◎マイケル追悼本~どれがお勧め?(パート9) | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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◎マイケル追悼本~どれがお勧め?(パート9)

【Michael Jackson Books & Magazines】

GQ。

アメリカの月刊誌GQの2009年9月号。表紙がマイケル。写真と記事で約10ページ。

GQ2009年9月号1733円、660グラム "Back In The Day" by John Jeremiah Sullivan

(一言評) ケンタッキー出身、1974年生まれの白人ライターがマイケルのキャリアに関する書籍、雑誌などの資料を読み込んで書いた記事。サリヴァンはいわゆる一般ネタを書くライターで、音楽の専門家ではない。もちろん、一般ライターとしてそれなりの視点、フォーカスが、独自の切り口などがあれば、よい記事にはなるが。

10ページの記事に洋書で1700円超だとちょっと一般的にはお勧めできない。最近、こうやってマイケル関連の記事を読んでいると、いかにその記事にマイケル本人の言葉が入っているか、マイケルに近い人間の生の声が入っているかが重要なポイントになってくる。もちろんマイケルの言葉は、すでに出ているインタヴューからでもいいのだが…。それとその書き手が、どれだけマイケルの音楽を聴き、ライヴを見ているか、そしてそれから何を感じたか、そうしたものが表出していない記事というのはやはりつまらない。

このライターは確かによく資料を読み込んでいるのだが、やはりある一線から先、読者を説得できないような気がする。それはこの書き手が本質的にマイケルの音楽をジャクソン・ファイヴの時代からマイケル・ソロ時代まで、追ってきていないからなのだろう。資料を集めて書いた論文のような感じだ。そしてそのフォーカスが定まらず、何が言いたいのか、マイケルのどこを浮かび上がらせたいのかがよくわからない。雑誌が660グラムもあるので、寝転んで気軽に読めない…。(笑) (重いなあと思ったので、計った)

皮肉にもこの記事の中で一番僕が印象を受けたのは、見開き2ページの2枚のGQらしいかっこいい写真の横に小さくでていたキャプションだ。これは正確にはこの写真の説明ではないのかもしれないが、LAリードが語ったコメントだ。「ジャクソン・ファイヴで育った自分たちにとって、『オフ・ザ・ウォール』の直前というのは、ジャクソンズが少し低迷していた時期だった。クール(かっこいい)ではなかった。『ウィズ』はよかった。自分たちにとってはオハイオ・プレイヤーズや、Pファンク、ギャップ・バンドなんかがかっこよかった時代だ。そんなとき、とても尊敬する人物からこれを聞いてみろ、と渡されたのが『オフ・ザ・ウォール』だった。だが、自分はもうジャクソンズは終わったと思っていたので、聴かなかった。それからインディアナのディスコに行ったとき、そこで大音量で『オフ・ザ・ウォール』、『ロック・ウィズ・ユー』なんかがかかった。それを聴いたときやられた! 俺のほうがクールじゃないんじゃないかって思った。自分はスライ、アースにやられてきた。世界は前進していたんだ。マイケルは(自分より)一歩進んでいた」

理屈じゃない。リアルな体験がいい。そういうのが読みたいのだ。


吉岡正晴のソウル・サーチン

「う~~ん、英語は難しい・・・」 六本木ツタヤで買って即読み。


お勧め度=★

お勧め度を5段階で評価。
★★★★★=お勧め。大変よい。
★★★★=買って損なし。お勧め。 
★★★=まあまあ。値段による。
★★=う~~ん、微妙。 
★ =マイケルものを全部集める人だけ買えばよろしい。
☆=おまけ


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