付けで報じた。また、南アフリカ・ヨハネスブルグのラジオ局KAYA-FMのDJラニ・ボサは、1月30日(水)付けのツイッターで、リンダ・ウォーマックらのゼカリヤス・ファミリーがゲスト出演したときに、セシルが先週金曜(25日)に亡くなったと語ったとツイートしている。さらに、当ソウル・サーチンも、娘の一人コメヤ・ゼカリアスに直接確認したところ、「1月25日に心臓発作で亡くなった」という情報を得た。したがって一部ウィキなどにでている命日2月1日は間違っているものと思われる。なお、セシルの発音だが、「スィースル」が近い。またウォーマックの発音は、「ウーマック」ではなく、「ウォーマック」が近い。

また、兄のボビー・ウォーマックが2013年2月7日付けのオフィシャル・フェースブック・ページで次のようなコメントを発表した。

I was terribly upset when I heard about my brother's passing, and I still am. We made music together for a long time, but we've had many differences over the years. Thankfully we got a chance to reunite last year after a very long separation - and little did I know that it would be the last time I would see him. I can only pass along what I have now learned, which is to not let anything - money, success, etc, come between you and your family.

- Bobby Womack

このコメントを見ると、ボビーとセシルの間には少なからず確執のようなものがあり、長い間話をしていなかったようだ。しかし、もちろん実弟の死には衝撃を受けている。

https://twitter.com/LaniBusyB  (1月30日付け)

セシルたちの娘のひとり(子供がたくさんいる)ゼカチャグーラ・ゼカリアスがボビー・ウォーマックのバックコーラスの一員として昨年来日していた。彼女はサム・クックの孫ということになる。

セシル夫妻は1992年アフリカ、ナイジェリアでゼカリアス部族で出会い、ウーマック姓を改めゼカリアスにした。同部族では家長(セシル)はファミリー名(ゼカリアス)だけを名乗る。現在はアフリカ在住だったということで、南アフリカに居住していたようだ。

記事によると遺灰は、近くの川に流されたそうだ。

評伝。

セシル・ウーマックはウーマック家の5人兄弟の5男。1947年9月25日オハイオ州クリーヴランド生まれ。兄弟でヴァレンティノスを組みゴスペルを歌ってきた。彼らはR&Bシンガー、サム・クックの愛弟子として活動。ヴァレンティノスとして「イッツ・オール・オーヴァー・ナウ」などのヒットをだし、これはイギリスのローリング・ストーンズがカヴァーしてヒットさせた。

サム・クックは1964年12月11日、ロスのモーテルでモーテルの女主人に銃で撃たれ33歳で死去。その後、兄のボビーはサム・クックの未亡人バーバラ・キャンベルと結婚。しかし、サムの娘リンダは義理の父となったボビーと折り合いが悪く、リンダは家を追い出されるように出て行く。ボビーとバーバラは1970年に離婚。

一方、1967年セシルはモータウンで「マイ・ガイ」のヒットを放った女性R&Bシンガー、メリー・ウェルズと結婚。3人の子供をもうけるが1976年、離婚。(なお、メリー・ウェルズとの結婚以前に一人息子がいるという) その後、幼馴染であるリンダと縁りを戻し、1977年、結婚。その後現在まで夫婦となっていた。

リンダとセシルは共に同じ価値観を共有し、曲を一緒に書くなど音楽活動を進めた。

彼らは、「ウーマック&ウーマック」として1983年、アルバム『ラヴ・ウォーズ』でエレクトラからレコード・デビュー。ここからは、「ベイビー・アイム・スケアード」「ティアドロップス」などのヒットが誕生。その後コンスタントにアルバムを出す一方、彼らの楽曲がテディー・ペンダーグラス、ベット・ミドラー、ジョス・ストーン、ボズ・スキャッグス、エリック・クラプトンら多くのシンガーたちによって取り上げられ、歌われてきた。

ウォーマック・ウォーマックについては、吉岡正晴著『ソウル・サーチン』の第5章でその歴史と詳細なソウル・サーチンの物語が描かれています。詳しくお知りになりたい方は図書館などで本を入手してお読みください。

絶版で中古のみ。なお、少しずつ加筆修正して電子書籍化されています。このうち、ミニー・リパートン、ハーヴィー・フークワ、ナタリー・コールがすでに発売されています。

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OBITUARY>Womack, Cecil (September 25, 1947 – January 25, 2013, 65 year old)