橋下政治資金の不可解
8割強がパーティー券あっせん
◇NGOが3年分を分析 購入者の大半が不明
2012年11月21日 12:16 (アジアプレス編集部)
「日本維新の会」の代表代行にして大阪市長の橋下徹氏。
企業献金や団体献金の拒否を主張し続けるなど、政治資金にきれいなイメージがもたれているが、「橋下徹後援会」の政治資金収支報告書には、他の政治家にはほとんど見られない記載がある。
「パーティー券のあっせん」だ。その総額が、2008年から2010年までの3年間で4926万円余りに上ることをNGO「政治資金オンブズマン」が指摘した。
2008年とは、橋下氏が大阪府知事として
政治家デビューを果たした年である。
後援会の3年間の収入は、
寄付とパーティー券収入を合わせて5965万円余り。
その8割強があっせんによる収入ということになる。
パーティー券を購入してもらうという行為は、政治家の資金集めとして広く行われている。支援者はパーティー券を購入することで政治家を資金的に支える。
その際、政治資金収支報告書には、後援会の収入の項目として通常その購入者の名前が記載される。20万円を超えるパーティー券の購入者は法律で記載が義務付けられているからだ。
ところが、橋下氏の政治資金収支報告書には、パーティー券の購入者は数えるほどしか記載がなかった。かわりに記載が多いのが、パーティー券のあっせん者だった。
あっせん者は、その人物が購入者にかわってパーティー券の代金を入金することになる。その金額には上限がない。
このあっせんという行為は法律で認められたものだ。
橋下氏の政治資金収支報告書の場合、あっせんが収入のほとんどを占めているため、パーティー券を誰が購入したか記載がない。
つまり、実際にパーティー券を購入して橋下氏を資金的に支えたのが誰なのか、何もわからないのだ。
秘書一族がパーティー券大量あっせん
◇後援会長の息子 橋下氏が条例作って採用
パーティー券のあっせんという記載が
目立つ橋下徹大阪市長の後援会の政治資金収支報告書。
調査を行った「政治資金オンブズマン」は、
あっせん者として記載されている人物にも
不可解な点があると指摘する。
記載されている1人は、奥下剛光氏。
現在、大阪市長の特別秘書を務めている人物だ。
他に、奥下秘書の母親で橋下氏の後援会長を務める
奥下素子氏も記載されている。
奥下秘書の実弟で大阪府茨木市に本社のある
セメント卸会社の代表の記載も見られる。
2008年とは、橋下氏が大阪府知事に当選した年だ。
この時、奥下素子氏はパーティー券266万円をあっせん。
奥下秘書は300万円をあっせんしている。
合計、566万円のパーティー券のあっせんとなっている。
その翌年は素子氏が348万円、奥下秘書が613万5000円、それに他の親族も合わせて1081万5000円のパーティー券あっせんとなっている。
その翌年も奥下素子氏が420万円、奥下秘書が391万5000円。
他の親族も合わせると総額1037万円になる。
つまり奥下秘書の一族よってあっせんされたパーティー券の総額は3年間で3000万円を超える。
後援会の収入の半分以上が、奥下秘書の一族によって集められている構図が見てとれる。
この点について、「政治資金オンブズマン」共同代表の阪口徳雄弁護士(大阪弁護士会)は次のように問題点を指摘する。
「橋本徹後援会を奥下一族が支えている収支報告書を見て本当に驚いた。政治団体の総収入の約5割強を特定の一族が支えていることになる。
田舎の町会議員や市会議員なら、特定の一族が支援していることはあるのだろうが、都道府県レベルの知事が特定の一族によって金銭面で支援を受けているケースは、長年、政治家の収支報告書を見てきたが初めてだ」
奥下秘書は特別職の公務員だ。
しかし、大阪市には、もともとこの特別秘書という役職は無かった。
2011年、橋下氏は大阪府知事を辞職し大阪市長に転身する。
その翌年、橋下氏は大阪市の条例を制定して、奥下秘書を特別に大阪市に採用している。ちなみに、大阪市によると奥下秘書への給与は年650万円となっている。
阪口弁護士はこの点についても、不透明さを感じると指摘している。
「条例まで新設して自分を支えている一族の奥下剛光氏を2012年2月1日から大阪市の特別秘書に採用したということが驚きだ。
『これはお世話になった後援会の方への税金での恩返しではないのか』、『古い政治家がよく行う情実人事の典型ではないか』と疑われてもおかしくない。
この点について橋下氏は説明する必要がある」
※ 詳細資料 (PDFファイル)
「橋下徹後援会の政治金収支報告書」 2008年度分
「橋下徹後援会の政治金収支報告書」 2009年度分
「橋下徹後援会の政治金収支報告書」 2010年度分
※政治資金オンブズマン
弁護士や研究者で作る政治家の政治資金を監視するNGO。
上脇博之教授(神戸学院大学)と
阪口徳雄弁護士(大阪弁護士会)が共同代表を務める。
これまでに数多くの政治家の政治資金などについて調べ、
悪質なものについては刑事告発を行うなどしてきた。
2012年3月には安倍元官房長官の官房機密費の情報公開請求をして
一部開示命令の判決を勝ち取っている。
この11月22日に河村元官房長官の2.5億円の
情報公開判決が予定されている。
8割強がパーティー券あっせん
◇NGOが3年分を分析 購入者の大半が不明
2012年11月21日 12:16 (アジアプレス編集部)
「日本維新の会」の代表代行にして大阪市長の橋下徹氏。
企業献金や団体献金の拒否を主張し続けるなど、政治資金にきれいなイメージがもたれているが、「橋下徹後援会」の政治資金収支報告書には、他の政治家にはほとんど見られない記載がある。
「パーティー券のあっせん」だ。その総額が、2008年から2010年までの3年間で4926万円余りに上ることをNGO「政治資金オンブズマン」が指摘した。
2008年とは、橋下氏が大阪府知事として
政治家デビューを果たした年である。
後援会の3年間の収入は、
寄付とパーティー券収入を合わせて5965万円余り。
その8割強があっせんによる収入ということになる。
パーティー券を購入してもらうという行為は、政治家の資金集めとして広く行われている。支援者はパーティー券を購入することで政治家を資金的に支える。
その際、政治資金収支報告書には、後援会の収入の項目として通常その購入者の名前が記載される。20万円を超えるパーティー券の購入者は法律で記載が義務付けられているからだ。
ところが、橋下氏の政治資金収支報告書には、パーティー券の購入者は数えるほどしか記載がなかった。かわりに記載が多いのが、パーティー券のあっせん者だった。
あっせん者は、その人物が購入者にかわってパーティー券の代金を入金することになる。その金額には上限がない。
このあっせんという行為は法律で認められたものだ。
橋下氏の政治資金収支報告書の場合、あっせんが収入のほとんどを占めているため、パーティー券を誰が購入したか記載がない。
つまり、実際にパーティー券を購入して橋下氏を資金的に支えたのが誰なのか、何もわからないのだ。
秘書一族がパーティー券大量あっせん
◇後援会長の息子 橋下氏が条例作って採用
パーティー券のあっせんという記載が
目立つ橋下徹大阪市長の後援会の政治資金収支報告書。
調査を行った「政治資金オンブズマン」は、
あっせん者として記載されている人物にも
不可解な点があると指摘する。
記載されている1人は、奥下剛光氏。
現在、大阪市長の特別秘書を務めている人物だ。
他に、奥下秘書の母親で橋下氏の後援会長を務める
奥下素子氏も記載されている。
奥下秘書の実弟で大阪府茨木市に本社のある
セメント卸会社の代表の記載も見られる。
2008年とは、橋下氏が大阪府知事に当選した年だ。
この時、奥下素子氏はパーティー券266万円をあっせん。
奥下秘書は300万円をあっせんしている。
合計、566万円のパーティー券のあっせんとなっている。
その翌年は素子氏が348万円、奥下秘書が613万5000円、それに他の親族も合わせて1081万5000円のパーティー券あっせんとなっている。
その翌年も奥下素子氏が420万円、奥下秘書が391万5000円。
他の親族も合わせると総額1037万円になる。
つまり奥下秘書の一族よってあっせんされたパーティー券の総額は3年間で3000万円を超える。
後援会の収入の半分以上が、奥下秘書の一族によって集められている構図が見てとれる。
この点について、「政治資金オンブズマン」共同代表の阪口徳雄弁護士(大阪弁護士会)は次のように問題点を指摘する。
「橋本徹後援会を奥下一族が支えている収支報告書を見て本当に驚いた。政治団体の総収入の約5割強を特定の一族が支えていることになる。
田舎の町会議員や市会議員なら、特定の一族が支援していることはあるのだろうが、都道府県レベルの知事が特定の一族によって金銭面で支援を受けているケースは、長年、政治家の収支報告書を見てきたが初めてだ」
奥下秘書は特別職の公務員だ。
しかし、大阪市には、もともとこの特別秘書という役職は無かった。
2011年、橋下氏は大阪府知事を辞職し大阪市長に転身する。
その翌年、橋下氏は大阪市の条例を制定して、奥下秘書を特別に大阪市に採用している。ちなみに、大阪市によると奥下秘書への給与は年650万円となっている。
阪口弁護士はこの点についても、不透明さを感じると指摘している。
「条例まで新設して自分を支えている一族の奥下剛光氏を2012年2月1日から大阪市の特別秘書に採用したということが驚きだ。
『これはお世話になった後援会の方への税金での恩返しではないのか』、『古い政治家がよく行う情実人事の典型ではないか』と疑われてもおかしくない。
この点について橋下氏は説明する必要がある」
※ 詳細資料 (PDFファイル)
「橋下徹後援会の政治金収支報告書」 2008年度分
「橋下徹後援会の政治金収支報告書」 2009年度分
「橋下徹後援会の政治金収支報告書」 2010年度分
※政治資金オンブズマン
弁護士や研究者で作る政治家の政治資金を監視するNGO。
上脇博之教授(神戸学院大学)と
阪口徳雄弁護士(大阪弁護士会)が共同代表を務める。
これまでに数多くの政治家の政治資金などについて調べ、
悪質なものについては刑事告発を行うなどしてきた。
2012年3月には安倍元官房長官の官房機密費の情報公開請求をして
一部開示命令の判決を勝ち取っている。
この11月22日に河村元官房長官の2.5億円の
情報公開判決が予定されている。