●(速報)ジミー・エリス(トランプスのリード・シンガー)74歳で死去~「ディスコ・インフェルノ」 | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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● ジミー・エリス(トランプスのリード・シンガー)74歳で死去~「ディスコ・インフェルノ」の大ヒット

【Jimmy Ellis, Lead Singer Of Trammps, Dies At 74】

訃報。

1970年代に「ディスコ・インフェルノ」などの大ヒットで一世を風靡したディスコ、ソウル・ヴォーカル・グループ、トランプスのリード・シンガー、ジミー・エリスが2012年3月8日木曜・朝、サウス・キャロライナ州のナーシング・ホーム(老人ホーム)で死去した。74歳。アルツハイマー症の合併症で死去したと娘さんのエリカ・スティンソンさんが語っている。同州ロック・ヒルという街に生まれ、今でもそこに住んでいた。妻ベヴァリーさん、3人の兄弟、姉妹、息子、8人の孫、2人のひ孫によって送られる。「ディスコ・インフェルノ」の「バーン・ベイビー・バーン、ディスコ・インフェルノ~~」のフレーズはいまだに世界中のダンサーの脳裏に焼きついている。

評伝。

ジミー・エリスは、本名、ジェームス・トーマス・エリス2世、1937年11月15日サウス・キャロライナ州ロック・ヒル生まれ。6人兄弟の長男。十代の頃からセント・メリー教会でゴスペルを歌っていた。地元のエメット・スコット・ハイスクール卒業後、フィラデルフィアに移り、ヴォルケイノスやエクセプションズ(「ダウン・バイ・ザ・オーシャン」の小ヒット)に参加。このヴォルケイノスは、1970年代に入り、トランプスへ。

トランプスの由来は彼らがフィラデルフィアのストリートで歌っていた頃、警官から「you are tramps (お前たち、浮浪者、ホームレス)」などと言われていたから。しかし、そこにもう少しハイクラスな雰囲気を出そうと「m」をもうひとつ付け加えてTrammpsにした。

1972年、ブッダ・レコードからジュディ・ガーランドの作品をドゥーワップ調にカヴァーした「ジング・ウェント・ザ・ストリングス・オブ・マイ・ハート」がニューヨークのディスコでヒットしたことから、ダンサブルな作品を多数出すようになり、フィリー・ソウルの大ブームとあいまって、人気となった。

一連のヒットの迫力ある高音のソウルフルなリード・ヴォーカルがジミー・エリス。トランプスの顔とも言える人物だ。

このトランプスには、もう一人、ドラマー兼ヴォーカルを担当するアール・ヤングがおり、ヤングは大変低い声の持ち主で、トランプスのベース・ヴォーカルも支えた。ヤングとエリスの高音、低音があるために、実にヴァリエーションに富んだヴォーカル・ハーモニーが楽しめ、単なるディスコ・グループの枠を超え、ソウル・ヴォーカル・グループとしても大きな魅力を持っていた。

アトランティックに移籍しリリースした「ディスコ・インフェルノ」が1977年末公開の映画『サタデイ・ナイト・フィーヴァー』(ジョン・トラヴォルタ主演のディスコ映画)で使われたことから世界的な人気アーティストとなった。

同サウンドトラックは当時1500万枚以上売れ、マイケル・ジャクソンの『スリラー』が登場するまで、音楽史上もっとも売れたアルバムとなっていた。1979年にグラミー賞「アルバム・オブ・ジ・イヤー」を獲得。ここに収録されたアーティストはすべてグラミーのトロフィーをもらったので、ジミーもグラミー受賞シンガーということになる。

ジミーは、2000年、生まれ故郷ロック・ヒルに戻り、静かに暮らしていたが、2010年くらいまではトランプスの仕事があればでてきていたようだ。2008年ごろからアルツハイマーの症状が少しずつ出てき始めていたという。

■「なるほど! ザ・ワールド」のテーマ

日本では、「トランプス・ディスコ・テーマ」が、フジテレビ系列で1981年から放映され人気を集めた番組『なるほど!ザ・ワールド』の番組スタート時から1990年までオープニング・テーマ曲となり、よく知られるようになった。また、これはその後2006年ANA(全日空)、2011年、エネオス(ENEOS)エネファームのCM曲としても使用された。

この曲の成り立ちはひじょうにユニークで、こんな歴史がある。

そもそもこれは、上記で触れた彼らの初ヒット「ジング・ウェント・ザ・ストリングス・オブ・マイ・ハート」のシングルのB面に同曲のインストゥルメンタルが収録されていた。これが当時のディスコDJの間で人気となり、シングル2枚使いでディスコ・プレイされたりしていた。インストが大変よく出来ていたため、彼らは75年これをゴールデン・フリースから出すアルバムで再録音した。それが、「トランプス・ディスコ・テーマ」とタイトルされた。だから、本当だったら、「ジング…」が元歌なのだが、もはや彼らの作品になってしまったのだ。

そして、日本ではこのインストがテレビのテーマに使われ、毎週かかることから、当時はシングルがけっこう売れてヒットした。

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なお、ジミー・エリスというと、アメリカでは同名のボクサーが有名で、検索をかけると、そのボクサーのことが多数でてくる。

今週金曜(9日)、地元で、また後日、フィラデルフィアでメモリアル・サーヴィスが行われるという。

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「シャウト」(アイズレイ・ブラザーズのカヴァー)まさに現代版ドゥーワップ。

http://youtu.be/_HPQ4uySAYA



長くアルバムがなかったため、当時はシングル盤しかなく、僕もよくシングルをディスコでもかけた。しかも「ホエア・ドゥ・ウイ・ゴー・フロム・ヒア」のシングルのB面で、チャート的にはヒットしない。今回この映像を発見して、かなり驚いた。

「ジング・ウェント・ザ・ストリングス・オブ・マイ・ハート」
http://youtu.be/vx0pnqoenbQ


これの最初の高音ヴォイスがジミー・エリス、次にでてくるベース・ヴォーカルがアール・ヤング。グループのドラマーでもある。彼らの快進撃はすべてここから始まった。このブッダからのシングル盤のB面にインスト・ヴァージョンが収録され、それが当時重宝された。後にトム・モールトンがこれをリミックスする。

「トランプス・ディスコ・シーム」

http://youtu.be/dZp9ugHctCY


「ジング…」をインストにし、洗練されたサウンドにしたもの。もともと「ジング…」のシングルのB面に入っていたインスト・ヴァージョンを再録音した。これは日本では1980年代に人気となったフジテレビ系列の番組『なるほどザ・ワールド』のテーマ曲になった。本来なら「ジング…」の作者がクレジットされるべきなのだが、ここではトランプスのメンバーがクレジットされている。

「ディスコ・インフェルノ」

http://youtu.be/A_sY2rjxq6M



いずれも、リードがジミー・エリス。おなじみ、彼らの最大のヒット。

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トランプスについては、もう少し続くかもしれません。

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■ トランプス (「シャウト」「ディスコ・テーマ」など収録)

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OBITUARY>Ellis, Jimmy, Nov 15, 1937 – March 8, 2012, 74 year-old

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