アイルランド民話・セルキーの物語 『Song of the Sea』 | 木製魔術道具作家☆ルーン&オガム マスター☆そらのともしび Official Blog

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北部ヨーロッパの樹木信仰をベースにした魔術道具制作、古代ゲルマンの文字・ルーンや古代アイルランドの文字・オガムを使ったリーディングやリーディング講座を主催しています。

Twitterのタイムラインが猫関係のもので
潤っていた昨日から、
ひとり勝手にドキドキしておりました…(>Д< ;) 

本日はアカデミー賞の発表の日。

以前ひょんなことからその存在を知って大好きになった
『the Secret of Kells(ブレンダンとケルズの秘密)』を制作した
アイルランドのアニメーション会社『Cartoon Saloon』の作品
『Song of the Sea』
長編アニメーション部門にノミネートされていたからですきゃー


Song Of The Sea (Original Motion Picture Soundt.../Universal Music LLC

¥価格不明
Amazon.co.jp

結果は残念ながら受賞ならず・・・。

前回のブレンダンとケルズの秘密も
中世アイルランドに伝わるお話を元に作られていましたが
今回もアイルランドに伝わる民話を元に作られています。

そのお話は、アザラシの妖精(?)セルキーの物語。
これが、日本の『羽衣伝説』に似ている部分もあって
面白いのですひらめき*

ただ、セルキーは女性だけではなく、男性もいて
海の中で生活している普段は、
アザラシの厚い毛皮をまとっているんだけど
時々浜に上がって毛皮を脱いで踊ったりしているんだそう。
もともと人間とは仲が好く、セルキーと人間の間に
恋が生まれて子どもを産む事もあったそうな。

セルキーの女性に恋をした漁師が、
脱いでいた毛皮を隠してしまい、そのままその猟師と結婚し
子どもを設けるのですが、ある時子どもが隠された毛皮を見つけ
母に知らせると、大喜びで毛皮を着て
海に戻って行ってしまった・・・というようなお話が伝わっているんだそう。
この部分は、天女の羽衣の話とおんなじですよねsao☆ビックリ

『Song of the Sea』はこのセルキーのお話を元にしてあり
今回もケルティックな雰囲気満点の映画に仕上がっていた模様。
今回は、オガム文字の石碑もバーンと登場していますし
前回にも増して、色んな物が可愛らしく、そして美しい。
この方達の表現の、簡略化したなかに残している美しさも
わたしの心を捉えて離さないのでありました。
あぁぁぁぁぁぁスクリーンで観た~い!!!!!!

公式のトレーラーはこちら↓2↓コチラ




日本で配給されることは、おそらくないと思うので
アイルランド大使館さま、どうかまた上映会くださいませ
・・・と大使館の方に向かって念を飛ばしております。(←迷惑汗

いろいろ調べていたら、監督のトム・ムーアさんの
インタビューを読む事が出来ました。

アイルランドでは、1995年から2008年頃までに
急速的に経済発展を遂げた時期があって
(『ケルトの虎(Celtic Tiger)』と呼ばれているそう)
その時期を経て、おそらく日々の暮らしが豊かになるにつれ
『日々の生活の中から、古来から伝わる民話、神話が
失われてしまうことは、これまでの文化・歴史との関わりを
失ってしまうことだ』と強く感じるようになり
自分の作品にアイルランドに伝わるお話を取り入れることに
繋がって行ったようです。

この『Song of the Sea』を作るに当たっては
アイルランド西部の海岸で、
息子さんとスケッチをしていた時の経験からも
インスピレーションを受けているとの事。

その海岸には多くのアザラシの死体があり
現地の女性にその理由を尋ねたところ
地元の漁師達が、アザラシによって漁獲高が
減ってしまったことに腹を立てて殺しているのだ、との返答が。

その人は続けて
『数年前にはこんなことは起こらなかった。
その頃は皆、アザラシは海で亡くなった人の魂ととらえたり
本物の妖精としてのシルキーととらえるなど
アザラシを神聖なものとする色々な信仰を信じていたのに。』
と言ったとか。

アザラシの害は、わたしの相方の実家・稚内でも
問題になっている、ということを聞いたことがあります。
(稚内のある港では、集まって来るアザラシを
観光目的に利用しているところもあるんですけど
漁師さんたちにはちょっと迷惑なこともあるようです。)

この漁師さん達が、ただの腹いせで殺してしまっていたのか
それとも、獣害として正式に(?)駆除していたのかは
このインタビューからではわかりませんでした。

ここでは、それがいい悪い、ということは置いておいて
ムーアさんはこういった事実を知り
古くから伝わっているお話や迷信は
『映画や小説などのエンターテイメントにとっての
よい題材』ということだけではなくて
失われつつある風土や想いのようなものを
結び付けているのだと感じたとの事。

昔の人達が語り継いできた物語の中には
ただの娯楽の為に作られたのではない、
意味が込められているものもあるでしょうし
取るに足らない迷信の場合もあるかもしれませんが
そこには人々の豊かな感性や自然に対する畏怖の念が
込められている場合もあって、現代社会に生きるわたしたちが
もう一度意識を向けることで再確認再発見出来るものが
沢山あるように思います。

ムーアさんはスタジオジブリ作品もお好きなようで
観ていると、はっきり言葉では表現出来ないのですが
なにかエッセンスを受け継いでいるようなそんな気がします。
(どこで読んだか失念しましたが、トトロともののけ姫がお好き
という記事を読んだような気が。)

海外在住の方で、映画を観た方の感想をいくつか読みましたが
なかなか好印象の文面が多かったように思いましたし
絵の感じが、ブレンダンの時よりさらに可愛い感じになったので
日本で上映しても人気出ると思うんだけどなぁ・・・。
まぁいろいろ、大人の事情があるのよね、きっとsao☆汗

来月にはDVDなども発売になるようなので
手に入りそうなら購入も検討中。
次の作品はアイルランドのお話じゃないようなんですけど
どんなものになるのか密かに楽しみなのでありました。



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