赤字が続いていたのに手取り額が増えたのはなぜ? | 「儲け」のためにできること

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私が担当しているC社のお話です。

 C社は卸売業をやっていて2013年までは業績が順調に推移していましたが、ここ3年で売上は約9割の大幅な減少。後継者もいないので会社を辞めることを検討しました。その際、社長よりいつ辞めればいいのか分からないとのこと。赤字が続いているのですぐに辞めた方がいいのではないか、ただ、売上が回復するのを待つため会社を続けたい考えもあるので、その場合には自分の手元に入るお金がどのくらい減ってしまうのか心配しているとのことでした。

 

 そこで今年の12 月で会社を辞めた場合と社長が65歳になる4年後に会社を辞めた場合では社長の手取り額が変わるのか試算をしてみることにしました。

 

 

パターン1.会社を12月で辞めた場合

 

 H29.12に退職金を支給し、残ったお金は配当として支給した場合で所得税、住民税を引いた後の金額は以下のようになりました。

7,063万円。

実はこの会社、預金が1億あって借入金は無いなので、年内で会社を辞めても社長はこれだけもらえます。

 

パターン2.4年後に会社を辞めた場合

 

 

※1.4年間で売上は回復せずに経常利益は直近の実績額▲800万円で推移していき預金残高が減ることで手取り額の最低ラインを試算しています。また、4年間の役員報酬額は変えずに支給し、パターン1と同様に会社を辞める年(H33.12 )で退職金と配当を支給しています。

 

そうすると、4年間の手取り総額は7,572万円となり、パターン1 よりも509万円増える結果となりました。売上が回復しないままでもこれだけもらえるのです。

パターン1 よりも手取りが多くなったのは、会社が4年経過したことで他の所得よりも所得税の対象となる金額が少ない退職金の支給額が増やせたこと(3,840万円⇒4,864万円)が大きく影響しています。

この結果から会社をすぐに辞めることはせず、社長は売上を増やすことに専念できることがわかりました。

 

今回ご紹介した会社は、預金が多く借入金などの負債も無いので、4年間赤字が続いても社長の手取り総額は増えるという極めて稀なケースでした。ただし、会社を閉める際に買掛金や未払金などの必要な支払いが残っている場合には、辞めるタイミングを誤ってしまうと社長の手取り額は減ってしまう可能性が考えられますので、一度試算をしてみてはいかがでしょうか。

 

                              担当 柴﨑 誠