インターナショナル・ローンチ・サービス社(ILS)はモスクワ時間10月20日0時48分(UTC協定世界標準時12月19日18時48分、日本時間10月20日03時48分)、超高速ブロードバンド通信衛星「バイアサット1(ViaSat 1)」を載せたプロトンロケット(Proton-M Briz-M/プロトン・ブリーズM)を、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げた。

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打ち上げられたロケットは順調に飛行し、打ち上げから約9時間後、「ViaSat 1」が所定の軌道(ドリフト軌道)に投入され、打ち上げは成功した。
「ViaSat 1」はアメリカ・サンディエゴに本社を置く、バイアサット・ワイルドブルー・コミュニケーションズ(ViaSat Wildblue Communications LLC)が運用するKaバンド専用の超高速ブロードバンド衛星で、基本衛星バスはSS/L(スペースシステムズ/ローラル)社のLS-1300で、設計寿命15年、重量は6,740kgで、ブロードバンド衛星としては過去最大の衛星である。


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「ViaSat 1」は西経115.1°Wの静止軌道上から、Kaバンド・マルチ・チャンネル・スポットビームを使い、これから深刻な回線不足が予想される携帯モバイル端末向けの高速ブロードバンド通信と、一般加入者向けの超高速ブロードバンド通信の通信速度向上と、サービスの向上、移動体端末での安定したブロードバンド利用などに、月額50ドル程度の価格で提供する予定となっている。
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既にカナダで40万人が利用している衛星ブロードバンド通信は、これからも携帯端末の利用者が増加する事が予想され、その規模は100万人とバイアサットは見ている。

この需要は他社でも既に始まっており、広大な土地を抱えるアメリカ、カナダにとっては衛星ブロードバンド通信のサービス向上は必須の課題である。

日本では固定回線は光ケーブル回線でカバーしているが、更に増え続ける携帯端末の地上回線は、周波数の増加にも限界が近づいており、更に、災害時には地上基地局が使えないという致命的な欠点を持っている。
携帯端末のバッテリーが残っているのに、基地局が混信や混雑でダウンしたり、通信規制を掛けると通話は途絶えてしまう・・・。


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早くからこうした通信確保に知恵を絞って来た北米や欧州は、衛星回線のブロードバンド利用に、kaバンドを割り当てている。
Kaバンドは、スカパーJSATが利用している12,800GHzより高い周波数帯域の事で、Kaバンド専用衛星が使う地上向け下り周波数は12,801~18,000GHzの範囲で、通常のダウンロードは8 - 12Mbpsの速度となる。


北米では主要な競争相手のヒューズネットワークシステムズが、通信速度100Gbpsの通信衛星を準備しており、インターネットや携帯端末の通信回線は、地上より宇宙で熱い顧客獲得競争が始まっている。


日本では将来を見据えない携帯端末だけの売り上げ合戦が続く。
スマホ普及で回線混雑、携帯各社が対策本腰 速度規制も──
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 スマートフォン(多機能携帯電話)による動画取り込みなどのデータ通信が急増し、携帯電話の回線がパンクしかねない――。こんな危機感から、携帯電話大手が、公衆無線LANの活用や、大量利用者の通信速度を遅くするなどの対策を本格化させている。

 パソコン並みの機能をもつスマートフォンのデータ通信量は、従来の携帯電話の10倍程度とされる。KDDIの田中孝司社長は「2013年後半にもデータ通信量が携帯電話の回線の容量を超えてしまうのではないか」と心配する。すでに都市部の人ごみでは、データ通信速度が低下する状態も生じている。

 このため、各社は携帯電話回線を使わない公衆無線LANの活用を強化。鉄道の駅や空港、カフェなどで利用できる無線による高速インターネット接続の仕組みで、各社ともこうした接続地点を全国10万カ所規模で整備する予定。通話は電話回線、データ通信は無線LANという使い分けをしてもらおうというわけだ。【2011年9月28日朝日新聞】より引用。


はてさて、この日本の携帯電話各社のその場凌ぎの取り組みで、どこまで通信を確保出来るのかはてなマーク
回線容量満杯の日はすぐそこまでやって来ている・・・。


プロトンロケット、ViaSat社の通信衛星を打ち上げ

Image credit: ILS
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