●チャールズ“スキップ”ピッツ~「シャフト」のギタリスト、死去 | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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● チャールズ“スキップ”ピッツ~「シャフト」のギタリスト、死去

【Charles Pitts Dies At 65 : Wah Wah Guitar of “Shaft” Fame】

訃報。

メンフィスをベースに活躍したソウルフルなギタリスト、チャールズ“スキップ”ピッツが、2012年5月1日、メンフィスの病院で死去した。65歳。癌を患っていた。ピッツでもっとも有名なギターリフは、アイザック・ヘイズの大ヒット「シャフト」。ワウワウがかかったそのギター・サウンドが特に印象的だった。葬儀はワシントンDCで行なわれ、メンフィスでお別れの会が開催される予定だという。

評伝。

チャールズ・ピッツは、1947年4月7日、ワシントンDC生まれ。叔父がDCの有名なシアター、ハワード劇場の隣でホテルを経営していたことから、ハワードに登場する多くのR&Bアーティストらと知り合い、音楽業界に足を踏み入れた。

1960年代中期から同地を本拠にギタリストとして活動、R&Bグループ、コースターズ、ジーン・チャンドラー、ウィルソン・ピケット、アイズレー・ブラザーズなどとプレイした。ジーン・チャンドラーのヒット「レインボー65」ではギタープレイが録音されている。

特にアイズレーのバックバンドをしばらく担当し、その最中に、アイズレーの1969年3月から大ヒットとなった「イッツ・ユア・シング」のギターリフを生み出した。

1970年、アイザック・へイズの誘いでメンフィスに移住。アイザックのツアー・メンバーとして彼の死去まで帯同した。同時に同地のスタジオ、スタックス、ハイなどのセッションでも活躍。スタックス時代にはルーファス・トーマスの「ブレイクダウン」、ソウル・チルドレンの作品、テンプリーズの「デディケイテッド・トゥ・ザ・ワン・アイ・ラヴ」、アル・グリーンの「アイ・キャント・ストップ」、また、シンディー・ロウパーの最新作『メンフィス・ブルーズ』でもプレイしている。

彼のギターでもっとも有名なものは、アイザック・ヘイズで1971年に大ヒットし全米1位になった映画『シャフト』のテーマ。ワウワウがかかったギターリフがひじょうに印象的で、ヒットに大きく寄与した。また、これより先、アイズレー・ブラザーズのバンドに参加したことで、1969年にアイズレーの大ヒット「イッツ・ユア・シング」の印象的なギターもチャールズのプレイだ。「シャフト」や「イッツ・ユア・シング」などのギターリフはその後多数サンプリングで使用されている。

チャールズは、1972年のスタックス・レコードが行った大イヴェント『ワッツタックス』にもアイザック・ヘイズ・バンドの一員として登場している。

「シャフト」のレコーディング・セッションは、すでにこの曲が映画のとの部分に使われるかだいたい決まっていた。主役シャフト(リチャード・ラウンドトゥリー)が、タイムズ・スクエアのところを走ったりしているシーンだ。

スタジオでドラマーのウィリー・ヘイルが、シンプルなアップテンポのドラムを叩いていて、そこにアイザックがピアノでアクセントをつけようとしていた。そして、ちょうど、チャールズがいろいろなペダルで音をチューニングしていたところ、そのうちのひとつ、ワウワウの音が印象的だったので、アイザックがぴんときて「Gオクターヴでそれをやってくれ」と言い、あのリフが録音された。

スキップは、オーティスに傾注していたので、同じスタックスのギタリスト、スティーヴ・クロッパーも尊敬し、傾注していた。

1998年、スタックスのアーティスト、サー・マック・ライスの要請で結成されたボーキーズのメンバーに。ここにはスコット・ボマー(1974年6月15日メンフィス生まれ)、チャールズ、ベン・コーリー(元バーケイズ)、ハワード・グライムス(ハイ・セッションで有名)、アーチー・ターナーなどがメンバー。

ボーキーズとして『ザ・ロイヤル・セッション』を1998年にリリース、その後、アル・グリーンのカンバック・アルバム『アイ・キャント・ストップ』に参加した。その後、2005年映画『ハッスル&フロー』、2008年映画『ソウル・メン』などに3曲で参加。

■ 5月6日(日)の『ソウル・ブレンズ』内「ソウル・サーチン」(インターFM76.1mhz、2時半~)で追悼特集する予定です。

関東地区の方は、ラジコでも聴けます。
http://radiko.jp/player/player.html#INT

メンフィスの裏方ミュージシャンとしては、先にメンフィス・ホーンズのアンドリュー・ラヴが2012年4月12日に死去している。

アンドリュー・ラヴ追悼~オーティスの「トライ・ア・リトル・テンダーネス」
2012年04月24日(火
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11225317174.html

■チャールズのギターリフとしてもっとも有名な「シャフト」

アイザック・ヘイズ「シャフト」(『ワッツタックス』から)
http://youtu.be/L2cHkMwzOiM



アイザック・ヘイズ「シャフト」(映画『シャフト』から)
http://youtu.be/rYriOuyJU5I

Shaft: Music From The Soundtrack (1971 Film)

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■アイズレー・ブラザーズ「イッツ・ユア・シング」(1969年のテレビ番組から)
http://youtu.be/pQ8g6ecFm7o



バックバンドの中央のギタリストが、チャールズらしい。

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■ルーファス・トーマス「ブレイクダウン」

http://youtu.be/hEYKGj-K1rs



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■ メンフィスの新聞記事

Stax music great, guitarist Charles 'Skip' Pitts dies
By Bob Mehr
Posted May 1, 2012 at 1:55 p.m., updated May 1, 2012 at 11:28 p.m.
http://www.commercialappeal.com/news/2012/may/01/stax-music-great-charles-skip-pitts-dies/


OBITUARY>Pitts, Charles (April 7, 1947 – May 1, 2012, 65-year-old)