通常の病院の検査ではなかなか確定診断に至らない「不定愁訴」について、分子レベルや細胞レベルで見ると、病態が分かることがあるという話をブログで何度か書いてきました。低血糖症や副腎疲労症候群に関連して、腸管の環境が重要だということについても書いてきました。

では、どうして腸管の環境が乱れてしまったのでしょうか。これには安易に抗生物質を投与するということが原因の一つとしてあります。抗生物質の内服で腸内細菌叢のバランスが乱れるということは当たり前のことなのですが、実際の臨床ではこれはあまり重要視されません。なぜならば、腸内細菌のバランスがくずれても目に見えた大きな変化はないからです。



最近では、別の原因の一つに「重金属の蓄積」が関係している場合があることが分かってきました。「重金属の蓄積」や「キレーション」については今までの西洋医学では全く受け入れられてこなかった概念です。しかし、もう40年くらいの歴史があるのです。高濃度ビタミンC点滴についても同様ですが、新しい治療法や考え方が一般的に受け入れられるようになるためにはある程度の時間が必要とします。



まだまだ現代医学で広く認知されているわけではありませんが、わたしは、「重金属の蓄積」や「腸管環境」の問題は病気の出来るプロセスの中流に位置付けることが出来、「自己治癒力」を高めるためにも重要な要因であると思っています。これらの要因にも目を向けることによって、病気の出来る中流にアプローチすることの出来る新しい医療の枠組みが出来つつあると感じています。

次回から、「キレーション」という方法によって重金属の蓄積を治療するかということについて書いていきたいと思います。