『虞美人』東京公演、千秋楽終わりました!
彩音ちゃん、もえりちゃん、ちさちゃん、卒業おめでとうございます。
退団者が娘役だけっていうのもいいもんですね。花嫁の父気分っていうか(笑)。
もえりちゃん、ちさちゃんは、娘役らしいかわいいあいさつ。彩音ちゃんは、気品があって、凜としていて、しとやか——タカラヅカのトップ娘役らしい、立派なあいさつでした。
タカラヅカへの愛をしきりと語っていたことに、劇団が裁判の案件を抱えていることなど、つい深読みしてしまいますが、彩音ちゃんが、そんな含みのあるあいさつをするようになったことにも感動(笑)。
彩音ちゃんが、大劇場のあいさつでは「二人の相手役さんにありがとう」といい、東京ではただ、「ゆうさんのお姿を最後に胸にとどめて」的なことを言っていたのにも、うるんと。まるで、嫁入りする娘が、家を出る前に、突然父の前で正坐をして、「お父さん、長々お世話になりました」と深く頭を下げる場面に立ち会ったような気分にさせられました(小津安二郎『晩春』参照。父:笠智衆、娘:原節子)。
娘役としての役目を果たし、新しい世界に旅立ってゆく。「明日からの私は、もう違う自分」であることを意識し、これからの人生をきっちりとやっていうこという決意が、あいさつに表れていました。タカラヅカでの自分にきっちりとケジメをつける。古風なのだけどすがすがしい、凜とした感じで。それがなんとも彩音ちゃんらしく…。
劇場の外で、劇場から出てくる三人の娘役たちを待つあいだ、つらつら考えているうちに、タカラヅカでの「娘役」という呼称は、まさに理にかなったものなんじゃないかと、妙に納得させられました(笑)。
カタいことをいうようだけど、個人的にわたしは、ファンの人たちがトップ娘役のことを「お嫁さん」扱いするのが好きじゃありません(ただ自分がそういう表現をしないだけですが)。トップさんの相手役になることは、その人に嫁入りすることではなく、トップ娘役はずっと「娘役」だと思っているから。
そういう意味で、彩音ちゃんは、終始「娘役」で、タカラヅカでの娘役の生をまっとうしたのだと思います。
個人的には、彩音ちゃんの身長があと5センチ高かったら、タカラヅカの歴史は全然違ったものになっていたんじゃないかと思いますが(笑)、彩音ちゃん自身は、娘役が無理なら受験していなかったようで、ほんとうに娘役を愛していたんですね。
彩音ちゃんがどんなときも、にこにこしながら、自然に相手役さんのことを見つめていたことは、ほとんどの人が気づいているのではないでしょうか。それは最初から最後まで、ずーっと変わらなかった。それはすごいことだよね。
最後の『虞美人』でも、虞の、場面ごとに変わる美しい髪かざりの数々を眺めながら、「男役」はほかにはないものだけど、「娘役」だってそうなんだ、こんな装身具を手作りすることも、もうないんだなと思ったら、不意に涙が…。
(壮さんのお茶会で出た話なのですが、ラスト、天子になった劉邦がセリ上がる場面のネックレスは、彩音ちゃんが作ってくれたものだそうです。「ちょっと地味だけど」といって渡されたそのネックレスは、ペンダントトップの裏側にきれいにフェルトが貼られていたり、見えないところにも細かな気配りがいっぱいで、感心したのだそうです)
同時に、わたしは庶民なので、「せっかく身につけた、その技術がもったいない」なんて、下世話なことを思ったりしてしまったのですが(笑)、その技術の前に、もっと大きな、舞台表現という技術を身につけたのだものね。
彩音ちゃんのお仕事のニュースが届く日を楽しみにしています。
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さよならショーも、大劇場よりも落ち着いて観れ、申し訳なく感じるくらい楽しんでしまいました。彩音ちゃんのいいところがたくさん出ていた、いいショーでした。
でも、やっぱり「EXCITER!!」のイントロが流れると、彩音ちゃんのさよならショーということを忘れ、ガチッ☆と持ってかれちゃいました(笑)。
大劇場で見たときも無闇にテンション上がっちゃったけど、やっぱ、「EXCITER!!」ってエキサイティング! ひさびさの☆ガチでバチ☆のウィンクだ~!
ここから先は、せっかくの彩音ちゃんバナシを台無しにしてしまう恐れがあるので、いったん終了。続きは、また夜にでも。