■「ビッグ・スペシャル~モータウン特集」を終えて | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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■ 「ビッグ・スペシャル~モータウン特集」を終えて

【After “Big Special”】

こぼれもの。

9月9日の午前1時から4時まで生放送で、「ビッグ・スペシャル~モータウン特集」で、モータウンについてお話をしてきた。3時間の生放送、あっという間。お話する内容を簡潔にとは思っても、やはりそこは横道にそれることもあり、話しそびれたことも多数ある。

1時間目は、モータウン、モータウン創始者ベリー・ゴーディーの歴史。モータウンを1959年から1971~2年頃までを第一期、71~2年頃から1988年までを第二期、1988年以降を第三期として、この一期と二期の話を中心にした。

モータウン成功の大きなカギは、ベリー・ゴーディーの類まれな商才、ヒット曲を聴き分ける耳をもち、ヒットを生み出すシステムを作り、優秀なシンガー、ソングライター、プロデューサーを競わせベルトコンヴェア式に大量の作品を作り出したこと、などがあげられる。

話そびれたのが、アーティストにいろいろなことを教えるマキシン・パウエル、振り付けをしたチョーリー・アトキンスのこと、プロデューサーに毎日5曲作らせ、そこから毎週金曜の会議にベストの2曲を出せというベリーの指示のこと、モータウン自体がレコードをつくるだけでなくアーティストのマネージメントもする包括的なエンタテインメント会社だったこと、黒人のインディ・レーベルにしては珍しくテレビを宣伝媒体として初期から使おうとしていたことなどを話そこねた。

僕も「モータウンって何ですか」とか「モータウンについて教えてください」ということをちょくちょく訊かれる。できるだけ簡単に話そうとするのだが、それでもさまざまな複雑な要因があってそれを話し出すとキリがない。いつか、「誰にでもわかるモータウン・サウンド、モータウンの歴史」みたいな本を書いてみたいと思う。

ここではもっとモータウンの裏方、バックバンドのファンク・ブラザーズの話をしたかったのだが、あまりできなかった。

実はこれにあたって『永遠のモータウン(Standing In The Shadows Of Motown)』のDVDを久々に見た。そのあたりの話もしようと思ったが、時間がなかった。ファンク・ブラザーズを調べている過程でベース奏者、故ジェームス・ジェマーソンの後釜として活躍していたボブ・バビットについてちょっと調べていたら、けっこうおもしろいエピソードがあったので、それも紹介したかった。

ボブはモータウンを辞めた後ニューヨークにやってきて、たくさんのセッションをこなすようになる。そのうちのひとつにグラディス・ナイト&ザ・ピップスの「夜汽車よジョージアへ」やスピナーズの「ラバーバッド・マン」などがある。ボブのストーリーもおもしろそうなので、いずれまとめてみたい。

また、エンジニアのボブ・オルソンのことも知ったりしたので、これもまたいずれ。

それにしても、この何の変哲もない普通の音楽番組というのがとてもいい。昔はこういう番組がたくさんあったが、これから、このような音楽番組がもっと増えればいいと思う。

深夜にもかかわらずたくさんのツイートやメッセージをありがとうございます。そして、小山さん長丁場のお相手ありがとうございました。

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