MAD CITY

監督: コスタ・ガヴラス

音楽: トーマス・ニューマン
出演: ダスティン・ホフマン、ジョン・トラヴォルタ、アラン・アルダ、ミア・カーシュナー、テッド・レヴィン、ロバート・プロスキー、ブライス・ダナー
1997年 アメリカ映画




「Z」、「戒厳令」のコスタ・ガヴラス監督による社会派ドラマ。

前作「ミュージック・ボックス」からなんと9年が経っています。
この監督の作品は社会派ドラマが多く、重厚なものが多いのですが、
本作は前半がどちらかと言うとコミカルな要素が混じっています。
でも、後半は一気にシリアスな展開に発展して、ラストは・・・・う~ん、という終わり方をします。
ネタバレになるので、多くは書きませんが、この監督の作品ですから、
ハッピーエンドでは終わりません。

ストーリーは、博物館の警備員を突然解雇された男が館長と掛け合うためにやってきますが、

全く相手にされないので、威嚇のつもりで発砲します。
ところが、弾は誤って同僚の警備員に当たってしまい、成り行きで子供を人質にして籠城する事態に発展します。
たまたま現場に居合わせたテレビ局の記者がこれをスクープとして報道しますが、報道はどんどんエスカレートして・・・・・・・というお話。
ガヴラス監督、この映画では単にメディア批判をしているのかな?
ちょっとその辺が分かりづらい気もしますが、最後まで飽きることなく観ることが出来る作品です。
地味な内容なので、ダスティン・ホフマンとジョン・トラヴォルタというビッグ・ネーム2人の組み合わせでなくてもよかったような気がします。
なお、博物館長役で出てたブライス・ダナーは、グウィネス・パルトローのお母さんだそうです。







音楽は、トーマス・ニューマン。

おっさん、この人のスコアはどれもお気に入り。

この人の特徴は、少ない音数で奥行きある音の空間を見事に演出するところ。

ロックの世界で言えば、ちょうどイギリスのThe Blue Nileあたりに似たアプローチをする人だなあと思います。

The Blue Nileも音数がすごく少ないバンドで、シンセとギターとボーカルの3人だけで、
無音部分まで音楽の一部として計算され尽くしたような曲を作ります。
音楽を演奏するというより、音を紡ぐというような感じ。
トーマス・ニューマンにも同じニオイを感じます。
本作では、パーカッシヴな奏法のエレキギターをフィーチャーしたマカロニ・ウェスタンみたなオープニングトラックを始め、
ハワイアン・ギター、サブマリン・フルート、タブラといった、民族楽器を含む様々な楽器を駆使して、クールでドライな音を提供しています。

全体に音数が少ないので、シンプルなパーカッションの音が俄然際立って聞こえたり、

各楽器の音色を生かしたナチュラルな感覚の劇伴が耳に気持ちいい。

アンビエントな香りもするので、お部屋のBGMに流し放しにしてもいいかも。

やっぱり、この人のスコアにはハズレがないなあ。

なお、もともとはフィリップ・サルドがスコアを担当することになっていたのか、

仏Universalレーベルから出たコスタ・ガヴラスもののコンピレーションに

フィリップ・サルドが本作のために書いた曲が4曲収録されており、
このうち「Jenny's Garden」と「Guys Like Me」が本編でも使用されています。




・・・と、ここまでが過去記事。

現在では、ダウンロード版も発売されています。



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