立て続いて男性週刊誌が女性の健康についてむちゃくちゃなことを書く、ということが起こりました。
二つとも、おつきあいのある雑誌、よくお仕事をさせていただく出版社ですが、ここは名指しで書きたいと思います。

光文社FLASH がんは放置しろと言い続けている近藤誠医師が、子宮がん検診は意味がなくて子宮がんの治療もお金を儲けたいだけだと言っているもの

小学館週刊ポスト 産婦人科医の久保田医師が早期母子接触(俗に言うカンガルーケア)と完全母乳のせいで発達障害が増えていると言っているもの

前者に関しては完全に問題外の内容で、日本産婦人科学会から抗議が行くとききました。
後者については、赤ちゃんとお母さんほったらかし状態での早期母子接触が危険なこと、完全母乳にこだわるあまり赤ちゃんが低血糖になったりするケースがあることから、問題意識を持つこと自体は分かる部分もありますが、発達障害との関連に関しては論理が完全にむちゃくちゃで、煽っているだけの記事になっています。

両方とも、「医療界の巨悪と戦う孤高のヒーロー」みたいな書き方になってますが、単に一つの取材源から得られたものを裏を取らずに垂れ流してるだけ。編集者のリテラシーとモラルを疑います。しかも、その裏には同じ出版社から本を出版するのでそのプロモーションというからくりにもなっております。

いずれも、私の周囲の日々患者さんのために診療している医師や医療スタッフたちは激怒しています。
いつからか、「医者というものは本当は患者のためにならないことを行って金儲けをしている」という記事を書いてれば「ペンで巨悪と戦う」みたいになってるようですが、私たち、そんなお金だけで動きませんよ。なんでも金儲けにこじつけるあなたこそ、お金で動くんですねと言いたい。

ほんま、風邪に抗生剤を出している医者や、要求する患者でも叩いててくださいよ。

私は普段、あまりセンセーショナルじゃないかもしれないけれど、根拠のあることを、なるべく興味を持ってもらえるように情報発信をするという地味な努力を続けています。
子宮頸がん検診だって、内診への反発や偏見が強い中、なんとか女性に自分の健康を守ってもらおうと思って、啓発しています。

それを子宮がんの苦しさのなんたるかをおそらく全く知らない書き手によって、有害な情報を大媒体を使ってまき散らされたんじゃ、心も折れようと言うものです。

もう一度、雑誌に関わる人たちには目先の部数よりも、出版物の社会的使命をとは何かを問い直してほしいです。