定盤ラップ技法の活用 | 京都暮らしの日々雑感

定盤ラップ技法の活用

定盤ラップという技法は、

ワークの一面を鏡面に仕立て上げるというためには最も簡便・確実な技法なのであるが、

その応用的な活用範囲は広い。


ゲージ屋にとって必須な測定工具として「透き見」があるのだが、

これは、二面が交差するところは直線であるというユークリッド幾何学の定理に基づくものなのであるが、

その直線度の実現のためには、この定盤ラップの技法を使う。

言い替えると、定盤ラップの技法がマスターされていないと、「透き見」が作れない。

「透き見」が作れないと、ハサミゲージは製作出来ないから、

結果として、幾ら修業を重ねても、ゲージ屋としての成長は図れない。


だから、と強調されることは、

ゲージの製作がどうこうという場合に、

その寸法をいかに精確に作り込むかという点に焦点が当てられるのだが、

実は、その周辺領域でのさまざまな技能の修得が先行されていないといけない。


必要とされる道具を必要充分な精度でもって自作できるか否か、

その点が非常に地味で地道な努力を要するのだが、

肝心な要になる。


そのような道具類(「測定工具」とか「規範」と称されている)は、

それらしきものが市販されている場合もあればされていない場合もあって、

そのメンテナンス、つまり、磨損時の修理・修復の必要も大きいから、

自力製作の技能を兼ね備えていなければならない。


この辺りが、ゲージ屋を独自に成り立たせている「職能」なのである。