緩和ケア科をつくった理由 | 空の木ブログ

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3年目に突入するにあたり、今日は空の木になぜ「緩和ケア」科をつくったか、その由来についてお話したいと思いますいぬ



緩和ケア」…人間では耳慣れて来た科目ですが、動物でこれを専門的に行っている病院は中々見当たりません。



そこで、「緩和ケアの専門医療ができる病院を作りたい



という思いから、空の木を設立しました。



私は開業前、日本小動物がんセンターや小林犬猫病院腫瘍科で研修医や勤務医を務めたり、アメリカのコーネル大学の腫瘍科研修など、多くの腫瘍科経験を積んできましたドクター




その中で強く感じたのは「根治治療をできる高度医療病院はたくさんあるのに、緩和治療ができる病院がない」ということでした。




車や電車で何時間もかけて、根治治療のわんちゃん・ねこちゃんに混じって緩和治療を受けなくてはなりません。
これは労力的にも精神的にも、とても大変なことです。




もっと地元に根付いた病院で緩和治療ができないものだろうか…。




もちろん緩和治療の中でも放射線治療といった特殊な施設がないとできない治療もありますが、多くの場合根治治療と違って大きな設備や大勢のスタッフを必要とせず、むしろ小さな町の病院にこそ向いているはずですおうち




ただ実際は、多くの町の動物病院では次に診察を待っている方が控えているため、ゆっくりお話を聞いたりすることがむずかしいのです。



また私自身、腫瘍経験が浅い頃は緩和ケアがとても苦手でした。獣医師は「よくすること・治すこと」は得意ですが、「よくならないこと・どんどん悪くなること」には、正直どう対応していいかわからないのが現実だと思います。



「がん」はたくさんの種類と様々な傾向がありますので、いつも同じことをしていればよいわけではありませんし、臨機応変にケア方法を考えていかねばならず、それには多くの腫瘍科経験が必要になってきます。

しかし、多くの腫瘍経験を積まれた先生は高度医療センターに集中しており、一次診療施設であっても当然ながら根治治療がメインになっています。
もちろん腫瘍のわんちゃん・ねこちゃんは非常に多いですから、これもとても大切なことです。




そこで、空の木では「ちいさな病院」というところを逆に生かして、「緩和ケア」科を設けることにしたのです三毛猫



「緩和ケア」を必要とされている方が安心して通えるよう、ゆっくりお話できるよう予約制にしました鉛筆




■ たくさんお話をして、ご家族の不安によりそうこと…
■ 病気の状態に合わせ、負担のない範囲で苦痛を取り除く治療を提供すること…
■ ご家族の過度な負担にならない治療法をさがすこと…
■ 不要な検査はしないこと…
■ 自然なカタチでおうちで旅立てるようにお手伝いをすること…


それが、空の木の考える緩和ケアです四つ葉




腫瘍科での豊富な経験を生かして、「ここはこのまま自然にまかせていい」「ここはこれをした方がいい」「あのコはこの治療をしたけど、このコにはしない方がいい」…など、ご家族の性格・環境・わんちゃんねこちゃんの性格・病気の性質、に合わせた「さいごまでできること」を一緒に考えていきます。




「どうなっていくかわからない」というのも、大きな不安要素のひとつです。

「こうなるだろうから、その時はこうしよう」「今の状態で上手に病気とおつきあいできているよ」
そんなことがわかるだけでも、おうちで一緒にすごす気持ちが少しラクになることも多いのではないでしょうか。



空の木設立以来、遠方からもご相談の電話があったり、区外からも通ってくださる方がいらっしゃったりと、やはり「緩和ケア」を必要とされている方は多いのだな、と感じます桜咲く





私が獣医師1年目に受けた、忘れられない講義のタイトルが「獣医師がさじを投げる前にできること」です。
比較的珍しい、緩和治療がテーマの講義でした。
この時の講師が、その後わたしの恩師となった小林哲也先生であり、そしてこの時の講義が空の木の原点なのかもしれません。




空の木で、おしゃべりが大好きなわたしが待っています女の子
不安も愚痴も、悩みも、なんでもお話しにきてくださいはぐ 肉球