スタンリーのお弁当箱

STANLEY'S TIFFIN BOX
監督：アモール・グプテ
音楽：ヒテーシュ・ソニック
出演：パルソー、ディヴィヤ・ダッタ、ラジェンドラナート・ズーチー、ディヴィヤ・ジャグダレ、ラフール・シン、アモール・グプテ
２０１１年　インド映画

監督のアモール・グプテが、製作も脚本も手掛けて、自分の息子に主演させて、自らも嫌な国語教師役で出演するという
コストパフォーマンスに優れた？インド映画のヒット作。
インド映画といえば、SFだろうがアクションだろうが必ず歌と踊りで本編が何度も中断するのですが、
本作ではこのお約束の冗長な歌も踊りも一切カットして、上映時間も９６分という短時間にまとめ上げています。
撮影には小さな一眼レフを使って、毎週土曜日に子供たちを学校に集めて、撮影ではなくワークショップという名目で
1年半かけて隠し撮りしたそうです。
ストーリーは・・・
クラスの人気者スタンリーは活発で頭のいい子ですが、いつもお弁当を持ってこなくて、
お昼の時間になると一人教室を出て水道の水でお腹を満たしたりしています。
それを見かねた同級生たちがお弁当を少しずつ分けてあげることにしますが、
同じようにお弁当を持って来ずにいつも他の教師からお弁当を分けてもらっている国語教師に目をつけられて
お弁当を横取りされた挙句、「お弁当の無い子は学校に来る資格はない」と罵られて・・・・みたいなお話。
インド料理の好きな人なら、この映画を観た後は本場のカレーが食べたくて仕方なくなるでしょう。
カレーを作るプロセスが出てくるので、カレー好きにはちょっとした参考になります。
でも、子供たちや教師が持ってくるお弁当って、カレーというのはほとんどなくて、
チャパティ２枚だったり、クッキーだけだったり、日本でもおなじみの３段重ねのステンレスのランチボックスで
お弁当を持ってくるのは、裕福な子だけです。
ちょっと考えさせられる１本でした。
スタンリーがお弁当を持って来ない理由は後半で明らかになるのですが、
思った通りの境遇で可哀そうになります。
一応、コメディの要素もあるのですが、鑑賞後は複雑な想いになります。

音楽は、ヒテーシュ・ソニック。
インド映画にしては（失礼）洗練されたフュージョンっぽいスコアが新鮮です。
サントラには、スコアは１曲のみの収録でちょっと残念ですが、その代わり劇中流れた歌モノが６曲収録されています。
アーバンな雰囲気の曲が多く、フレンチ・ロックっぽさも垣間見えます。
インド映画にありがちな、シタールやタブラをフィーチャーしたインド音階の曲はほとんど出てきません。
アクの強いインド音楽を求める人には物足りなさを感じるかもしれませんが、
インド映画でも（またまた失礼）こんな洗練されたスコアが付けられてる作品があるんだと思わず感心。
サントラは、インドのT-Seriesというレーベル？からCDが出ていますが、
日本では取り扱っているところが少なく、ダウンロードの方が見つけやすかも。
CDの収録時間は２７分で、これなら劇伴をもっと入れてくれれば良かったのにと思います。
インド映画にしては（またまたまた失礼）ほんとスコアが普通に素敵だっただけに１曲は少なすぎます。
（まあ、コテコテのインド音楽も実は大好きなのですが・・・タブラ欲しいなあ）
DVDで初めてこの作品を観て、まさかサントラなんか出てないだろうと思って探したら、
歌モノ盤ではありますが、ちゃんとあったのには驚きました。
イタリアのパチモンに飽きたらず、とうとうアジア映画にまで手を出してしまいそうですが、
ここらで軌道修正しないと大変なことになりそうなので、来週はまともな映画にします(^_^;)

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