すさまじい台風が過ぎ、一気に秋の気配となってきました。

農業に関するお話もたくさんあるのですが、今日はちょっと次回の内容の予告にもつながる

千年の都で新規就農1年目
こちらの子たちのお話です。
ちょっと愚痴のような話で長くなりますが、奈良県の動物保護に対する姿勢と問題点がよく分かると思いますので、お読みいただければ幸いです。



9月4日日曜日、農大の当番に当たっていたので大学に行ったところ、先生から「農大に住み着いている仔猫がいるから、捕まえて欲しい」という依頼がありました。

校舎内に入れて、出入口を締め切って2匹の仔猫を1時間かけて捕まえることができました。

先生からは、「保健所は日曜日はやっていないので、明日まで箱に入れて置いておこう」と言われたのですが、自分が隣の市にある「宇陀アニマルパーク」という県が運営している動物の保護施設に連れて行くと申し出て、連れて行くことにしました。

この宇陀アニマルパークは県が税金を使って建てた、畜産試験場もかねて、動物の保護、譲渡などの活動をしているという比較的新しい施設です。


まだ3ヶ月くらいの仔猫だし、きっと新しい飼い主を探してもらえるだろうと、連れていったのですが、窓口にいた県の職員は

「こちらで預かったら、全て県の所有となりますので返すことができないんですが、いいですか?」

と言われたので、

「まだ小さいし、保護活動をしてもらいたいので、そちらで預かっていただいて結構です」

と伝えると

「譲渡にはたくさんの規約があって、実際に譲渡までできるようになる動物はほんの僅かなんですよ。この2匹の猫は野良猫だったということなので、まず譲渡できる対象になりません。法律上3日はこちらで保管しなければならないのですが、そのあとは処分ということになるでしょうねぇ。実際ここにも何匹か譲渡待ちの猫がいますけど、ほとんど看板みたいなもんですわ。なかなか貰い手がないのが現状です」

と言われてしまいました。さらに

「動物の保護っていうのは本当に難しいんですわ。熊本とか処分0って謳っていますけど、あんなん偽善や。そんなにうまいこといくもんやないよ」

とまで・・・

悩んだあげく、3日は処分されないということだったので、とりあえず預けたうえで対処方法を考えることにしました。


関西では大阪の能勢市にボランティア団体が棄てられた動物の保護活動をしているので、電話をしてお話を聞いたところ、現状では新しく動物を引き受けることができないので、なんとかそちらで里親をして欲しい。と言われてしまいました。


他にもいろいろ調べたのですが、結局方法が見つからなかったので

大型犬2頭、ウサギが1羽いて、家も狭い、学生の身でお金も無い、農業の勉強と実践で時間もあまり取れない、といった我が身ではありましたが、

仔猫2匹の里親になって、新しい飼い主を探すことにしました。

そこで、アニマルパークに連絡したところ


「今更、返してくれと言われてもお伝えしたとおり、この2匹の猫は県の所有となっているので、返すということが非常に難しいのです。返すためには、この2匹を譲渡という形でしか渡せないので、猫にもあなたにも譲渡の要件を満たす必要があります。規定を考えると、なかなか無理だと思います。」

と言われ

「それは、あの2匹は死ぬしかないっていうことですか?」

と聞くと

「まぁ、方法がないのでねぇ・・・」

という返事。実はこのとき、1つだけ方法を考えていました、

「あの猫は僕が拾得物ということで、そちらに預けて1時的に県のモノになっているわけですよねぇ。それじゃ、実は誰か元々の飼い主が来て、自分のものなんですといって連れて帰ることは可能ですよね。」

と聞くと

「それは可能です。、ただし、1匹あたり預かり賃として2500円の費用がかかることになるので、よろしくお願いします」


なんじゃそら・・・

せっかく2匹を殺さずに、必死で生かしていく方法を考えているのに、この職員は規定、規定、規定・・・・命をなんだと思ってるんかなぁ。


というわけで、2日ほどこの「保護活動を看板に掲げた殺処分場」に預けたものの、同じ農大の友達を連れて、その友達を飼い主でしたということにすることで2匹で5000円を払って返してもらうことができました。


早速、いつも犬どもを診ていただいている動物病院に連れていき、簡易検査を受けることに。その動物病院の先生は非常に好意的に診てくださりました。2匹ともノミはついていたものの、健康そのもの。オスとメスの1匹ずつであることも判明。躯虫を行なったあと、「猫の譲渡に関しての連絡先として病院の電話番号を使ってください」とまで言っていただき、ポスターも貼っていただけることになりました。


帰りに猫のトイレや餌など必要なグッズを購入。ここまでで約2万円を消費しました・・・まぁ、うち5千円はいまだになんで払わなあかんかったんか分からん返却費用やけどね。


そして家に連れて帰ったときの様子


千年の都で新規就農1年目
最初は警戒していたものの、3日たった今では割とくつろいでいます。食欲も旺盛。トイレは自分から、トイレに入ってするようになりました。


ちなみに


千年の都で新規就農1年目
対ルル坊。あまり興味を示さず。ただ、ナワバリはしっかりとお守りの様子でした。



千年の都で新規就農1年目
一番不安だった、対ルーシー。しっぽフリフリ近づいていったルーシーに「シャーッ!」と威嚇。ルーシーは驚いて逃げていきましたよ・・・


そして


千年の都で新規就農1年目
遠くから威嚇されて、部屋を逃げ惑う小雪・・・・弱っ・・・


といった、順位づけとなっています。やはり最強はルル坊、最弱は小雪で変わりはないようです。


さて、こういった動物の引き取りに関して僕の意見ですが

動物を保健所に連れていって、処分するのは一番楽で簡単だと思います。しかし人間の都合で生まれてきた命を、人間の勝手で奪うのは、絶対に間違いです。確かに、保護して、新しい飼い主を探すのは容易なことではありません。

時間がかかり、手間がかかり、お金がかかります。


捨てた本人の気持ちはわかりませんが、少なくとも保健所に連れて行った人は、少なからず罪悪感を感じると思います。殺す立場の人も嫌だと思っているでしょう。まさに、猫も人間も全員が悲劇で不幸せです。

しかし、善意のある人間が生活の一部を少し犠牲にするだけで、ひょっとしたら猫も幸せになり、里親も満足し、新しい飼い主も幸せを感じることができます。

なんでも楽な道というのはあるものですが、少しの苦労、不便、そういった過程を過ごしたほうが、案外みんなが幸せになるものなのではないでしょうか。


最後にさらに愚痴のようになりますが、奈良県の譲渡の要件を見ますと

・現在、他に動物を飼養しておらず、将来も適切に管理できない動物は飼養しないこと。

・日常の世話は主に大人が担当すること。

・動物だけを残して日常的に1日4時間以上留守にしないこと。

たくさんの要件がありますが、特におかしいと思う3つ。

・動物は2頭以上飼育してはいけないのか?

・動物の飼育は、子供に命の大切さを教える絶好の機会なのに、絶対に大人が世話をしなければならないのか?

・動物を飼っている家庭では4時間以上留守にしてはいけないのか?


これらの要件は現実に即しておらず、むしろ飼い主を見つけにくくしているのでは?と思ってしまいます。


私は熊本で行われている「殺処分0にする」という活動は素晴らしいと思います。なにか明確な目標を持って試行錯誤して取り組む。難しい問題ほど、進みながら考えて改善していくということが必要です。奈良県の職員みたいに、規定にしばられ漫然とすごし、命の大切さを忘れ、目標もなく、他で行なっていることを批判する。こんなんで、動物の保護活動をする県の職員をしていることが間違いであるし、この仕事で給料をもらっていることがおかしいと感じます。


飼っている動物を捨てるとか無闇に増やすいう行為は、しっかりとした教育を行い、倫理観を養わなければ無くなりません。小学校くらいのときに、命の大切さを学び、保護された動物を学校で飼い、里親活動を行い、さらにその動物のために生徒が募金活動をする。そうすれば、動物を飼育することの喜びと、大変さ、飼育の上でのお金の重要さ、全てを学ぶことができ、処分される子たちの数も減らすことができるのではないかと思います。

更にはこういった、教育を受け、心から命の大切さを学んだ人間が増えていけば、安易に捨てられる犬や猫がいなくなってくるのではないかと思います。なにより動物は触れ合わなければ、どれだけ教科書や画像で見せられても実感しにくいものです。

素人考えかもしれませんが。、ひとつの案として書いてみました。縦割りのお役所では絶対に実行できないでしょうけど・・・


最後にもう一つ。現状の棄てられた動物の殺処分を減らすためには、お役所を頼ってはいけないようです。ひとりひとりが命の大切さを考え、少しくらい自分や身の回りを犠牲にしても、目の届く範囲の命はみんなで守っていくんだ!という思いが必要です。あくまで自分だけが頑張るのではなく、できるだけ周りの協力者も巻き込んで、みんなで活動をすることが必要です。今回の件でも、農大の仲間や先生も協力してくれると言ってくれております。やっぱりひとりでの活動には限界がありますからね・・・


自分はペットや動物が「モノ」という扱いではなく、「生命」であり「生き物」なんだという位置づけになってくる日を、願って止みません。(まぁ、国とか官僚とかいうものは、こういう利権の絡まない案件に関しては、なかなか手をつけませんけどね・・・・)


次回、この2匹の仔猫の譲渡に関することを記載します。