『Win Winの関係ではなく、幸福の関係』
「quality of life の向上」
組織から抜けだし約10年、追求して来たのが「農福連携」である。
と言っても、「ライフワーク」と位置づけたのは5・6年前、FBに書くと「重くなるので」ここに書いてみた。
<これまでの経緯>
私は〇〇〇の仕事ですと言えないのが悲しい。
- 人生の殆どは「農業・農村地域計画」企画・構想などのソフトコンサルタントである。
- 次に「食クラスター」「6次産業化プランナー」などの「農産加工のコーディネーター」が多くなってきた。
- 次に「障がい者雇用促進事業」「就労困難者マッチング事業」等の4年間だけであるが、これらに関する事業制度、法律等学んで来た。
- ここらへんで「農福連携」「福祉農園」を、ライフワークにしようと決意。
- 精神保健介護士などの学校で更に勉強しようとしたら、2年後、60才過ぎたら仕事は無いよと、仕事でなく、勉強したかったのに。。。60過ぎると「労働力」ではないのだ。
- 「福祉の世界」が分からなく「就労継続支援A型施設」(農福連携)で半年働いた。
- 春、野外作業をやって来ていないハンデのある方と、農作業の架け橋として「園芸療法士」の勉強し資格取得した。「農業は昔から懐の深い産業」であり、「労働力のバッファー」と言われており、ハンデのある方々が、農作業に入れるように「園芸療法」を学んだ。同時に、農水省・江別市の農福連携協議会での活動も始まった。
- FBでも、何処でも「農福連携」と言い続けていると、農業界の重鎮の方から「農福連携」の事例調査を頼まれ、施設、養護学校等30ケ所くらいの取材で勉強させて頂いた。
- 昨年、新規就農を目指した若者120名(3回調査)の研修事業の取材を担当し、農家は減っているが、過疎化も進んでおり、農業のパートさんが少ない。そこにトマト等の新規農家が増えると、更にパートさんがいなくなる。=そこで、ハンデのある方々にお手伝い頂いていたり、既に地元の「就労継続支援A型施設」(農福連携)が、足りない労働力をハンデのある方々にお願いしていた。
- 年末から「福祉農園」を始めたいとのオファーが入り、熱心なので関東の現地の「就労継続支援A型施設」に行って見たが、農地もひどく、「農園」のマネジメントについてまだまだ未熟、あちらへ定住して構築するには、時期早々と辞退し、(農福連携)について今でもアドバイスはしているが、準備に1年はかかるであろう。
- 最近、「就労継続支援A型施設」で「自然栽培」を行うという興味ある施設があったが、私は「奇跡の林檎」の木村さんの農学校で月6日くらい教えてもらうことになっているので、2つを追いかけるのは無理で木村さんの「自然農法」を学ぶ事にした。
- 「農福連携」に「自然栽培」が合うのではないか?
- 自然環境でハンデのある方々が農作業をして、グリーンケア・セラピーに良い。
- ハンデのある方々に、最低賃金以上、社会・厚生年金等福利厚生のためには「高く売れる野菜」を作らなければならない。
- 農産加工!というが、市場にあった量の加工品を作るとなると、大きめの畑が必要であるし、道内の中小加工業者が最近はいいものを作ってはいるが、農家さんでは一部、トマトジュース、ジャムは飽和状態。考えてはいくが、最初から加工を宛てには出来ない。
- 自然栽培は有機肥料(家畜の糞、遠い山からの木くず)も入れない、その畑にあるものを土に還元し、根圏の微生物バランスを保ち、自然の無理のない野菜を育てるので、体に優しい。
- アトピー?まだ分からないが、ピュアーな野菜は体に良いと思われる。
- 高く売りたい! 自然栽培の良さ(有機栽培よりも良い)を理解して頂き、ファンになってくれる消費者を中心に、C S A ( Community Supported Agriculture)「地域支援型農業」を展開してはどうか?10年以上前に、長沼町のメノ・ファームが続けている。消費者と農家さんが話し合い、年間契約栽培を行う。豊凶作はロハ、原則、畑に収穫・イベントに来てもらう(ダンボール輸送費削減)、ベリーのペーストみたいな一次加工品の安定契約販売、エディブルフラワーなどの価値が分かる人への販売
- などなど考えている。自然栽培を100名の方が学びに来ます。「農福連携」を考えている方と巡り逢えるかも、今年は学びつつ、営業を展開しよう。
・「農福連携」の目指すもの(A型就労支援施設で農業を)
ハンデのある方々が、自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか?
QOLの「幸福」とは、身心の健康、良好な人間関係、やりがいのある仕事、快適な環境、十分な教育、レクリエーション活動等の優しい・幸せな生活の向上である。
様々なハンデを抱え、農業を通して「幸福」を作り出せるか?
また、農業者が、ともに働くことの意義を理解し、自分も「幸福」を感じるかが「農福連携」の原点である。
「ハンデのある方々」が、農作業という労働からQOLの向上を目指すものであり、工賃向上は良い事であるが、室内作業から戸外に出ての新し体験(グリーン・ケア)様々な生き物との触れ合い・作業等の幸せも感ずる事が肝要なことである。
聞いた話ですが、農家・農業生産法人が労働力不足を、ハンデのある方の安価な労働力で解消できるという発想では「農福連携」は崩壊する。
就労継続支援B型事業所では(詳細は後述)ある農家の工賃が100円/時間の施設外労働であったが、翌年には100円以上を出す農家が現れ、混乱を招いた例もある。
(B型には定まった工賃がなくH24年平均176円/時間、A型は最低賃金以上でH27からは764円/時間)
農業と福祉の双方を理解している「農福連携コーディネータ・ジョブコーチ」 「園芸療法士」の育成と、組織をあげての実効力のあるネットワークを形成し、実際に福祉と農業を結び付けて行く事で、初めて「農福連携」が実現するものと思われる。
・表記についての留意点
本調査に当たっては「障がい」というデリケートな課題を取り扱うために、その表記については以下のような点に留意した。
福祉関係の法律では「障害者」との表記になっており、法律名であるので、そのままの表記にしますが、その他、文中におきましては、かつて表記指導のあった「障がい者」及び、「(心身に)ハンデのある方々」との表記を致します。
それは、特別支援学校の先生から、生徒にたいして「障がい者」という目ではみてない、「ハンデがある」という理解をしているとのお話をお受けして、それに沿った表記を用います。
・現行の就労継続支援政策について
昔はハンデのある方々に対しては「隔離」「管理」の時代であった(ex 赤井川村 銀山学園)と在宅であり、「授産施設」「作業所」が数少ない「就労の場」であった。
平成18年に「就労継続障害者自立支援法」を基本に、「障害者総合支援法」(平成25年)となり拡充しうる、障害者の定義に難病等を追加し、重度訪問介護の対象者の拡大、平成30年にはハンデ(精神)の雇用が義務化された(5年の激減緩和期間あり)それに伴い、ピュア・トレーナー、ジョブトレーナー、個別就労支援プログラムIndividual Placement and Support : IPS)を職場に配置しフォロー体制も義務づけられている。
「障害者総合支援法」(含「障害者自立支援法」)においては、ハンデの克服に必要な各種介護施策や就労のための「自立訓練」等のサービスの他に就労及び、最終的には一般就労を目的とした各種サービスが定められた。その就労支援事業所は以下の通りである。
ア)就労移行支援事業所(直接的関与が薄いのでカット)
イ)就労継続支援A型事業所(雇用型)
企業等に就労することが困難な者につき、雇用契約に基づき継続的に就労することが可能な65歳未満の者であり、下記の対象者に対し、生産活動その他の活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、その他の必要な支援を行います。
「対象者」
企業等に就労することが困難な者であって、雇用契約に基づき、継続的に就労することが可能な65歳未満の者(利用開始時65歳未満の者)。具体的には次のような例が挙げられます。
・就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
・特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
・企業等を離職した者等就労経験のある者で、現に雇用関係がない者
ウ)就労継続支援B型事業所(非雇用型)
通常の事業所に雇用されることが困難な障がい者のうち、通常の事業所に雇用されていた障害者であって、その年齢、心身の状態その他の事情により、引き続き当該事業所に雇用されることが困難となった者、就労移行支援によっても通常の事業所に雇用されるに至らなかった者、その他の通常の事業所に雇用されることが困難な者につき、生産活動その他の活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、その他の必要な支援を行います。
「対象者」
就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される者。具体的には次のような例が挙げられます。
・就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
・就労移行支援事業を利用(暫定支給決定での利用を含む)した結果、B型の利用が適当と判断された者
・上記に該当しない者であって、50歳に達している者又は障害基礎年金1級受給者
・上記に該当しない者であって、地域に一般就労の場やA型の事業所による雇用の場が乏しく雇用されること又は就労移行支援事業者が少なく、利用することが困難と区市町村が判断した者(平成24年度までの経過措置)
エ)特例子会社
障害者雇用率制度においては、障害者の雇用機会の確保(法定雇用率=従業員50名以上で2.0%以上の障害者)は個々の事業主(企業)ごとに義務づけられている。
一方、障害者の雇用の促進及び安定を図るため、事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たす場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算定できることとしている。
また、特例子会社を持つ親会社については、関係する子会社も含め、企業グループによる実雇用率算定を可能としている。
その特定子会社は、雇用される障害者が5人以上で、全従業員に占める割合が20%以上であること。
また、雇用される障害者に占める重度身体障害者、知的障害者及び精神障害者の割合が30%以上であることが義務づけられている。
・「農福連携」の現状と取り組みについて
北海道農業は、離農農家の増大及び、土地利用型農業から労働集約型農業への移行が進んでおり、それに伴う農業労働力の不足が常態化している。
一方、障がい者の就労は施設内作業が主であったが、農林水産省からはたらきかけている「北海道地域の農業分野における障がい者就労促進ネットワーク」及び「各地の農福連携協議会」等の各種取り組みから、農作業の補完力及びリハビリとして、就労を考える福祉施設も現れて来ている。
これらの農福連携の形は、大きく分けて以下の2種類となっている。
・福祉施設の事業として、農業を取り入れている事業所
上記の1企業?(九神ファーム&(株)クックチャム)が農地を借り、加工・売は親会社のルートを活用した事例は、短期間かつしっかりしたビジネスモデルでもあり、今後「プロジェクトめむろ」とした全町に波及させ、町民とハンデのある方々が、quality of lifeの向上を目指せるかが?鍵であろう。
福祉施設が障がい者の自立・リハビリのために就農指導しており、就労継続A型事業所が多いが、訓練等給付事業として営農、農産加工等を行い、その販売収益で利用者(ハンデのある方々)の工賃に当てている。
利用者は施設側と「労働契約書」を交わし、最低賃金(764円)以上の工賃が約束されている。
しかし、訓練等給付事業所として農業を取り組んでいる事業所は少なく、まずは農地の取得(賃貸)が問題であり、生鮮野菜販売のみであると、それに見合い農地の確保はさらに難しくなるために、加工を行い付加価値を付け収入増大に取り組んでいるが、恒常的な販売は難しく、道の駅、バザーでの販売、札幌では大通り「元気ショップ」での販売があるが、「北キッチン」「HAGUまーと」等には置いていない。
更に事業所のスタッフは福祉関係の出身が多く、農業は家庭菜園、加工は家庭料理の範疇であり指導が難しい上に、衛生管理の保健所の規制クリアには相当な投資が必要になる。
・農家及び関連事業体が、福祉施設へ業務委託契約を行い、障がい者の方々が
「施設外就労」(農作業の福祉施設への外注)を行う。
特に個々の農家の方々が、収穫期等の繁忙期の労働力不足の解消のために、B型事業体の方々からの「施設外労」が多いのが現状である。
ハンデにより可能な農作業が限定されるために致し方ないという事はあるが、施設によっては障害者年金を考慮しつつ、ハンデによる工賃の差をないところもあり、今回の取材では3施設がそうであった。
総じて、北海道農業生産における(農家・農業生産法人)一般農作物の農作業における労働力不足にはB型の「ハンデのある方々」が対応している例が多いが、最初はなれてもらうために。数日以上の指導が必要になる。
最初は雑草と間違い、芽を取ってしまう等の事もある。「施設外就労」は施設の職業指導員が随行し指導するが、農家から職業指導員に説明し「ハンデのある方々」に農作業をしてもらうが、職業指導員の方も、農作業が初めての方もおり、うまく指導できない場合もある事から「農業就労のトレーニングの場」として「園芸療法」が活用されるべきであろうと思われる。
農家が張り付いて指導すると、基幹農作業が出来ない等、今後、農業生産にかかる労働力として実力を発揮するには、種々の課題が表面化している。
以上の事から、施設の指導員に農業を学んでもらうか、農業専門の指導員を配置する事などは、厳しい経営下では難しく、一方、農家の方々に「ハンデ」について学んで頂き、適切な指導を行うのも農繁期の農家には無理がある。
身体障がい者は「障害者雇用率制度」現在の法定雇用率(50名以上2.0%~2.3%)において約4分の3が一般就労を果たしているが、知的・精神ハンデの順に雇用率は低いのが現状である。
=今後、H30~H35には精神・発達ハンデの方々の雇用が義務づけられ、「発達障害者支援法」改正が次期通常国会に上程され、ピュアトレーナー、IPS等のハンデの方々への就農指導が必要な人材育成が必須である。
特に、性格障がいは日本での研究も浅く、近年、注目され増加してきているアスペルガー症候群等(全国の学生の6.5%を占める可能性がある)=気がつかない・原因不明
ハンデをフォローには「ティーチ・プログラム」等の高度かつ細かい療法が必要になる。
その療法を受け個人農家の農作業をこなす「ハンデのある方」も元気に仕事をして、アスペルガーのB型の方は、閉じこもりがちで肥満であったが農作業でスリムになり、かつ日焼けをして精悍になり、受け入れ農家もハンデの内容を把握し、良き関係(quality of life)
を作っている良き事例もある。
これら様々なハンデのある方々が、農作業に慣れるためには、「農福連携コーディネータ及び、農福連携ジョブコーチ」(ピュアトレーナー・IPS)を育成し、ハンデのセラピーも兼ねた、農作業のトレーニング期間・圃場・各種療法を設ける必要がある。
<Social Firms(社会的事業体)>(略SF)
当農場はハンデのある方と自立を模索して来たら、7・8年前からSocial Firms(社会的事業体)と呼ばれだした。SFとはイタリアの成功例を学び、逼迫した福祉費用捻出のためにハンデのある方々への仕事のための事業体を作りだしてきた。
SFの始まりは、イタリアのトリエステで、1970年代のバザーリア(精神科医)は「自由こそ治療だ」という精神から、患者(閉鎖病棟)を町に解放をし、不満を言った町民を閉鎖病棟へ招き「この閉鎖状態で精勤の病気を治せるか?」と問いただし、気付いた町民たちにより、患者が街中で働くために協力をするようになっきいったのが始まりと言われている。
また、ベトナム帰還兵がPTSD等で精神病院が一杯で、周囲の方々が相談・就労の機会を作り社会復帰(マリソンモデル)というオープンケアが認められてきた。
この時「園芸療法」もセラピーに用いられた。
日本では「阪神淡路大震災時」に瓦礫の下に閉じ込められた方々のPTSD等のセラピーに活用されており、それが認められ、淡路島に県立の園芸療法の全寮制専門学校も出来ている。
オープンケアこそ「農福連携」の原点である。
日本では、障害者の働く場として、福祉制度に基づく「通所・入所授産施設、小規模作業所」と「企業」の2種類があるが(就労支援施設は一般就労ではなく就労訓練・指導施設である。)ヨーロッパでは第3の分野として、【ソーシャル・ファーム(社会的企業)】がある。
ソーシャル・ファームは、社会的な目的をビジネス手法で行うものである。通常の賃金、労働条件で生産活動を行い、製品・サービスを市場で販売し、利益を事業に再投資する形で、社会的目的を実現させる。
ソーシャル・ファームは、障害者あるいは労働市場で不利な立場にある人々のために、仕事を生み出し、また支援付き雇用の機会を提供することに焦点をおいたビジネスである。
また、うまく出来ない場合は、丁寧に教えるが、自由な仕事も選べる環境で、自分のやりたい事があると、徹底的にやってしまうので、そこで止める事も必要である。見極めが難しく、指導者が雑務に忙殺されてしまうと見間違う。
町・企業主導型
町議会において、町長が行政報告し出資企業による法人設立登記手続きをはじめ以下のような準備活動の末に本格的にスタートした。
現在は、2015年からコミュニティレストランを開設し、地産地消・アンテナショップ的役割、職域の拡大を図っている。
ここ工場で皮むきと洗浄し、ここでも再度、洗浄・脱水して1㎏づつ真空パックにしている。また、ごぼうは農協からお安く分けて頂いた物に、下味をつけてパックし、四国・九州へ搬送し店頭で揚げて販売している。
嵐山工場では保健所の許可もおり素材加工が出来るようになり、ごぼうのから揚げの他に、ごぼうの酢漬けも作れるようになり、今年、近くの農家さんから通常価格で買い付けカリフラワーを使って欲しいとの事で、これも酢漬けにして「十勝の味」として好評である。
白い帽子がスタッフで、青い帽子が利用者さんで、スタッフと遜色なく働いている。スタッフのうち2年間福祉サービスを受けていた人が、今年4月に、利用者からスタッフとなりエリア職員(限定社員(地域・時間給))で、サービス利用も辞め、3級の手帳も返納して一般就労を行っている。
うち2級の手帳はもり、社員(一般就労)になり、A型受給者証は町に返却している社員もいる。
ここで生産・一次加工されたばれいしょ等は、愛媛、福岡のA型施設で、マッシュポテト加工、パン粉付け作業、コロッケ成型作業を行い、本社等で、その場でサラダの味付け、コロッケを揚げたり、ポテト加工を行ったりしている。
十勝の農産物の味を分かって頂き、売上1位が、こちらで生産されたばれいしょのポテトサラダであり、今、2位としてコロッケの売り上げが伸びて来ている。
加工用の農産物が足りなくなった時には、地元の農家さんからは通常価格で、農協さんからは加工仕向けのものを分けて頂いております。農協さんには冬期間に保冷施設のじゃがいも等も買わせて頂き加工してますので、利用者の仕事も途切れることなく、加工品も一定の数量を提供出来ることから非常に助かっております。
「施設外労働」=「ばぁばのお昼ご飯」は、NPOプロジェクトめむろが運営しているので、そこと業務提携をしており、報酬は、そこから出る形になっている。
・かなりの事業所が出来ているが、移行型とB型併設の「多機能型事業所」も増えて来ている。A型作業所では継続的に最低賃金の工賃を出せるかというのが課題になっている。
ここでは6時間半の労働で11万程度の総工賃で、社会保険に加入していますので、手取りは10万円を切る状況です。利用者工賃は事業所としては高い方ではありますが、移行した一般就労(7.5時間、エリア社員)から比べると低く状況ですので、利用者さんがエリア社員をめざす他、ステップアップとしては、当社の社員を目指すなり、町や、町内の企業の障がい者雇用の拡大をお願いしている。
ここA型施設は就労継続を支援する場所であり、ここは一般就労の場ではない。利用者は、ここで「自分で働いた工賃で生活が出来る」という、働けるという自信をつけて、今年は2名の一般就労への移行が叶った。
町では、この事で福祉予算が節減されたと言っており、本施設の卒業生を沢山町内に一般就労するのが目的である。
グリーン・ケア QOL(quality of life)」
※合同会社とは、アメリカのLLCをモデルに作られたので、日本版LLC(Limited Liability Company)とも言われている。
合同会社のすべての社員(=出資者)は、株式会社の出資者と同様に、会社債務に対して有限責任である。
社長夫妻は共に保護指導員要請所で学び福祉の仕事をしていたが、既存の施設にはない障がいのある人もない人も支え合って生きる道を模索し、人間生活の基本=食、安全・安心な農業を選び、当初、夫婦と3名の養護学校卒業生3名が、昭和62年に設立した「農場たつかーむ」での共同生活を始めた。
農場は利益追求の場ではなく「良質な食料生産の場」であるとともに、「社会的に不利な立場にある人達の労働の場」としている。
当初は通年収入のある有機・有精卵をはじめ、有機JAS認証を受けた畑で各種野菜を生産し「有機」に徹底した事が、ここの農畜産物への信頼と繋がり、今では「生活クラブ生協」「らでぃしゅぼーや」「学校給食センター」「まほろば」、スパー、ネット販売と、チャンネルを広げ売り残りのない販路作りを行っている。
味噌づくり、豆のドライ缶詰、ピオ・カフェーたつかーむの食材として、安全な食と、「ハンデのある方々」安心な生活環境を提供している。
本人が精神的な不調で退職、人間関係につまずき在宅生活を強いられ障がい者手帳や福祉サービスも受けられなかった方を、ここの「地域活動支援センター」を利用して、前記諸手続きを助け就労の機会をつくり、本人の能力が100%発揮出来るように、自分の得意探しを見守っている。
心身のハンデだけなく難治性疾患、シングルマザー、ひきこもり、矯正施設出所者など54名の社員であり、ハンデのあるなし、能力に関わらず最低賃金以上で、社会保険・厚生年金もかけ、自立への道を造っている。
また、ハンデのための通院が必要なため、月に2日間は「有給通院」であり、入院も3ケ月間はただ待つ事にしている。
困った事には、諸制度・運用の変更が多く「就労支援事業費」と「障害者福祉施設設置等助成金」の用途について、各関係機関に聞いても当を得た回答が返ってこない。
本年4月に介護・福祉関連費の削減があり、今後にも「就労支援事業費」等の見直しがある話を聞いており増々苦しくなる。
A型施設においては、これまでの障がい者向けの仕事にも限りがある中で、多数の施設が出来たのはいいが、最低賃金以上の工賃確保が出来ずに、廃業施設も多くでているという話もある。
一方、自立を目指したい「ハンデのある方々」及び親御さんは沢山おり、この田舎でも増加しており、他の町村からの入所者も多く、従業員寮のほかに、社宅「ホームたき」を開設した。
今でも「就労支援事業費」は就労者が21名を越えると自治体補助が9割から7割となるため2施設申請が必要になる。(施設外就労はカウントしない。また、登録者ではなく実際の就労者数である。)
畑も拡大したいが地形的に、飛び地になると指導者を増やすことなども必要になるので、他地区の施設との連携等も考えている。本農場では支援スタッフがジョブコーチなので心配はいらないが、農業の施設外就労の指導に関する心配はいらないが、現在、ウィンザーホテルのベッドメイクや清掃があり時給は高い。
※施設外就労とは、サービス事業所が、例えば農家・農業法人等と「請負契約」を行い「請負作業」を受託し、利用者が農家・農業法人等の農作業を手伝いますが、サービス事業所の「支援スタッフ」の同行が義務づけられており、その「支援スタッフ」が農業経験がない場合等はトラブルの可能性がある。
<当農場の課題とQOL効果の発現>
「農場年間作業こよみ」を作り、利用者が通年働けるように考えてはいるが、輪作体型や販路等も考慮しなければならなく、やはり冬期間は閑務期となり養鶏はあるものの厳しいところがある。
現在、大根、ニンニク、たまねぎは、ハウスに断熱パネルをひき、2℃を保つ程度の加温を行い貯蔵し冬期間の出荷をしている。
出来得る事であれば、野菜等の通年栽培が可能になるためハウス施設の導入も考えているが、設備投資が大きな負担になるために資金が課題です。
10年引きこもっていた人、朝が苦手な人、外作業をしたくない利用者もいるが無理はさせずに、梱包等の作業をやってもらいつつ農作業見学等の機会を作り、興味を持ってもらうようにしているが難しいが、1~2年の間農業に携わった人は、健康度の向上が顕著で
ある。
一方。利用者では大勢の人が苦手な方もいるので、多くの作業所(部屋)を準備している。
農作業班は、雨が降っても、ずーっと作業を続けたり、仕事の責任がプレッシャーとなり元気がなくなる時期もあり留意が必要である。
ここでは、帯広畜産大学の「グリーンケアの成果に関するQOL(quality of life)」研究事業に協力しており、年3回の継続的なアンケートにより、さまざまな「ハンデの方々」が北海道の広大な畑で、生き生きと育つ作物や元気な動物たちと接することにより「精神的健康度」「身体的健康」が確実に向上しているとの結果が出ている。
障がい者=隔離・管理の時代から、やっと開放、社会的開放、経済的自立の道が開け、「園芸(農業)療法」によるセラピー効果も含めて「農福連携」の社会的責務がある。
「農福連携」の課題
・「就労支援制度」の規制緩和による急激な事業所の増大から、問題点の解消に向けた制度、規定の変更が多く、現場に行き届いていない例もある。
・本年、4月からの介護・福祉関係の削減から運営が難しくなっているうえに、更なる見直しが検討されているとの事で、事業所の閉鎖が多くなると予測される。
・一方、「障害者雇用促進法」により雇用率には含まれていたが、「障害者雇用納付金制度に基づく助成金算定基礎」に算入されていなかった精神・発達障害者(今回の改定で、初めて性格障がい者を認めて、精神障害に含むと明確化した)
激減緩和措置の過ぎた平成35年4月1日以降から、「障害者雇用納付金制度に基づく助成金算定基礎」として参入されるが、これは一般就労(A型施設は就労でなく、就農支援施設の利用者)である。
平成26年現在、内閣府調べはハンデ別に身体73%(31.3万人)、知的21%(9.0万人)、精神6%(2.8万人)の一般雇用がなされており、平成35年以降、助成金の対象となる精神・発達のハンデを持つ方々の一般就労が急激に増えるとは思えない。
日本の障がい者(生産年齢人口以外も含む)総数は、身体50%(393.7万人)、知的9%(74.1万人)、精神41%(320.1万人)であり、精神及び性格障がい者のニーズは比較にならぬほど多数なのが現状である。
そこで、現在、閉鎖が増えている「就労支援施設」の持つ意味は大きく、特に精神・性格ののハンデの方々は、急に静養が必要になる場合もあり、取材先の「農福連携」農場では「園芸療法」的なセラピーの場で、多様な農作業が出来る施設であり、多くの取材先では無理をさせず自由ななかで、OQLの向上を目指している施設への利用者。増大が予測されるため、精神的なハンデを克服する施設には、特別の配慮が必要である。
道南の町は?
私は、高等養護学校の先生への取材のみであり、町、商工会、JA等の見解は不明である。上記の「農福連携」の実態から今どうなのか?
1.「野菜生産工場」だけに期待しているのか?
先行事例を見ても、ハンデのある方々を含みスタッフは10名以下である
の他事業は数百人規模)
2。まずは、Nコンサルが、先鞭をきり、販路形成まで行い、その組織を核として拡充していくのか?疑問だ
・徐々に6次産業化等で付加価値の高い農水産加工を考えか?
※6次産業化事業のファンドが、あくまでの農家対象であり莫大な事業費の積み残しがあり、中小の加工業者もファンドを活用出来る見込み。
3.一般の農家の農繁期のための農作業補助力に期待しているのか?(そうなると前
期のような農作業のシーズとニーズをマッチングさせるシステムが作るとなれば
時間を要すし、的確な人材が必須である。)
・養護学校の卒業後の進路は、1位、函館(函館から寮に入った生徒)2位、
は江差の授産施設(大規模なパンづくり)であり、地元、今金町には自宅があるから、知人のところへの就職のみであり、地元への就労の場が欲しい!「野菜生産工場」でのSocial Firms(社会的事業体)づくりの基礎作りをしてはどうか?
いきなり1と3を目指すと無理がでる。
・1.の成功例を住民に分かってもらい、一般住民も含めた「ワークショップ」で、町のSocial Firmsづくり、ノーマライゼーション(ex.赤平町、生協、小樽商科大学、北翔大学の取り組み)の町作りを考えていけば、農業のみならず、地元商工業などへの就労も可能となるであろう。
<参考添付資料>
就労継続支援A型事業の収益モデル例(月間収支)
※注意あくまでも参考資料です!
【月間収益モデル例】
・利用者数:20名(身体・精神・知的・重度・難病)
・作業日数および作業時間:作業日22日・作業時間4時間
・利用者の賃金:時給750円
・スタッフ数:4名(サービス管理責任者・管理者・職業指導員・生活支援員)常勤配置
・スタッフ勤務時間:週32時間
・スタッフの平均賃金:時給900円
・作業内容:電子部品組立作業、眼鏡検品作業、PCデータ入力作業、WEB作成、清掃作業等
・作業単価:760円(1人作業時間当たり)換算
・訓練等給付金:5,900円(1日当たり)換算
(単位:円)
勘定科目 |
項目名2 |
項目名3 |
算定額(月額) |
備考 |
経常収支 |
収入 |
訓練等給付費収入 |
2,596,000 |
|
就労支援事業費収入(売上) |
1,338,000 |
|
||
助成金・補助金収入 |
900,000 |
|
||
経常収入計(1) |
4,834,000 |
|
||
支出 |
利用者給与 |
1,460,000 |
|
|
就労支援事業費 |
13,000 |
|
||
支出 |
従業員給与 |
489,000 |
|
|
水道光熱費 |
35,000 |
|
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通信費 |
20,000 |
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保険料 |
20,000 |
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地代家賃 |
200,000 |
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その他雑費 |
108,000 |
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経常支出計(2) |
2,345,000 |
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経常収支差額(3)=(1)-(2) |
2,489,000 |
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【収益モデル例に関する注意事項】
●収益モデル例は、あくまでもシミュレーションであり、実際の事業所の数値を示した物ではございません。
●実際の事業で、必ず収益モデル例と同じ利益が出るとは限りません。
●収益モデル例の数値の保証はできません。また、損害等を被っても、当事務所は一切関知致しません。
●収益モデル例は、あくまでも参考資料としてお考え
就労継続支援A型とB型のメリット・デメリット
利用者サイドから見ると
・A型は雇用契約を結んで就労が可能と見込まれる人で、盲・聾養護学校卒業者や一般企業を離職した人が対象になります。事業所と雇用契約を結ぶため、収入の安定と各種保険の適用で、安心して職場で訓練が可能になる。
・B型は就労の機会を通して生産活動の知識や能力の向上が見込まれる人や過去に一般企業に就職していたが年齢や体力面の問題で雇用されることが困難になった人たちが対象になります。(就労移行支援やA型事業所に雇用されない人等)A型と比較して短時間労働が多く賃金等が低い場合が多い。
運営者サイドから見ると
・A型の場合、利用者と雇用関係を結ぶため、各種保険(雇用、労災、健康保険等)の整備や、人件費等で運営に関するコストは増大するが、雇用が安定するので、作業能力アップが見込め、売り上げ増加にも寄与する。雇用関係の助成金獲得が見込める。
・B型の場合、利用者と雇用関係はないので、ある程度自由に賃金体系や就労体系を組むことができるが、リハビリ・訓練が主になるため、生産活動に限界がある。
事業としてA型とB型、どちらが良いのか
結論から言いますと、単純にA型事業が良いとか、B型事業が良いという判断は、あまりにも短絡的な感じで、回答は難しいです。ただ、単にビジネスとして考えた場合、今、まだ、雇用助成金が利用できるA型の方が事業としては若干収益性が高いように思いますが、平成27年度の法改正でA型事業所への締め付けがきつくなり、更にその状況は加速している中で、A型・B型事業の比較は出来ない状況になってきました。
現在、当法人へのお問い合わせや依頼は、地域にもよりますが、B型事業が多くなってきている状況です。
サービス管理責任者等の経過措置が短縮(3年)されて、いろいろ厳しい状況に置かれている就労継続支援A型・B型事業ですが、利用者さん(障がい者)に対して、まだまだ事業所は不足しています。
未定稿 岩崎元彦