洋画は字幕スーパーがええ | 交心空間

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◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇

 昭和一桁生まれのオフクロは、洋画を観るにしても「字幕スーパーのほうが
ええわ」と豪語する。地上波テレビで放送されるものは必ずといっていいほど
吹替版なので、それはそれとして観ているが、字幕吹替の話になると「吹替版
は迫力に欠けるわ」と違和感を表す。でもって日々、衛星放送やケーブルテレ
ビで放送される字幕版の洋画をあさっている。
 近所の人たちはオフクロが字幕版を好むと知ると、「ようついていけるねえ。
字幕を読みよったら絵(映像)が、絵を観よったら字幕を見落として……わか
らんようになる」とめんどくさがるが、オフクロはその点一向に問題なく展開
もしっかり理解して楽しんでいる。


 ──昭和三十年代からテレビが普及したのにつれて、放映する洋画や外国の
テレビアニメーションに吹替版の需要が高まったといわれている。ところがそ
れ以前に、若いころから映画館で字幕版の洋画を観慣れたオフクロにすれば、
今もその感覚が根づいているのだろう。