閃きとの遭遇 | 交心空間

交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇

 深夜、眠りの中で一瞬だかひとつの光景を見た。いや、感じたというほうが
よいだろう。雑書きレベルで十年近くほっとらかしのままホコリを被っていた
作品の背景だ。幸い私はまだ見たこともない世界(光景)で、「とりあえず何
もなく真っ白でいくか」と仮決めしていた。戯曲ならそれでもいいだろう。し
かしテレビか映画の映像系となると淋しすぎて退屈する。人物と展開を結びつ
ける役割として必要な設定(アイディア)である。
 遭遇に意識を叩かれて目を覚ました。眠りを振り返り、光景を手繰り寄せる。
点が線に変わり、線が面に、面から立体へと増幅していく……見えた!