修が朝帰りする。弦の鋭い目がある。「店が危ない。母さんは一生懸命働い
ている。父さんは何をしていたか」とつっかかる。しかし修は調子良くはぐら
かし、店を心配する弦を褒める。そんなことを聞きたいのではない。怒った弦
は無言で学校へ行く。
マスターから電話が入る。酒の注文である。同窓会の分、それからライブハ
ウスの分、一年分を全て即金で払うとのこと。憎らしいやり方である。断ろう
とする修だが、道子が口を挟んでありがたく受けることにする。これで何とか
不渡りは出さずに済む。とりあえずホッとする二人であった。
修と家族に活気が戻りはじめる。しかし弦は別だ。何処か修によそよそしい。
松井の取材も打切りかと思っていたが、一からやり直しとなり再開される。修
と松井の仲が気になる弦が、姉の美音に相談する。音楽にうつつを抜かすのら
まだ許せる。ところが、女性問題となると別である。怒りが込み上げてくる美
音と弦。
《つづく》
*----------* ポイント解説 *----------*
1.仲間意識が目に沁みながらも歌と生活は切り離さなければと、修の葛藤が
ありますが、道子の現実的な判断がそれをあっさり打ち砕きます。変にド
ラマドラマさせると臭くなるので、ここは現実を優先させます。
2.金銭問題が落ち着こうとすると、新たに修の女性問題が浮上します。問題
を同時に発生させたり、グラデーションのように移り変わらせたりしてメ
リハリをもたせます。
3.女性問題は家族を敵にまわす要素です。特に年ごろの子供たちにとっては
重要です。その波乱の始まりを匂わせます。