新銀行東京は、無担保融資などを展開し、銀行などの貸し渋りから増えた倒産件数を抑えるため、特に企業の95%以上といわれる中小企業の活性化を目指すべく設立されたといってもいい東京都出資の銀行。
今、この銀行が厳しい状態にある。これは日本の経済をそのまま映し出していると言ってもいいのではないかな。
でも石原都知事のせいにするのは間違いだと思う。善意の危機的な企業や個人を救済すべく誕生させたわけで苦境に立たされることははじめから必至であり、万一にもうまくいったら儲けものともいうべき性格を併せ持つのだから。
もちろんあれだけの規模の銀行を立ち上げるからには将来展望はある程度明るいという方向性を打ち出しておかないと抵抗勢力が多すぎて実現すらしないだろうから。
新銀行東京はある意味、行政と民間の半官半民的立場で無担保貸付は市民への補助金や還付金と考えれば合点がいかない話ではないだろう。
新銀行東京の焦げ付きと融資先企業破たんというのは日本経済の実態を浮き彫りにしたに過ぎず、都知事が行動を起こさなくとも遅かれ早かれ日本全体がさらけ出していたはずの実情なわけでそれを早く見せつける結果になっただけ。その分、石原都知事の決断は効果があったとみる方が正確な気がする。
やむにやまれぬ思いで案を通すために画策した数字と照らせば当然乖離しているけど、それも当然だし必然だと思う。
新銀行東京でそして東京でこうなんだから、もともと都心部とはかけ離れた疲弊している地方経済はもっと体力がないわけで。
たとえ都心部での税収を均等に割り振ったとしても苦しいことは明白なんだから。人が住む以上は行政が必要になり、ある程度の人数が住む以上は、野放しにはできなくなるわけで。
厳しい地方を閉鎖してある程度潤っている地域へ完全移住させれば状況は変わるかもしれないけど、そうしたとしても成果は未知数。
いずれにしても都知事の決断が目を背けてきた現実を嫌でも直視せざるを得ない環境を提供してくれたことには違いはない。
それでもまたどうにかもみ消して現実から目を背けようとするなら明るい未来も目を背け続けた代償を小さく抑えることもできなくなるのだから。
これまでの政府発表の指標や公的機関の公示するサラリーマンの平均年収、生涯賃金など実態と合っていないと思っていた人も多いはず。これは今に始まったことではなく、かなり以前から。春闘のベアも超大手企業がベースであって大半の中小企業は追従できていないと思われる。
また完全失業率にしても・・・。要するに数字のマジック。
非正規雇用をのぞき、正社員になった人のみに絞れば瞬く間に失業率は跳ね上がる。ところが、この「完全」失業率というのがミソ。正社員にはなりたいけど、正社員にはなりたくないものの収入が不安定で生活が明らかに不安な人を含め完全に仕事がないわけではないパート、アルバイト、契約社員、派遣社員、一部請負が非常に多い現実とも一致する。今や3人に1人は非正社員といわれる時代。
労働人口減少が身近になってきた現代、労働力確保のため特に小売業でパートを正社員にする企業が増えてはいる。でもこれによって近い将来正社員の待遇が下がってしまっては元もこもない。
まるでワーキングプア(働いているのに基本的生活が送れない)の存在が、生活保護を受けている人以上に低くなった事から生活保護費を切り下げたのと同じで本末転倒。
生活保護を受けている人が豊かで贅沢をしているわけではないのだから。働いているのに基本的生活が厳しい人たちの収入のベースアップを考えるべきなのに逆行するとは呆れ果てる。できる限り切り詰めても年間手取り収入240万円以上は少なくともないと基本的生活は難しいのだから(240万のベースはhttp://ameblo.jp/soboku-question/entry-10067963320.html 参照)。これでは家賃は5万以下でないと厳しいし、新聞もとれないし、もちろん貯金はできないし、電車やバスさえも乗れないのだが・・・。
新銀行東京の貸付の焦げ付きは当然と言えば当然。いろいろな状況はあるとはいえ他銀行が貸し渋るのには理由があるから。不良債権処理に追われた大手各行は同じ轍を踏みたくないと当然考えてのことだから。
95%以上もの企業が中小零細企業なのにも関わらず各指標には全く現れず、あたかも経済が安定しているように見えてしまう。
95%以上もの企業が中小零細企業なのにも関わらずサラリーマンの平均年収や生涯賃金のベースは超大手企業がベースとなっていると思われるデータ。(生涯賃金については一方で非正社員の場合はそれなりの数字)
95%以上もの企業が中小零細企業なのにも関わらず銀行各行が貸し渋らなければならない現実。
これだけ数字のマジックのまやかしの中で生きている庶民は、各種ローンで多重債務に陥る人も少なくない。その一方で法規制はできたもののローン金利で収益を得るあらゆる企業は潤っている。そして苦しむのは借りた本人と家族であって企業ではない。たとえ貸付が焦げ付いたとしても。そしてこれを苦に自殺者が増えている。
東京都は新聞などで自殺者を減らす為の広告を出したりしている。そしてこうした苦しむ個人や苦しむ企業の95%以上の多くの中小零細企業を救うべく新銀行東京ができた。そしてその新銀行東京の貸付が焦げ付いている。
東京都の施策はそれ相応の効果を持つものの、決して解決になっていない現実。つまり弊害と対策がグルグル回っているだけで根本となる企業の95%以上もの中小零細企業で働く個人までは手が回っていない状態。
でも東京都や新銀行東京の施策やサービスがどうということではなく、これが日本経済の実態といえるだろう。
数字のマジックで見栄えや体裁を繕ったり、それこそ抜本改革が必要なのに全員とは当然言わないけど公務員や独立行政法人の無駄金遣いや随意契約による癒着や無駄遣いはとどまるところを知らず抜本改革どころか政府、省庁が襟元正す気があるとは思えない現実。
「抜本」とか「骨太の方針」とか意味わかってて言ってるのかな?
わかってるならなんでその意味に沿った事をしようとしないんだろ?なんで見え透いたことするんだろ?
やっぱり終身雇用がメインの官僚以下に任期のある大臣も目が行き届かず、口も出せないということなんだろうか?それこそどこからの圧力も受けない第3者が理不尽を正すべきかもしれない。
でも第3者、第3者機関というとどうしても人員が膨らむ一方になるのも困ったものだ。かといって根っこが縦割りで横のつながりがないから第3者・・・になってしまう。でも強制力がないことが多いから「聖域」ができたり「骨抜き」になってしまう。
どんなに体裁繕ってもこんな茶番を続けていたら行き着く先は後退、崩壊、解散とか経済大国とか先進国だった事すら忘れ去られてしまうほどの貧国になっちゃうんじゃない?食料自給率もとっても低いんだから食べるものすらなくなって・・・
いつまでこんな茶番を続けるつもりなんだろう?