武沢英樹著『トコトンやさしい放電加工の本』日刊工業新聞社
聞くところによると、
ハサミゲージ(板ゲージ)の形状仕立て上げと測定部寸法の下拵えに、
放電加工機(ワイヤーカット機)を「活用」しているというメーカーさんがあるらしい。
(その類の話は昔からよく聞かされていたことは確かだ)
仕立て上げるべき寸法に対して5μm手前程度の寸法に切断して、
その加工痕を消除すれば出来上がるという次第なのだが、
金型のような「塊材」の加工なら話は別だが、
ゲージのような「板材」でそんなに上手くいくのかどうか疑問がある。
もっとも、その方法で製作されているものが現に流通しているのだから、
取り立てて問題にはなっていないのだろう。
で、この方法によると、
「安く」「簡単に」ゲージが製作出来るというわけで、
ゲージ屋にとっても必須の設備になるということらしい。
製作設備条件というものが、
ゲージ屋と金型屋さんや部品屋さんとの間で差異が無くなって、
結局、ゲージ屋がゲージ屋として他と区別されるべき技術・技能が、
ハンドラップ技法であるということになるのだが、
そのハンドラップ技法が「簡単に」「誰でも取り組める」技法だと広く普及すれば、
ゲージ屋の「独自性」というものは解体されることになるだろう。