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●フランク・ウィルソン~モータウン・プロデューサー、死去

【Motown Producer Frank Wilson Dies At 71】

訃報。

モータウンの名プロデューサー、フランク・ウィルソン(Frank Wilson)が 2012年9月27日、カリフォルニア州デュアルテの病院で死去した。71歳。前立腺癌を患っていた。パサディナに住んでいた。モータウン時代にはマーヴィン・ゲイ、シュープリームス、テンプテーションズなど多数の作品をてがけた。彼がてがけた最大のヒットは元テンプテーションズのリード・シンガーだったエディー・ケンドリックスの「キープ・オン・トラッキン」。1973年に全米1位を記録している。

一度1976年に音楽業界から足を洗い、牧師の仕事に付いたが、1978年頃、再度音楽業界入りし、教会の仕事もしていた。

評伝。

フランク・ウィルソンは1940年12月5日テキサス州ヒューストンに6人兄弟の3番目として生まれた。バートン・ルージュ・サザン大学に18ヶ月ほど通ったが、スポーツ選手としての奨学金がもらえなくなり、別のキャリアをめざしロス・アンジェルスへ。1964年頃、モータウンがロス・アンジェルス・オフィースを開設するにあたり、モータウン入り。1965年12月にモータウン傘下VIPレコードからリリースされたパトリース・ハロウェイの「スティーヴィー」というシングル盤が、フランクのかかわった最初のレコードだという。

1966年、一度モータウンがロスのオフィースを閉鎖するときに、フランクはデトロイトに移っている。

また1965年頃、自身が書きデモ・テープとして歌った「ドゥ・アイ・ラヴ・ユー」がプレスされるが、モータウン・ベリー・ゴーディー社長に「シンガーとしてやっていくか、プロデューサーをやるか」と迫られ、後者を選択。ゴーディー社長は250枚プレスされたサンプル・シングルを破棄。正式発売されなかったが、この曲自体は後にクリス・クラーク(モータウン初の白人シンガー)が録音しているが、これも当時はリリースされなかった。イギリスではこのシングルが1979年いわゆる再リリース(=リイシューされた。といっても、正確には最初にリリースされていないので、発掘リリースといったニュアンス)され、同地のノーザン・ソウル・シーンで大変人気を集め、さらに2004年にはクリス・クラークのヴァージョンも含めてリリースされていた

さらに1965年のオリジナル・プレスの1枚がなぜかイギリスにわたり2009年5月オークションにかかり、これがシングル1枚に4万ドル近い値が付き、1枚のシングル盤についた値段としては最高額としてギネスブック入りし大きな話題を集めた。

その楽曲Do I Love You (Indeed I Do)
http://youtu.be/xwvpeYiQwss



彼がてがけた作品では1967年のブレンダ・ハロウェイの「ユーヴ・メイド・ミー・ソー・ベリー・ハッピー」が、後にブラス・ロックのブラッド・スゥエット&ティアーズによってカヴァーされ大ヒットした。

ウィルソンは、プロデューサーとしてシュープリームスの「ラヴ・チャイルド」、またダイアナ・ロスが抜けた後の新生シュープリームスのシングルを当初からプロデュースした。他に、1973年エディー・ケンドリックスの「キープ・オン・トラッキン」などの大ヒットをプロデュース、これが全米ナンバーワンを記録。

1976年、一度牧師になるため音楽業界を引退するが、1978年頃復帰。プロデューサーとして、アルトン・マクレイン&デスティニー(日本でも人気の高い「イット・マスト・ビー・ラヴ」の大ヒット)、タワー・オブ・パワーのリード・シンガー、レニー・ウィリアムス、マリリン・マックー&ビリー・デイヴィス・ジュニア、ニュー・バースなどをプロデュースした。

葬儀は2012年10月5日(金)午前10時半から。イングルウッドのFaithful Central Bible Church's Tabernacleで。

音楽業界誌ビルボードによるフランク・ウィルソンのプロデューサーとしてのトップ20リスト。

FRANK WILSON'S TOP 20 HITS AS A PRODUCER ON THE HOT 100
(Position-Title-Artist-Peak Position on Hot 100-Year)

1 Keep On Truckin' (Part 1), Eddie Kendricks, No. 1 for 2 weeks (1973)
2 Love Child, Diana Ross & the Supremes, No. 1 for 2 weeks (1968)
3 Boogie Down, Eddie Kendricks, No. 2 (1974)
4 I'm Gonna Make You Love Me, Diana Ross & the Supremes and the Temptations, No. 2 (1969)
5 Stoned Love, The Supremes, No. 7 (1970)
6 All I Need, the Temptations, No. 8 (1967)
7 Up the Ladder to the Roof, the Supremes, No. 10 (1969)
8 Shoeshine Boy, Eddie Kendricks, No. 18 (1975)
9 Still Water (Love), Four Tops, No. 11 (1970)
10 I'm Livin' in Shame, Diana Ross & the Supremes, No. 10 (1968)
11 Nathan Jones, the Supremes, No. 16 (1971)
12 Everybody's Got the Right to Love, the Supremes, No. 21 (1970)
13 It Must Be Love, Alton McClain & Destiny, No. 32 (1979)
14 Chained, Marvin Gaye, No. 32 (1968)
15 MacArthur Park (Part II), Four Tops, No. 38 (1971)
16 You've Made Me So Very Happy, Brenda Holloway, No. 39 (1967)
17 Down to Love Town, the Originals, No. 47 (1976)
18 (It's the Way) Nature Planned It, Four Tops, No. 53 (1972)
19 Whole Lot of Shakin' in My Heart (Since I Met You), the Miracles, No. 46 (1966)
20 Castles in the Sand, Little Stevie Wonder, No. 52 (1964)

(参考資料)
http://www.billboard.biz/bbbiz/industry/record-labels/frank-wilson-s-chart-legacy-from-the-supremes-1007965202.story

LAタイムス2012年10月3日付け
http://www.latimes.com/news/obituaries/la-me-frank-wilson-20121003,0,2467483.story?track=rss&utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter&dlvrit=53008

2012年9月28日BBCニュース
http://bbc.in/PWn6SW

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OBITUARY>Wilson, Frank (December 5, 1940 – September 27, 2012, 71 year old)