この朝日新聞の地方版の記事を読んですっごくびっくりしているので、何回かにわけてつっこみを入れさせてもらいたいと思います。
北海道で出産を扱う開業助産院を営む助産師さんへの取材を元に書かれた記事です。(地方だし、若手の記者が書いたんじゃないかな・・と思っています)
以下引用です。
出産時は分娩台を使わず、入院部屋を兼ねた畳敷きの場所で自ら望む姿勢で産むことができる。陣痛開始から助産師が寄り添い、産まれてすぐ赤ちゃんと一緒にいられる。次男叡士(えいと)ちゃんを産んで3日目の石山瑞穂さん(34)=中富良野町=は「時間をかけて接してくれて、病院と違って日常のアドバイスにも細かくのってくれるので、安心な気持ちで自分らしく産むことができた」と笑顔を見せた。
北田さんは、女性が自然に備えている「産む力」に着目。適度に食べ、動き、眠るという太古から繰り返してきた日常生活がきちんとできていれば、健康で自然な出産の確率が高まると考える。
引用ここまで。
まあ何のことはない、よくある「女性には産む力があるのだから、医療は要らない」「分娩台では自分らしいお産ができない」「自己管理すれば安産できる」という、ちょっと出産に魅せられた人が最初に通る考えで、目新しいことは何も書いてません。
女性には産む力があります。確かに。動物でも人間でも昔も今も、難産も死産も母体死亡もあるんですが、確かに概ね体の機能として赤ちゃんを産み出す力はあります。
体型や人種的な特徴や赤ちゃんの向きや回り方によって産まれて来やすい姿勢は異なるし、分娩台で取れる姿勢に制限があることも分かります。
が、
畳は万能ではありません。
畳の上だと取りにくい姿勢も多いんです。実は。
いろいろと補助具を使わないといけません。
(もちろん、緊急時に対応しにくいというのもあります)
畳がだめとは言わないですけどね。
で、
赤ちゃんが産まれてきやすい姿勢はその場にならないと分からないので、
「自ら望む姿勢」「自分らしいお産」とあらかじめ思い描くものと同じとは限りません。
(その場で取りたくなった姿勢が取れるというのが理想で、うまく補助具を使えば畳の上で可能です。)
それと、自己管理をしても、「太古の生活」をしても安産とは限らないし、赤ちゃんが最後まで元気とは限りません.
記事の話から外れるかもしれませんが、
努力すれば安産の願いは実る!
とか、
安産でなければ妊婦の努力不足
とかではありません。
この朝日新聞の記事のつっこみどころはまだあるので、続きはまた。
誤解のないように申し上げますが、助産師のいうことだからだめとか言うことは全くなく、私は今もこれまでも信頼できる助産師さんと多数出会いパートナーとして仕事をしてきています。どの職種でも(当然医者も)トンデモな人がいるということで、メディア受けしやすいのは一緒ですね。
とりあえず、この記事をそのまま載せている朝日新聞の編集能力にはだいぶ問題があると思い、公の場に書かせてもらいました。関係者の方が読まれていたら、直接やりとりもいたします。