特許庁は5月16日、特許権の存続期間の延長登録出願(延長登録出願)に関する4月28日の最高裁判決で、
特許庁の上告が棄却されたことを受けて、延長登録出願に関する審査基準の改訂を検討し、
今年秋頃を目途に公表する予定と発表しました。


特許庁の審査基準が変わるのは、良いことだと思います。


また、特許庁が「延長登録出願の審査の取扱いについては、改訂審査基準の公表まで止める」としているのは、
妥当な判断だと思います。


この最高裁判決は、医薬品の特許期間の延長をめぐり、
同一の有効成分と効能・効果の医薬品が先に販売されているとの理由で、
新たな医薬品の承認に要した期間の延長を認めなかった特許庁の審決を不服として、
武田薬品工業が審決取消しを求めていた訴訟の上告審で、
特許庁の上告を棄却したもので、審決取消しを命じた知財高裁の判決が確定し、
特許庁の敗訴となったもの。


問題となっていたのは、武田薬品が開発したがんの鎮痛剤「パーシフカプセル」に
関連する特許第3134187号で、同社は2005年に存続期間の延長登録の出願をしたが、
特許庁が同一の有効成分と効能・効果の他社の医薬品「オプソ内服液」の存在を理由に延長を認めず、
不服審判も不成立の審決となった。
このため、同社が審決取消し訴訟を提起、知財高裁は2009年5月に特許庁審決を取消す判決を下したが、
特許庁が最高裁に上告していたが、4月28日の最高裁判決で、

特許庁の上告が棄却されて判決が確定した。


最高裁第一小法廷(横田尤孝裁判長)は、


「すでに製造販売の承認を受けた他社の有効成分と効能・効果が同じ医薬品があっても、
同医薬品には、武田薬品の対象特許は使われておらず、
また医薬品は、有効成分、効果・効能が同じであっても、
錠剤の構造などが違えば新たな承認が必要になる
と説明。
有効成分と効能・効果が同じ医薬品が既に存在していれば、
特許期間延長は認められないとする、従来からの特許庁判断は誤っている」


として、一審の知財高裁と同様の判断を示し、特許庁の審決取消しを命じていた。


今年の短答試験、論文試験はもう問題ができていますので、
この審査基準の改定は出題されませんが、
来年の短答試験、論文試験には出題される可能性があるので、
来年、弁理士試験を受験する方は要チェックです!