◎ドクター・フィリップ・ウー~ブルーノートをファンキー・ジョイントに(パート1) | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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◎ ドクター・フィリップ・ウー~ブルーノートをファンキー・ジョイントに(パート1)

【Dr. Philip Woo Make Bluenote Funky Joint】

熱気。

東京ズ・オウン・ファンキー・キーボード奏者、フィリップ・ウーが「ドクター」の称号を授かり、ソウルフルな仲間と組んだ東京・ソウル・ジャム。『ソウル・ブレンズ』や、『東京メットポッド』、あるいはメンバーのフェースブックなどで告知した結果、先週までは半分くらいの予約だったものが、この2-3日で急速に予約が伸び、ふたを開けたら予備席まで出す超満員の大入りになった。応援団としてはまさに嬉しい誤算。通常は、ブルーノートは70分程度のショーを入れ替え制だが、この日は2時間超のワンステージ。めちゃくちゃ盛り上がった。本当に予想以上に盛り上がった。特に最後の2曲当たりは、観客が総立ちで踊り、会場の気温も3度は上がったのでないかと思わせられた。

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サイン

メンバーもふだん『ソウル・サーチン』や、フィリップ、ブレンダ、ケイリブなどのショーでおなじみの強力なソウル部隊。そして、楽曲もフィリップ、ブレンダたちもかなり歌いこんでいる作品ばかりということもあるが、なによりも、外国人客の多い満員の観客のリアクションが素晴らしく、その反応にミュージシャンたちがよりモチヴェーションを上げた感じが強かった。本当にライヴとは、ミュージシャンと観客で作るものだということが如実にわかったライヴだった。今まで何度も彼らの、そして、フィリップのライヴを見てきたが、今までで一番よかったと思う。やはり、2時間ノンストップというのは、集中が途切れずいい環境を生み出す。

東北大震災のチャリティー・イヴェントということも手伝ってか、超満員になったライヴは選ばれた楽曲もポジティヴなものばかり。

バンドの各メンバーのソロまわしも、シンガーたちのソロも実に見ごたえ、聴き応えがあった。

デイヴィッドの「アイル・ライト・ア・ソング・フォー・ユー」は、まさにフィリップ・ベイリーを彷彿とさせる実に力強い歌声。客席からため息がもれた。

吉岡正晴のソウル・サーチン-2階から全体 IMG_9587.jpg吉岡正晴のソウル・サーチン-フィリップ、通路 IMG_9626.jpg
左・ブルーノート・ソウル・ジョイント、右・アンコールを終えて通路に戻るフィリップ(握手しているのは屋敷豪太さん)

ケイリブが歌う「ビー・サンクフル・・・」「ホワイ・キャント・ウィ・ビー・フレンズ」も似たメッセージ。そして、「ヒー・エイント・ヘヴィー…」も感動的なパフォーマンスだった。「彼はやっかいものじゃない、彼は僕の兄弟だから」と歌う、言ってみれば助け合いソングのひとつでもある。被災地向けにあったメッセージだ。この曲のバックグラウンド・ストーリーはなかなかおもしろいものがあるので、改めて書いてみたい。

そして、ブレンダの「ゲット・ヒア」。これが彼女が歌うとチャーチー(教会っぽく)に、ゴスペル色たっぷりになる。そして、後半はブレンダがアドリブっぽく歌詞を作り上げ、これまた感動的にした。この曲は湾岸戦争のときに、戦地にいるアメリカの兵に向けてのメッセージになったが、やはり、被災地の人へ向けての熱いメッセージにもなっている。ブレンダのこのパフォーマンスは何年経っても素晴らしい。

その他の曲も、全部、いちいち解説ができるほどの重い、そして思いのこもった楽曲ばかりだ。

特別ゲストで登場した橋本江莉果は、今年ソニーが一押しで売り出す新人。プロデューサー、2ソウルのケン小堀さんが力をいれてプロデュースし、フィリップ・ウーがライヴ・バンドのバンドマスターを務めるというシンガーだ。初めて聴いたが、なかなかいい声をしていた。特にポイントは、あまりクセがなく、決して嫌われない声だということ。これは大きい。今回はフィリップ・アレンジの「涙そうそう」を歌った。

ブレンダは、今回ニーナ・シモンの「フィーリング・グッド」、「ゲット・ヒア」、そして「グランドマズ・ハンド」とすっかりソロで披露してきた作品群を完璧に自分のものにして歌いきった。

そして、のりのりになったグルーヴは、メイン・イングレディエントの大ヒット「ハピネス・・・」。これでもはやディスコ状態で、観客は総立ち。そして、アンコールで、グラディス・ナイトの「フレンドシップ・トレイン」。これも、メッセージがどんぴしゃの選曲だ。

日本在住のソウル・ミュージシャンたちのソウル・ショー。この「ソウル・サーチン・ブログ」でも数え切れないほど書いているが、このブルーノートという舞台でやると、またひときわ輝いて見えるからおもしろい。こういうショーが半年に一度とか、3ヶ月に1度くらいでも、できるといいのだが。

観客のヴァイブ、リアル・ミュージシャンのグルーヴが一体化して素晴らしい夜となった。

(この項つづく)

(写真提供・フィリップ・ウー)

■ 関連アーティストライヴ記事(一部) フィリップ・ウー関連

2010年08月05日(木)
フィリップ・ウー&フレンズ・ライヴ(パート1): 東京ナンバーワン・ソウルフル・ナイト ~
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10610344511.html
「グランドマズ・ハンド」についての話など

2010年08月06日(金)
フィリップ・ウー&フレンズ・ライヴ(パート2): ケーブルテレビを無料で見る方法
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10610466616.html#main

July 13, 2006
Philip Woo Band: So Tight, So Funky
http://soulsearchin.com/soul-diary/archive/200607/2006_07_13.html

July 21, 2006
Philip Woo & New York Allstars: Don't Leave Me This Way (Japanese Version)
http://soulsearchin.com/soul-diary/archive/200607/2006_07_21.html
同じく英語版。セットリストなど↓
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_07_20.html

October 08, 2006
Philip Woo Will Be At Cotton Club With Roy Ayers: Reunion First In 28 Years : Philip Reveals His First Encounter With Roy (Part 1)
http://blog.soulsearchin.com/archives/001312.html
フィリップ・ウーはロイ・エヤーズのバックを務めたところから、音楽業界に足を踏み入れた。フィリップとロイの関係。

November 06, 2006
Philip Woo And Roy Ayers Live: After 28 Years...
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_11_06.html

■ブレンダ・ヴォーン過去記事

2010年10月29日(金)
ブレンダ・ヴォーン「レディー・ソウル・ナンバー・ワン」
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10690184338.html

2009年10月08日(木)
ブレンダ・ヴォーン、ゴスペル・アレイにする
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10359649615.html

October 01, 2009
ブレンダ・ヴォーン、5回目のソロ・ライヴ、10月7日に
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10354338354.html
(ここにブレンダ過去記事一覧)

■ デイヴィッド・キング関連

2010年02月26日(金)
クラッシーなソウル・グループが東京に蘇る
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10468195889.html

2009年06月30日(火)
「タッチ・オブ・エレガンス」~往年のソウル・ショーを現代に蘇らせる
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20090630.html

ほかに、「ソウル・サーチン・イヴェント」関連記事が無数あります。「ソウル・サーチン」は、日本在住のソウル・ミュージシャンが、一同に会すイヴェントです。

■メンバー

-Love for Japan-
BLUE NOTE TOKYO SOUL JAM directed by Dr.PHILIP WOO

フィリップ・ウー(キーボード、ハーモニカ)Philip Woo(key,harmonica)
ブレンダ・ヴォーン(ヴォーカル)Brenda Vaughn(vo)
デヴィッド・キング(ヴォーカル)David King(vo)
テヒラ・ウォーカー(ヴォーカル)Tahirih Walker(vo)
アンディ・ウルフ(サックス)Andy Wulf(sax)
日野“JINO”賢二(ベース)Kenji "Jino" Hino(b)
マサ小浜(ギター)Masa Kohama(g)
ジェイ・スティックス(ドラムス)Jay Stixx(ds)
ケイリブ・ジェイムス(キーボード、ヴォーカル)Kaleb James(key,vo)

ゲスト:
橋本江莉果(ヴォーカル)Erica Hashimoto(vo)

■セットリスト
Setlist : Dr. Philip Woo & Friends

show started 19:38
01. Life On Mars [Dexter Wansel]
02. Voices Inside ~~ Everything Is Everything [Donny Hathaway]
03. Move On Up (David King) [Curtis Mayfield / Impressions]
04. Feeling Good (Brenda Vaughn) [Nina Simone]
05. Be Thankful For What You’ve Got (Kaleb James) [William DeVaughn]
06. He Ain’t Heavy, He’s My Brother (Kaleb) [Neil Diamond / Hollies]
07. Nada So So (Hashimoto Erika) [Begin / Moriyama Ryoko]
08. Why Can’t We Live Together (Kaleb) [Timmy Thomas]
09. I’ll Write A Song For You (David) [Earth Wind & Fire]
10. Get Here (Brenda) [Brenda Russell / Oleta Adams]
11. Happiness Is Just Around The Bend (David) [Main Ingredient]
Enc. Friendship Train (All) [Gladys Knight & The Pips]
Show ended 21:47

(2011年5月12日木曜、ブルーノート東京、ドクター・フィリップ・ウー&フレンズ)
ENT>MUSIC>LIVE>Dr. Philip Woo & Friends
2011-