【羽毛ふとんの定義】
羽毛ふとんかどうかは中身のダウン率によって決まります。ダウンとは水鳥の胸部分の毛で、タンポポの綿毛みたいなものです。下の画像の左側です。一方、羽部分の毛をフェザーとかスモールフェザーと呼び区別します。画像の右側です。
![ダウンとフェザー](https://stat.ameba.jp/user_images/20140921/20/sleepdesigner/46/87/j/o0700033013073868423.jpg?caw=800)
このダウンの混率が50%以上のふとんを全て「羽毛ふとん」と表示します。そのためダウン50%でもダウン90%でも同じ羽毛ふとんと言えるのです。通販などでビックリするような安価の羽毛ふとんが出回る仕組みの一つですね。ちなみに50%未満は羽根ふとんと表示します。
当店では90%以上の羽毛ふとんを保温力のしっかりした製品としてオススメしています。
【ダックダウンとグースダウン】
ダウンは水鳥の種類や産地、飼育期間など区別されますが、まずはダック(あひる)とグース(がちょう)という水鳥の種類で分けて考えます。
![ダックとグース](https://stat.ameba.jp/user_images/20141013/10/sleepdesigner/74/03/g/o0242035513096376184.gif?caw=800)
グースの方が体が大きく、それに比例して大きいダウンが採れる為、軽くて膨らみのでる羽毛ふとんが作れます。必然とグースの方が質が良い羽毛ふとんと言えます。またダウンの密度もグースの方が高いので、壊れにくく長持ちします。
当店では価格が高くなってしまいますが、羽毛ふとん最大の特徴である軽さ、耐久性や将来の仕立て直し(リフォーム)まで考慮してグースをオススメしています。
【ダウンパワーとゴールドラベル】
さて、ダウンの種類は大きく分けてダックとグースですが、もう少し細かく分けると産地(ポーランドやハンガリーが有名)や色(ホワイトもしくはシルバー)、飼育期間(親鳥もしくは子鳥)などの基準があります。
これらを一つ一つ考えながらダウンの力(価値)を判断するのは大変です。その為、ダウンの力が一目で分かる指標として、ダウンパワーをもとに日本羽毛協会が発行するゴールドラベルがあります。
![ラベル](https://stat.ameba.jp/user_images/20140921/20/sleepdesigner/2c/1f/j/o0493044913073868424.jpg?caw=800)
ダウンパワー(dp)とは、羽毛1グラム当たりの体積表示で、数値が高ければ良い羽毛、軽くて暖かい羽毛だと理解して下さい。昔はかさ高という測り方をしていましたが、誤解を招きやすいのでダウンパワーという測り方になりました。
当店ではエクセルゴールド以上を原則として扱います。ちなみにグースの場合はほとんどがロイヤルゴールドラベルです。もちろん例外はありますよ。
【ダウンの量(充填量)】
それから羽毛ふとんの中身の量(充填量)も忘れてはいけません。一人用のシングルロング(SL:150×210㎝)サイズの冬用羽毛ふとんの充填量はおよそ1.3㎏が基準でした。原毛価格の高騰によって、近年は充填量を減らして製品にしているケースが多いです。もっともマンションや新しい家は気密性が高く設計されているので、少ない量でも充分な暖かさを得られるケースも増えてはいます。
数年前までは冬用羽毛ふとんの充填量と言えばダックで1.3~1.5kg、グースで1.3~1.4kg、マザーグースで1.2~1.3kgだったのが、最近はダックで1.2~1.4kg、グースで1.2~1.3kg、マザーグースで1.1~1.2kgに減っています。
中身や混率が良いものでも充填量を極端に減らして価格を安く見せることも羽毛ふとんは可能なので注意しましょう。ちなみに多くの寝具専門店ではダウンの充填量がおよそ0.7~0.9㎏の製品を春秋用の合掛けふとん、0.3~0.5㎏の製品を夏用の肌掛けふとん(ダウンケット)と種類分けしています。
さて次は中身から側生地に話を変えます。
【側生地の素材】
側生地の素材のオススメはもちろん綿です。
![コットンボール](https://stat.ameba.jp/user_images/20140503/16/sleepdesigner/74/d9/j/t02200165_0572043012928399306.jpg?caw=800)
羽毛ふとんは中身の吹き出しを防止するためにダウンプルーフ加工という生地の気密性を高める加工を施すので、実際は蒸れています。日本の豪雪地域を除く冬場は乾燥しますので、多少の蒸れなら暖かさとして感じることが出来るのです。
ただし、発汗量の高い子供や男性が使うと羽毛ふとんを不快に感じることがあります。寒いはずなのに掛ふとんを蹴っているパターンは蒸れだと思って下さい。軽いからではありません。化繊の掛ふとんや毛布でも同じことが起こります。
当店では、この蒸れを出来る限り感じさせない為に側生地が綿100%の羽毛ふとんをオススメしています。安価の羽毛ふとんの側生地には往々にしてポリエステルが使われています。
また同じ綿100%でも生地の織り方や綿糸の番手(太さ)による違いがあります。肌沿いの良い羽毛ふとんなら番手が60以上のサテン織りが良いでしょう。安いものは綿100%でも40や50のツイル織りの側生地を使ったものがあります。サテンとツイルの違いは実際の製品を触れば分かると思います。
【キルティング】
現在の羽毛ふとんは羽毛の片寄りを防ぐためにミシンによるキルティングが施されます。このキルティングの仕方でも価格差が生まれます。
冬用の羽毛ふとんに使用されるキルティングは、ざっくり分けると立体キルト、ツインキルト(二層式キルト)、完全立体キルトの3種類です。その他に各メーカーやお店ごとに独自のキルティングがあると思って下さい。
最もオーソドックスなのが立体キルトで生地のマス目ごとを布の壁で仕切って高さ(マチ)を作り膨らみの出やすい構造をしています。昔は表生地と裏生地を直接ミシンでキルティングしてしまっていたので膨らみが出ませんでした。今でも肌掛けふとん(ダウンケット)にはこの様なキルティングをして、タタキキルトと呼ばれます。
![立体キルト](https://stat.ameba.jp/user_images/20141012/17/sleepdesigner/9f/54/g/o0352023813095612319.gif?caw=800)
この立体キルトを基本として、ツインキルトの場合は表生地と裏生地の間にもう一枚生地を挟んで、上下でキルティングのマス目数を変えます。通常、体に掛かる裏側のキルティングが細かくなります。このキルティングは生地が1枚プラスされる分、ふとんに重さが出ます。その為、少し生地の質が悪くても肌に沿う様に感じます。
![ツインキルト](https://stat.ameba.jp/user_images/20141012/17/sleepdesigner/1f/00/j/o0385013213095612318.jpg?caw=800)
完全立体キルトとはマス目ごとの羽毛の移動を難しくしたキルトです。通常の立体キルトは仕切りの布に羽毛の吹き込み口があり、そこからダウンが移動することがあるのです。
完全立体キルトはメーカーごとに構造が異なりますが、代表例として仕切りの布を2枚にして吹き込み口をズラす方法があります。
![完全立体キルト](https://stat.ameba.jp/user_images/20141013/10/sleepdesigner/0a/32/g/o0200013013096393008.gif?caw=800)
片方の仕切り布がもう片方の仕切り布にある吹き込み口を塞ぐことになり、そう簡単にダウンが移動しないという仕組みです。ただし、名称に完全という言葉があるのでマス目ごとに完全に密封されている印象を受けますが、厳密には違いますのでご注意ください。
立体キルトであれば羽毛ふとんの保温力に大きな影響差はないというのが私の考えです。保温力にはダウンの質と量、そして側生地本体の質の方が大事だと思います。特にこだわりが無ければ通常の立体キルトで充分でしょう。羽毛ふとんを掛けた時の軽さを嫌う人もいるので、そのような方はツインキルトにすれば良いかもしれません。
【羽毛ふとんの欠点】
軽くて暖かいという理由で冬用の掛ふとんの代名詞とまでなった羽毛ふとんですが、もちろん欠点があります。側生地の項目でも触れましたが、実際には吸湿性の良いふとんでは無いのです。
その為、使う方の体質や季節、寝室の環境によって不向きな場合があります。
発汗量の多い子供(ベビーも含む)や男性にとっては不快に感じることがありますし、夏用の肌掛けふとん(ダウンケット)についても湿度の高い日本の夏には適さないでしょう。当店では子供が使う掛ふとんには真綿ふとんをオススメしていますし、夏用の掛ふとんには真綿ふとんはもちろんですが、麻の掛ふとん等をオススメしています。
または「パシーマ」に代表される綿を使った薄いキルトケットを内側に掛けて吸湿性を補うのも1つの手です。
![パシーマ](https://stat.ameba.jp/user_images/20141013/15/sleepdesigner/88/74/j/t02200165_0800060013096652205.jpg?caw=800)
寝具選び全般に言えることですが、誰かが使って良かったからという理由で安易に同じものを選ぶのは禁物ですね。
それから羽毛ふとんは臭いも時より問題になります。ダウンは動物の毛なので原毛の洗浄が徹底されていない場合は嫌な臭いが残っている場合があります。日本製ではない安価な羽毛ふとんには特に気を付けた方が良いです。
【まとめ】
羽毛ふとん選びの指標は「ダウン率」「水鳥の種類」「ゴールドラベル(ダウンパワー)」「充填量」「側生地」と考えて下さい。これらは羽毛ふとんの側面に付けられる品質表示のタグを見て確認しましょう。
![タグ](https://stat.ameba.jp/user_images/20141013/11/sleepdesigner/c1/bd/j/o0600080013096431523.jpg?caw=800)
この表示の羽毛ふとんはグースが使われていますが、タグにグースと言う表記が無ければダックだと考えて下さい。ゴールドラベルはタグとは別にハガキサイズのカードとして付いています。付いていない場合はダウンパワー表示を探して下さい。両方とも無い場合はダウンの質に自信が無い証拠と言えるでしょう。
参考までに当店としての高品質基準は、
「ダウン率93%」
「グースダウン」
「ロイヤルゴールドラベル(dp400)」
「1.2~1.3㎏」
「側生地:綿100%」
価格は税込約8万円
そして最低基準として、
「ダウン率90%」
「ダックダウン」
「エクセルゴールドラベル(dp350)」
「1.4~1.5kg」
「側生地:綿100%」
価格は税込約4万円
と、しています。
それからやはり面倒ではありますが、お店の販売員と相談しながら実物を見て決めるのが良いと思います。
![店舗で選ぶ羽毛](https://stat.ameba.jp/user_images/20141014/10/sleepdesigner/d2/71/j/t02200146_0800053213097586734.jpg?caw=800)
ふとんに詳しい販売員を擁したお店が少ないのも問題ですがね…。
私や当店に何か質問やご相談があればお気軽にどうぞ。
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[電話] 055-977-2200 ※営業時間内にお願いします。
by sleepdesigner:圭
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