共通の感覚と誇り(再会) | 片岡タイムズ(日本語版)

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UPSET/宮城クラブ所属/片岡タイムズ編集長

宮城クラブの活動から。

【共通の感覚。そして誇り。再会】

頭上を見上げたところで、そこに空は無い。蛍光灯が照らすだけだ。窓の先に海が見える。あの海は、彼の地と繋がっている。自然の壮大さを感じるとともに、自分の抱えている悩みが客観視でき、何かしらの解決策が見つかる。
残念ながら、そんな事は無い。

日差しの影響を妨げる為、カーテンを閉め切る。競技への影響を避ける為だ。バスケットボールには珍しくない光景である。

天候、風の向き、日差しの方向。人間の手にはコントロールできない様々な要因が勝敗を左右する屋外競技とは違い(そうであるがゆえに、勝利のアヤも存在する)、バスケットボールは偶然に左右されにくい競技である。

10月18日。午前10時。この日も、爽快な秋晴れとは裏腹に、宮城クラブが練習試合を行っている体育館のカーテンは閉め切られ、室内灯が選手を照らす。エクセレンス対宮城クラブ。今シーズン、3回目の対戦。詳しくは、ここでは割愛する。


試合の途中、2ピリオドの終盤だろうか。体育館の扉が開く。この日、もう一つの対戦チームであるリテラJETSの選手が到着した。聞けば、こちらのチームには、神奈川大学バスケ部のOBが数多く存在するらしい。

体育館に到着後、チームの主将である増田選手がコートに視線を飛ばす。その瞬間、何人かの選手の意識がコートの外へと向かう。バスケットボールは、混沌と静寂の連続する競技である。激しいスポーツの割に、意外に試合は止まる。そんな静寂の時間、蓮見勇紀、直紀の2名も増田主将に目配せをする。混沌の時間帯、コートの外へと意識を向けたのは彼ら2名だった。

彼が大学1年時の、4年生としてチームを牽引した主将であるようだ。大学バスケットボールの厳しさ、激しさ、努力の価値を教わった大先輩であるとの事。あえて言葉にするとお大袈裟かもしれないが、人生の真理を教わったといっても過言ではないのかもしれない。19歳の青年にとっては非常に大きな出会いだった。静寂の中、視線だけで分かる、3人だけの世界が拡がる。何処となく温かい。

良いチームだったのだ。絶対に。


ハーフタイム、2名が元主将の元へと駆け寄る。多くの言葉はいらない。固い握手を交わし、お互いの健闘を誓い合う。大学の体育会で時間を共にした先輩と後輩特有の連帯と友情。言葉にすると陳腐かもしれない。でも、事実なのだ。


痛くて、辛くて、献身と自己表現を試されて、だからこその間隙を味わってしまった。そんな共通の感覚と誇りは時間と空間を超える。そんな光景だった。


余談であるが、この日も、選手として参加していた管理人氏。彼も試合中のはずなのに、何故、互いの視線や空気感を感じ取ることが出来たのか。彼特有の感受性か、それとも競技中にもあふれ出る大きな余裕なのか。否。この日、管理人氏は試合に出場するチャンスを得たものの、マークマンを止めきれず、早々にベンチ(またはレフリー)へと、その役割をシフトしていたからである。感動の場面の裏側。そこには、哀愁が漂っていた。

リテラJETS
(文責:宮城クラブ 広報部 片岡)