○ボーイズ・トゥ・メン~壮大なるカラオケ・ショウ:涙のトラック | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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○Boyz II Men: Tears Of My Tracks ~ Money That’s What They Need


(ライヴの内容について書かれています。これからライヴをごらんになる方は、ご注意ください)

【壮大なるカラオケ・ショウ~ボーイズ・トゥ・メン:涙のトラック】

カラオケカラオケ

4人組日本人Jポップ・コーラス・グループがトラック(カラオケ)で前座として4曲やったときから、ステージは楽器もなくスカスカでどうなることかと思ったが・・・。ボーイズたちがでてきても、なんとまさかのカラオケ(トラック)・ショウ。武道館のフル・ショウでカラオケ・ショウは前代未聞だ。

アメリカの人気コーラス・グループ、ボーイズ・トゥ・メンの武道館公演。武道館6割くらいの入りか。2003年以降、マイケル・マッケーリーが正式脱退し3人組に。1994年の初来日以来、今回で11回目の公演。僕が前回見たのは2004年(6回目)だった。2005年4月、2005年11月、2007年1月とタイミングを逸して見ていない。カラオケということに度肝を抜かれたが、前回公演でもやっていたライヴ後にアーティストと会えて写真なども撮れる「バックステージ・パス」を、今回も売っていたという話にダブルで驚いた。前回は200名限定でそのバックステージの料金が7500円。今回はいくらだったんだろう。

さて、肝心のライヴだが、今回はカラオケのせいか、とにかく音が悪い。(本当はカラオケだから音が悪いということはない。要はミキサーが悪いのだろう) バスドラとベースの音がわんわん響いて、ヴォーカルも最初のうちはほとんど聴こえない。小さなクラブ系のところや、無料のショーケースだったらこれでもいいだろう。しかし、よりによって「世界の武道館」でこれはないだろう。こんなに音の悪い武道館は、30年くらい前のヴィレッジ・ピープルのライヴ以来かも。(笑)あのときも、気持ち悪くなってしまったなあ。(笑)

もちろん、このライヴで評価すべきところもある。多くの曲でビデオ映像を使い、ヴィジュアル的に見せていたこと。「ウォー」のビデオはよかった。(でも、「ウォーター・ランズ・ドライ」なんかは、4人が映っていて、今や3人組となった彼らがステージにいると、なんだかなあ、という気になる) 何曲かでしっかりとした振り付けをしていて、観客をエンタテインしていたこと。(テンプス曲の振り付けなど大変よろしい) 3人の歌声はしっかりして、歌は聞かせてくれたこと。よかったのは、選曲。新旧の彼らのヒットと、最新作でソウル・カヴァーをやっていたので、そのあたりをうまく盛り込んだこと。「アイル・メイク・ラヴ・トゥ・ユー」での定番バラのプレゼント。しかし、そんなプラス・ポイントもカラオケ(トラック)でやるというだけで、全部一挙にマイナスだ。こうなると、彼らは前回のライヴ評で危惧したようにもはや「オールディーズ・グループ」になってしまうのか。

しかし、驚くのはまだはやい。なんとこのカラオケ・ショウで「ワールド・ツアー」に出ているらしい。日本のプロモーターは武道館でカラオケでやると知っていたのだろうか。知っていたとすれば、随分となめられた話だ。残念なのが、彼ら3人がちゃんと歌っていて、そこそこのパフォーマンスをがんばってみせている点。これでバンドや、コーラス、ダンサーなどがつけば悪くはない。アメリカ側のマネージメントが金儲けしか目がないのだろうか。ほんと、才能ある連中なのにもったいない。プライドはどこへ。No Pride, No Gain。日本のプロモーターもしっかりしてください。手抜きのカラオケだったら、ギャラ半額、チケットも半額とか。




(註) 小見出しのTears Of My Tracks は、「トラック(カラオケ)でやってるライヴに悲しみの涙」というニュアンスです。Money (That’s What They Want)は、「彼らが欲しいものは金」という意味。どちらも彼らがこの日歌った作品からとってあります。

■ 今後のツアー予定

2008年5月16日(金) 日本武道館
5月18日(日) 福岡サンパレス
5月19日(月) 長崎ブリックホール 大ホール
5月21日(水) 神戸国際会館こくさいホール
5月24日(土) 大阪国際会議場 メインホール

■ 来日履歴

1)1994年11月 武道館他
2)1997年12月 武道館他
3)1998年11月 『モータウン40』イヴェント 東京ドーム
--)2000年11月 プロモーション来日
4)2001年01月 武道館他
5)2003年01月 武道館他
6)2004年06月 国際フォーラム、渋谷公会堂他
7)2005年04月 東京ベイNKホール
8)2005年11月 大阪ブルーノート
--) 2006年10月 プロモーションで来日。ヴェルファーレでショーケース
9)2007年01月 渋谷公会堂他
10)2007年07月 イヴェント出演 幕張メッセ
11)2008年05月 武道館他
(他に漏れているものがありましたら、お知らせください= soul_searchin_the_session@yahoo.co.jp )

■ 過去記事

2003/02/06 (Thu)
Boyz II Men: War is not the answer
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200302/diary20030206.html

2003年2月5日水曜・日本武道館~『少年から大人への条件』
http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/boyz20030205.html

2004/07/10 (Sat)
Boyz II Men Live At Kokusai Forum A: So Many Soundtrack To Everybody’s Life
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200407/diary20040710-1.html

2004/07/11 (Sun)
Boys II Men Live At Kokusai Forum A: A Road To Las Vegas 
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200407/diary20040711.html
(前回ソウル・サーチャーが見たときのライヴ評。)

■ メンバー

BOYZ II MEN:Wanya Morris、Shawn Stockman、Nathan Morris
[Sing to tracks]

■ セットリスト ボーイズ・トゥ・メン(トラック・ショウ)武道館
Setlist: Boyz II Men @ Budoukan, May 16, 2008
[ ] indicates original artist

Show started 19:30
00.    Video /
01.    Intro / Thank You (snippet)
02.    Motownphilly
03.    Muzak
04.    On Bended Knee
05.    Perfect Love Song
06.    Four Seasons Of Loneliness
---
07.    Tracks Of My Tears [Smokey Robinson & Miracles]
08.    Just My Imagination [Temptations]
09.    Mercy Mercy Me [Marvin Gaye]
10.    War [Edwin Starr]
11.    Money (That’s What I Want) [Barrett Strong]
12.    It’s The Same Old Song [Four Tops]
13.    Reach Out I’ll Be There [Four Tops]
---
14.    Please Don’t Go
15.    Uhh Ahh
16.    Here I Come
17.    Water Runs Dry
18.    Color Of Love
19.    I’ll Make Love To You
20.    A Song For Mama
21.    Pass You By
22.    It’s So Hard To Say Goodbye [G.C.Cameron]
23.    End Of The Road
Enc. Motownphilly
Show ended 21:06

(2008年5月16日金曜、武道館=ボーイズ・トゥ・メン・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Boyz II Men
2008-81